2021年の日程を終えた再結成GENESISの“THE LAST DOMINO? Tour”。その最新レポートが2作同時リリース決定です。本作はその第一弾。「2021年11月19日ローリー公演」の極上オーディエンス録音です。今回のツアーはGENESISにとって14年ぶりの再結成であり、ロック・シーンにとっては新型コロナ・パンデミックからの復帰した大型ツアーの先駆け。世界中の注目を集め、当店でも幾つかの名作ライヴ作品でレポートしてきました。しかし、今回の2作はこれまでとは(ちょっとだけ)違うもの。その意味をご説明するためにも、まずは現在までに公表されているスケジュールからおさらいしてみましょう。2021年・9月20日ー10月7日:英国#1(12公演)・11月15日ー12月16日:北米(21公演)←★ココ★ 2022年・3月7日ー22日:欧州(11公演)・3月24日ー26日:英国#2(3公演)これが“THE LAST DOMINO? Tour”の全体像。途中バンド内に新型コロナ・ウィルスの陽性反応が出たせいで一部の日程が2022年へ延期になりましたが、間もなく再開。先日、無事に2021年の全日程が終了しました。そして、当店でこれまでレポートしてきたのはツアー序盤の「英国#1」。それに対して今回のリリースはメインである「北米」レッグ。本作のローリー公演は、その4公演目にあたるコンサートです。現在、ツアーが一段落したことで音源整理が始まったわけですが、本作はその速報にして北米レッグ最高作の候補ともなっている銘品。実際、そのサウンドは極上。同時リリースの『MADISON SQUARE GARDEN 2021(Amity 656)』が本当にサウンドボード的な超ダイレクト・サウンドなのですが、それに対して本作はわずかに吸い込んだホール鳴りが艶ときめの細やかさを演出するタイプです。こう書くと距離のあるボワボワ・サウンドを思い浮かべるかも知れませんが、そうではありません。芯の力強さもディテールの細やかさも十二分に「まるでサウンドボード」と呼べるのですが、そこにほんのりうっすら被った鳴りが気品すら漂わせている。言わば、芯丸出しのサウンドボードと言うよりは、磨き込まれたFM放送やオフィシャル作品風の美しさなのです。そんな美のダイレクト・サウンドで描かれるのは、新大陸に場を移して繰り広げられた集大成ツアーの一部始終。ここで、その内容も整理しておきましょう。クラシックス・ガブリエル時代:The Cinema Show/The Lamb Lies Down On Broadway(★)/Firth Of Fifth/I Know What I Like (In Your Wardrobe)/The Carpet Crawlers (with Dancing With the Moonlit Knight)・静寂の嵐:Afterglow 3人時代・そして3人が残った:Follow You Follow Me(★)・デューク:Behind The Lines/Duke's End/Turn It On Again/Duchess・ジェネシス:Mama/Home By The Sea/Second Home By The Sea/That's All(★)・インヴィジブル・タッチ:Land Of Confusion/Domino/Throwing It All Away/Tonight, Tonight, Tonight/Invisible Touch・ウィ・キャント・ダンス:Fading Lights/No Son Of Mine/I Can't Dance ※注:「★」印はアコースティック・セットで演奏された曲。……と、このようになっています。実のところ「英国#1」と同一。全米ツアー冒頭のシカゴ公演では、37年ぶりに「Misunderstanding」が演奏されて話題となりましたが、それはシカゴだけのスペシャルだったようです。その点は残念ですが、場数を踏んで調子が上がっていったのですから文句も言えない。「英国#1」から1ヶ月以上空いていたわけですし、1公演1公演でアンサンブルはこなれ、フィルも約2時間半に及ぶフルショウに慣れていった。その自信溢れるグレイテストヒッツ・ショウを美のサウンドでフル体験できるのです。まだ北米レッグ終了から日もなく、まだ最終公演まで出揃っていないので最高傑作は断じられません。しかし、本作がその最有力候補の1つには違いない。超ダイレクト感&ボリュームの『MADISON SQUARE GARDEN 2021』か、美サウンドの本作か。「2021年11月19日ローリー公演」の極上オーディエンス録音。芯の力強さもディテールの細やかさも「まるでサウンドボード」と呼ぶに十分でありつつ、そこにほんのりうっすら被ったホール鳴りが艶やきめ細やかさを与え、気品すら漂わせている。磨き込まれたFM放送やオフィシャル作品風の美しさも備えたサウンドで、栄光の歴史を総括したグレイテストヒッツ・ショウをフル体験できるライヴアルバムです。 PNC Arena, Raleigh, North Carolina, USA 19th November 2021 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(75:30) 1. Intro 2. Behind The Lines / Duke's End 3. Turn It On Again 4. Mama 5. MC 6. Land of Confusion 7. MC 8. Home By the Sea 9. Second Home by the Sea 10. Fading Lights 11. The Cinema Show 12. Afterglow 13. MC 14. That's All 15. The Lamb Lies Down on Broadway 16. Follow You Follow Me 17. Duchess 18. Band Introductions Disc 2(65:43) 1. No Son of Mine 2. Firth of Fifth 3. I Know What I Like (In Your Wardrobe) 4. MC "The Domino Principle" 5. Domino Part 1 6. Domino Part 2 7. Throwing It All Away 8. Tonight, Tonight, Tonight9. Invisible Touch 10. I Can't Dance 11. Dancing With the Moonlit Knight / The Carpet Crawlers Phil Collins - lead vocals, tambourine Tony Banks - keyboards Mike Rutherford - guitar, bass guitar, bass pedals Nic Collins - drums, percussion Daryl Stuermer - guitar, bass guitar Daniel Pearce - backing vocals, percussion Patrick Smyth - backing vocals, tambourine