1990年初頭のイギリスはまだまだラジオの影響力が残っており、デビュー前のオアシスの演奏が初めて放送用の収録に挑んだのもラジオが最初。それが実現したのがほぼ30年前のちょうど今頃。既にファースト・アルバムに向けてのデモ録りなどが行われていた時期でもあり、バンドからすれば成功への扉が開かれたタイミング。この出演用にオアシスは四曲を録音(放送は1994年を迎えてから)していますが、それらはどれも後にファースト・アルバム「DEFINITELY MAYBE」に収められたものばかり。とはいえ先のようなアルバム用のデモを録音していた時期であった上、バンドのライブの本数も決して多くなかった時期。それ故に演奏の出来にムラがあるところが駆け出しのバンドらしいところ。「Bring It On Down」はまだまだ力強さが足らず、バンドとして練り切れてない感がありありと伝わってきます。何かと技量がとやかく言われがちなトニー・マッキャロルのドラム(実際には言われるほど悪くないと思いますが)もさすがにこの頃は拙い。 また「Cigarettes & Alcohol」などはデビュー後のバージョンと比べてテンポが遅く、そのせいで元ネタとなったT・レックスの「Get It On」っぽさが強まっているのが微笑ましい。一方「Shakermaker」は既にファースト・アルバムの世界観を漂わせており、トレードマークとなったリアムの特徴的な歌いっぷり冴えわたっている。そこは後の偉大さを予見させるに十分な演奏となっています。そして「Up In The Sky」は「DEFINITELY MAYBE」20周年記念盤のアレンジに近いアコースティック・バージョンですが、ここではリアム・ボーカルな上に彼の声がダブルトラックという凝った仕上がり。よって純然たるスタジオライブとは言い難いのですが、ブリットポップの狼煙を上げた1994年以前のオアシスを捉えた貴重音源であり、なおかつ最高のステレオで収録されているのもポイントが高い。それ故オアシスの初期音源ものコンピレーションでは好んで選ばれていたラジオ音源の一つでもあるのですが、リアタイでリリースされたのもの中にはピッチが低くて音質が荒いといったバージョンもあった。その後より音質の向上されたバージョンがリリースされてもいますが、今回は彼らのラスト・アルバム「DIG OUT YOUR SOUL」リリース時の2008年に再放送されたバージョンから収録されているので音質はオフィシャルそのものといえるハイクオリティ。わずか四曲かつ20分に満たない収録時間ではありますが、初期オアシスの貴重音源を収めた文字通りのハイクオリティCDです!BBC Radio 1 "Evening Session" Maida Vale Studios, London, UK 22nd December 1993 STEREO SBD (17:03) 01 Bring it on Down 02 Cigarettes and Alcohol 03 Shakermaker 04 Up in the Sky (acoustic) Liam Gallagher - lead vocals, tambourine Noel Gallagher - lead guitar, vocals Paul Arthurs - rhythm guitar Paul McGuigan - bass Tony McCarroll - drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING