メロディアス・ハードの超名盤『A CRY FOR THE NEW WORLD』を送り出し、日本へと舞い戻ってきた1993年のPRAYING MANTIS。幻のシンガー:マーク・トンプソン・スミスを従えた来日公演をフル体験できるオリジナル録音が登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1993年11月24日:名古屋ボトムライン」公演。その極上オーディエンス録音です。PRAYING MANTISと言えば、先日リリースされた『FOREVER IN TIME』時代のライヴアルバム『NAGOYA 1998』が大好評を博しましたが、本作は同会場・同一録音家コレクションによる姉妹作であり、『A CRY FOR THE NEW WORLD』篇となるものです。【まるでIEMsのようなド密着サウンド】実際、そのサウンドは今回も「超」付きの極上品。基本的には『NAGOYA 1998』にも通じる極太・ゼロ距離サウンドなのですが、あえて言うなら鳴りのタイプがちょっと違う。『NAGOYA 1998』は極太な芯をクラブらしい密室的な鳴りがコーティングしていましたが、本作は「鳴り成分」自体がほとんど感じられない。強いて言えばスネアの音色に空間的な味わいもなくはないものの、クリスタル・クリアに透き通った鮮やかさも、エッジの橋の端まで輝く鋭さも、大気の存在を否定してくる。現実にはリアルな手拍子や唱和も吸い込んでいるので確実にオーディエンス録音なのでしょうが、パッと聴いた感じの鮮やかさはライン録音にしか聞こえない。厚みよりも芯の突進力が優先したバランスも含め、「まるでIEMs」と呼びたい超ビビッド・サウンドなのです。そんなゼロ距離サウンドで描かれるのは、マーク・トンプソン・スミスの歌声で彩られた『A CRY FOR THE NEW WORLD』の超名曲ラッシュ。90年代のPRAYING MANTISとなると、やはり基準は『CAPTURED: ALIVE IN TOKYO CITY』。ここで比較しながら整理しておきましょう。クラシックス(6曲)・戦慄のマンティス:Cheated/Lovers To The Grave/Flirting With Suicide/Children Of The Earth・その他:Captured City/Turn The Tables 再始動以降(10曲)・プレデター・イン・ディスガイズ:Can't See The Angels・ア・クライ・フォー・ザ・ニュー・ワールド:A Cry For The New World/Dream On/Dangerous(★)/A Moment In Life(★)/Journeyman(★)/Letting Go/Rise Up Again・オンリー・ザ・チルドレン・クライ:Only The Children Cry/Who's Life Is It Anyway(★)※注:「★」印は『CAPTURED: ALIVE IN TOKYO CITY』では聴けない曲。……と、このようになっています。『CAPTURED』『NAGOYA 1998』でも『A CRY FOR THE NEW WORLD』ナンバーは要となっていましたが、やはり7曲の大盤振る舞いは1993年なればこそ。さらに、続編的な傑作EP『ONLY THE CHILDREN CRY』も盛り込んだセットは、PRAYING MANTIS史上最高・最美・最泣きと言っても良いでしょう。【実は素晴らしかったマーク・トンプソン・スミスの歌声】そして、そんなセットを綴るマーク・トンプソン・スミスの歌声は……やるじゃん! 来日前にコリン・ピールが脱退したせいか、当時の雑誌では結構厳しく書かれていたマークですが、こうしてライヴアルバムで聴くと「何が不満だったんだ!?」と不思議になる。透明感のある声質はPRAYING MANTISの哀メロにぴったりフィットし、ポップな曲でも鋭いエッジが甘くなりすぎない。良く伸びる高音もキラキラと輝くようです。「違和感はない」「次作のゲイリー・バーデンよりはマシ」などという消極的な感じではなく、それこそ後のトニー・オホーラよりもハマッているんじゃないかと思うほどです。ご存知の通りマークは来日後に脱退し、この編成のPRAYING MANTISも泡沫に終わりました。確かに、今でもコリン・ピールとのライヴが聴いてみたかったのは否定できませんが、マークも歴代屈指……いや、No.1かもしれない見事なヴォーカリストでした。本作は、そんな彼の真価を伝えてくれる音の証拠品なのです。『CAPTURED』ではなく、この時に公式ライヴ盤を作ってくれていたら……そんな30年越しの悔しさまで沸いてくる新名盤。マーク・トンプソン・スミスを従えた「1993年11月24日:名古屋ボトムライン公演」の極上オーディエンス録音。芯も極太なゼロ距離サウンドでして、クリスタル・クリアに透き通った鮮やかさも、エッジの橋の端まで輝く鋭さも、空間録音とは思えないほどタイト。「Dangerous」「A Moment In Life」「Journeyman」など、超名盤『A CRY FOR THE NEW WORLD』名曲が山盛りで、マークも当時の音楽誌で不評を書かれたのが不思議で仕方がない見事なヴォーカルを披露。幻ながら素晴らしかった1993年の真実を教えてくれる極上サウンドの証拠品です。 Live at THE BOTTOM LINE, Nagoya, Japan 24th November 1993 ULTIMATE SOUND(from Original Masters) Disc 1 (56:33) 1. Intro 2. A Cry For The New World 3. Can't See The Angels 4. Turn The Tables 5. Cheated 6. Dream On 7. Lovers To The Grave 8. Only The Children Cry 9. Who's Life Is It Anyway 10. Dangerous 11. A Moment In Life Disc 2 (46:23) 1. Flirting With Suicide 2. Journeyman 3. Letting Go 4. Rise Up Again 5. Captured City 6. Children Of The Earth Mark Thompson-Smith - Lead Vocals Tino Troy - Guitar, Vocals Chris Troy - Bass, Vocals Dennis Stratton - Guitar, Vocals Bruce Bisland - Drums