RAINBOWがヴォーカリストにジョー・リン・ターナーを迎え、1981年に行った「DIFFICULT TO CURE」での日本ツアーより、来日公演最終日に当たる8月28日東京・武道館公演が、完全初登場となるオーディエンス録音マスターテープをダイレクト使用した極上音質で堂々の登場です!RAINBOWの'81年ツアーは2月20日のヴァージニア公演を皮切りに全米をサーキットし、その後6月から7月にかけてはヨーロッパツアー各国でのツアーと、このバンドの歴史上でも特に精力的なものとなりました。待ち望まれた来日公演は8月18日の福岡公演からスタートし、10日間をかけて5都市で8公演が行われ、魅力を新たにしたRAINBOWの演奏は各地でファンの声援を集めました。これらの様子を記録したコレクターズ音源は様々なタイトルのものが登場していますが、特にこの最終日は、Darker Than Blueレーベルから「SURRENDER DOCUMENTS」という衝撃的なサウンドボード音源が登場しており、ファンにとっても印象の強いライヴになっています。しかしながらこの「SURRENDER DOCUMENTS」はマスターテープの都合から完全収録ではなかった上に、ボード直結の録音という性質上、RAINBOWのライヴに相応しい客席の盛り上がりなど、会場ならではの臨場感を求める種類の音源でもありませんでした。今回登場する本作「TOTAL SURRENDER」は、そういったファンの「完全版を」「臨場感たっぷりに」「高音質で」聴きたいという要望をタイトル通りトータルで満たす、この時代としては最上級の録音が行われており、一聴すれば誰もが「サウンドボードがあるからオーディエンス録音は不要」などという意見が愚かしく感じるであろう、素晴らしいクオリティが実現しています!開演前の「Land Of Hope And Glory」から、40年前とは思えない絶好の状態で録音が行われており、メンバーがステージに現われた瞬間に湧き上がるオーディエンスの盛り上がりは、聴いているこちらまでゾクゾクさせられる素晴らしい臨場感を味わえます。「Spotlight Kid」の前半は機材の関係からかノイズ気味で、さらにオーディエンスの歓声や歌声がバンドの演奏へ強めに被る個所がありますが、これも会場の熱気がなせる業で、彼らのあふれる喜びを抑えきれない叫びや合唱は、一度でも好きなアーティストのライヴ会場に足を運ばれた方ならば理解でき、むしろ微笑ましく感じるのではないでしょうか?また「Catch The Rainbow」等でリッチーがソロを紡いでいる静かなパートでも、テーパーが機材を動かしている音や観客の話し声が耳に入りますが、こういう音まで一つ一つがオーディエンス録音でこそのドキュメントであり、本来なら姿を留めるはずも無い会話が30年の時間を越えて聴き取れる事に、この時会場にいた人ならば必ずや深い感慨を覚えるでしょう。テーパーの位置からステージまで若干の距離はあるようですが、リッチーのギターとジョーの歌はまるで昨日の録音のような鮮度で、演奏の輪郭も明瞭です。特に音が定まった「Love's No Friend」からはクリアな見通しと優れたバランス、そしてパンチの効いた音像でライヴを満喫できるようになります。この'81年のセットリストは抜群の完成度を誇った'80年のものを引き継ぎつつも、要所に配された「DIFFICULT TO CURE」の曲が引き立つよう計算されており、「I Surrender」や「Can't Happen Here」などは、もう何年も演奏されている曲のような熱烈なリアクションを受けています。ドン・エイリーがカラフルなトーンのキーボードイントロで曲を誘う「I Surrender」や、リッチーのアグレッシヴなギターが空間を縦横に駆け巡る「Can't Happen Here」においても、ジョーの瑞々しくフレッシュな歌声が絶品で、その歌には思わず耳を奪われてしまいます。ロニーの代表曲である「Man On The Silver Mountain」や「Catch The Rainbow」でも、ジョーの表現は巧みであり、前任者達とまた違う繊細なタッチでドラマを描くその声にリッチーのギターも触発され、素晴らしいフレーズやソロを次々に繰り出しています。このライヴでは曲中曲間を問わずオーディエンスからのリッチー・コールが絶えず飛び交っており、初来日となったジョーにも日本におけるリッチー神話の偉大さが強烈に伝わったのでしょうが、いざ演奏となればどの曲においても、ジョーは萎縮する事なく歴戦のイギリス人メンバーへ果敢に挑んでおり、バンドの顔として主張しているのが音から伝わります。ファンタジックで気高いロニー時代や、ニヒルでダンディなグラハム時代とも異なる、新時代を切り開く若いエネルギーとアメリカン・スピリットを表に打ち出した、他の何者でも無いジョー・リン・ターナー時代が、ここにはすでに存在してます!ドン・エイリーのキーボードソロから「Lost In Hollywood」そして「Difficult To Cure」に流れるメドレーは圧倒的で、この時代のRAINBOWの演奏力が理解できます。「Difficult To Cure」の冒頭において、リッチーのギターは鬼気迫る危うさすら漂わせたかと思えば、曲本編ではそれが威厳に変わっており、ドンによる中盤のキーボード・パートを経て、全てがコーダに向かい集約され昇華していく様子はカタルシスさえ覚えます。もう一人の新メンバーとなるボビー・ロンディネリは、前任者があのコージー・パウエルだっただけに、そのプレッシャーも大きかったと思われます。しかしボビーも各曲でタイトなリズムを叩き出しており、ドラムソロそして「Long Live Rock'N'Roll」では大活躍しています。「Long Live Rock 'N' Roll」以降は「SURRENDER DOCUMENTS」未収録のショウ終盤となり、本作のならではの聴き所が連発されます。アンコール1曲目の「All Night Long」では、ジョーはすでに現在と同じオリジナルの歌い回しを聴かせており、リッチーのギターとの掛け合いも披露してグラハム時代の違いを打ち出しています。 ジョーが持ち前のブルージーな側面も聞かせる「Blues」から続けて演奏される「Woman From Tokyo」と「Smoke On The Water」で、ライヴの盛り上がりはこの日のピークを迎えます。リッチーがDEEP PURPLE脱退以降、6年にわたって封印してきた歌入りの「Smoke On The Water」が演奏されたのは、当時のファンにとって大きな驚きと喜びだった事は想像に難くなく、オーディエンスの歓声と拍手で武道館全体が揺れているようですらあります。「Since You Been Gone」で白熱の100分間が終わりを告げ、ジュディ・ガーランドの「Somewhere Over The Rainbow」も終わった後、武道館を後にする観客の話し声と終演アナウンスのバックで流れている「Maybe Next Time」を3分あまり聴けるのも本盤の大きな特徴です。生々しく記録された終演後の武道館の様子は、整った再生環境で聴けば自分が30年前に連れて行かれたような、そんな錯覚すら味わえる事でしょう!ジャパン・ツアー終盤に3連続で行われた武道館公演は、26日の初日を収めた「NOWHERE TO HIDE」に、翌27日の「INSTRUMENT OF SURRENDER」という、いずれも劣らぬ素晴らしいオーディエンス録音アイテムがPower Gateレーベルからリリースされ、どちらもファンの喝采を浴びました。これまで出てこなかった武道館公演最終日の完全版という希少性もさる事ながら、本作はそれら高品位オーディエンス録音の中でも頂点に位置するのは間違いなく、実況録音盤の魅力をあますところ無く凝縮した個性的な味わいは、'81年ツアー全体を見てもオーディエンス・ソースとしては決定版クラスの音源だと言えるでしょう。RAINBOWの'81年武道館トリロジーの掉尾を飾る至高の一本は、全てのハードロック・ファン必聴必携と断言します! Live at Budokan, Tokyo, Japan 28th August 1981 PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (44:38) 1. Land Of Hope And Glory 2. Over The Rainbow 3. Spotlight Kid 4. Love's No Friend 5. I Surrender 6. Lazy Intro 7. Man On The Silver Mountain 8. Catch The Rainbow 9. Can't Happen Here Disc 2 (59:15) 1. Keyboard Solo 2. Lost In Hollywood 3. Guitar Solo 4. Difficult To Cure 5. Keyboard Solo/Difficult To Cure 6. Jam/Drum Solo 7. Long Live Rock 'N' Roll 8. All Night Long 9. Blues 10. Woman From Tokyo Intro 11. Smoke On The Water 12. Since You Been Gone 13. Somewhere Over The Rainbow 14. Outro (Maybe Next Time) Ritchie Blackmore - Guitar Joe Lynn Turner - Vocal Roger Glover - Bass Don Airey - Keyboards Bob Rondinelli - Drums