歴史的大名盤を創り上げつつ、ステージでは泡沫で終わってしまった「ロニー・ジェイムズ・ディオ/ビル・ワード」時代。その現場をフル体験できる大傑作ライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1980年7月19日シアトル公演」。そのフル・オーディエンス録音です。広く知られているように、“HEAVEN AND HELL Tour”の途中でビル・ワードが失踪してヴィニー・アピスに交代。その後、1992年の『DEHUMANIZER』時代も2006年以降のHEAVEN & HELLプロジェクトもヴィニーがドラマーを務めました。そうなると気になるのが「ロニー/ビル」の共演ライヴ。本作は、そのフルショウを現場体験できるわけです。まずは、その「ロニー/ビル」時代がどれくらいだったのか、当時のスケジュールから確かめてみましょう。1980年《4月25日『HEAVEN AND HELL』発売》・4月17日ー6月26日:欧州#1(33公演)←※LONELY IS THE WORD・7月5日ー8月19日:北米#1a(25公演)←★ココ★《ビル失踪→ヴィニー参加》・8月31日ー11月11日:北米#1b(42公演)・11月16日ー29日:初来日/豪州(11公演)1981年・1月18日ー2月2日:欧州#2(13公演)《11月4日『MOB RULES』発売》・11月15日ー12月21日:北米#2(28公演)・12月31日:ハマースミス公演これが1980年/1981年のBLACK SABBATH。ビルが失踪したのは「北米#1」の途中であり、「HEAVEN AND HELLの5人」が揃っていたのはツアー冒頭の「欧州#1」と「北米#1a」だけ。本作のシアトル公演は、その「北米#1a」8公演目。ロニー/ビル時代のオーディエンス録音と言えば、最高傑作『LONELY IS THE WORD: THE LEGENDARY MASTER』が象徴として君臨しておりますが、本作はその1ヶ月班後にあたります。そんなショウは、名録音が残された事でも知られ、古くは『DANCE OF THE DEVIL』等の名作が愛されてきました。そうしたヴィンテージ・ブートは「Die Young」までの不完全版だったのに対し、本作はショウをフル収録した完全版なのです。ここで「前にも完全版もあったよな?」と思われるコレクターもいらっしゃると思いますが、既発は完全であっても『DANCE OF THE DEVIL』よりサウンドが(かなり)劣っていた。本作はそれとは異なり、北欧コレクター「Per-Erik」所蔵マスターによる完全版なのです。これは実は大変な事でもある。何しろ『DANCE OF THE DEVIL』は『LONELY IS THE WORD』さえ凌駕するサウンドの伝説録音。骨太・肉厚な芯は力強く、隅々まで鮮やかなディテールには距離感など皆無。その完全版なのですから、『LONELY IS THE WORD』に代わって「ロニー/ビル時代の王座」を奪いかねないのです(レア曲の関係もあるので断言は出来ませんが)。1つだけ気になる点があった。それは「2nd or 3rdジェネ」だという事。確かにヘッドフォンで耳を済ませば『DANCE OF THE DEVIL』より若干ヒスも感じますし、「これ以上の音」の存在も否定できない。そんな王者のサウンドで描かれるのは、貴重なロニー/ビル時代のフルショウ。セットはお馴染みですが、一応整理しておきましょう。オジー時代(7曲)・黒い安息日:N.I.B./Black Sabbath・パラノイド:War Pigs/Iron Man/Paranoid・マスター・オブ・リアリティ:Sweet Leaf/Children Of The Grave へヴン&ヘル(4曲)・Neon Knights/Children Of The Sea/Heaven And Hell/Die Young ……と、このようになっています。貴重な「Lonely Is the Word」は「欧州#1」だけだったのでレア曲の類はありませんが、アンサンブル自体がレア。やはり聞き物はビルのドラミングでして、彼の性格や想いが正直に表れているのが面白い。端的に言いますと、やる気を失いかけており、『HEAVEN AND HELL』の新曲群を超シンプルに叩いている。これはヴィニーとの比較ではなく、ビル自身によるスタジオアルバム、との比べての話。もっと言えば「欧州#1」の『LONELY IS THE WORD』ではまだパワフルで、ライヴならではのフィルも入れていたのですが、本作ではそれが激減しているのです。さらに面白いのは、オジー時代のクラシックスになると一転して70年代を彷彿とさせる見事な歌心ドラミングな事。つまり、ビルが失踪したのはテクニックや健康ではなく、モチベーションだけが問題だった。ただただひたすら「70年代に戻りたい」「オジーが恋しい」と叫ぶようなドラミング。ここまで本音が演奏に表れる正直者も珍しいくらいです。貴重なだけでなく、1公演1公演を比較する事で心理のウラまで透けるようなロニー/ビル時代。そのフルショウを味わえる傑作録音です。「1980年7月19日シアトル公演」のフル・オーディエンス録音。『DANCE OF THE DEVIL』等の名作で愛されてきました伝説録音の完全版です。しかも、以前の完全版はサウンドが(かなり)劣っていましたが、本作は北欧コレクター「Per-Erik」所蔵マスターでサウンドも極上。骨太・肉厚な芯は力強く、隅々まで鮮やかなディテールにはCDN-08026距離感など皆無です。ヴィニー・アピスではなく、ビル・ワードとロニーが共演する貴重なフルショウを極上体験できるライヴアルバムです。 Memorial Stadium, Seattle, WA, USA 19th July 1980 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(44:56) 1. War Pigs 2. Neon Knights 3. N.I.B. 4. Children Of The Sea 5. Sweet Leaf incl. Drum Solo 6. Black Sabbath Disc 2(41:03) 1. Heaven And Hell 2. Iron Man 3. Guitar Solo 4. Die Young 5. Paranoid 6. Children Of The Grave Ronnie James Dio - Vocals Tony Iommi - Guitar Geezer Butler - Bass Bill Ward - Drums Geoff Nicholls - Keyboards