公開されたマイク・ミラード録音はグレイトフル・デッド1980年のロングビーチ・アリーナ。ミラードがデッドを捉えた音源と言えば昨年リリースされた「LOS ANGELES 1991: MIKE MILLARD MASTER TAPES」も記憶に新しいところですが、今回発掘されたのは時代を10年遡ったデッドのステージ。1980年、さらに同年の下半期と言えば不朽の名作との誉れ高きライブアルバム「DEAD SET」用の収録があった時期でもあり、デッドの数多いピークの一つでもありました。となるとこの時期はリリースが「DEAD SET」と関連の収録音源に集中している感があり、バンド解散後から始まったオフィシャルの各種ライブ・アーカイブ蔵出しシリーズに関しても「DAVE'S PICKS VOLUME 8」でリリースされた11月30日のアトランタが最後期のもの。ところが今回ミラードが録音してくれたのはアトランタから二週間後のロングビーチ。この時期を彼が録音してくれていたというだけでも世界中のマニアから注目される初登場音源であること間違いなしなのですが、その音質が実に素晴らしい。オンな音像と嫌味のないきめ細やかな臨場感、それこそ正にミラード節と呼びたくなるもの。おかげでジェリー・ガルシアのリードギターとボブ・ウィアーのリズムギターのコンビネーションが明瞭に聞き分けられてしまうほど。残念なことに「To Lay Me Down」の間で使用したカセットのテープが緩んでしまったらしく、曲の間中で回転数が微妙に不安定となってしまうのです。ここが玉に瑕ですが、聞くに堪えないほど不安定なレベルへと堕ちなかったのは不幸中の幸いでした。もう一つは今回のバージョンはミラードが友達にマスターからコピーしてあげたファースト・ジェネレーションのカセットが元になっているのでして、その際にライブではおなじみビル・クロイツマンとミッキー・ハートによるドラムソロ・タイム「Drums / Space」がカットされてコピーされたという事。おかげでコンプリートではないのですが、皮肉なことにドラムソロが省かれたことからディスク二枚で収まってくれる聞きやすさも生まれたのでした。仮にそれも収められていたとしたらディスクが三枚に及んでしまったことでしょう。そして演奏の方は先のライブアルバムに加え、ライブビデオ「DEAD AHEAD」の収録までも済ませた後というだけあって、全編を通して脂の乗り切ったデッド最高の演奏が聞かれます。そこはいかにも彼らしく前半をゆったりと始め、「Minglewood Blues」辺りからエンジン全開。そして「Playing In The Band」ではビルとミッキーのツイン・ドラムも折り重なって昇り詰めるような素晴らしい演奏が。何しろ抜群に音がイイので、彼らのプレイもクリアーに聞き取れますし、演奏に対する反応、例えば「Not Fade Away」で客席から起こる大合唱も後ろから聞こえてくるような絶妙なバランス。名手ミラードが録音してくれた、文字通りのアナザーサイド・オブ「DEAD SET」です!Long Beach Arena, Long Beach, CA, USA 13th December 1980 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (75:04) 1. Feel Like A Stranger 2. Sugaree 3. C.C. Rider 4. To Lay Me Down 5. Minglewood Blues 6. Ramble On Rose 7. Lost Sailor 8. Saint Of Circumstances 9. Deal Disc 2 (67:20) 1. Scarlet Begonias 2. Fire On The Mountain 3. Playing In The Band 4. Not Fade Away 5. Black Peter 6. Sugar Magnolia 7. One More Saturday Night Jerry Garcia - lead guitar, vocals Bob Weir - rhythm guitar, vocals Brent Mydland - keyboards, vocals Phil Lesh - bass, vocals Bill Kreutzmann - drums Mickey Hart - drums