延期になっていた50周年ツアーを再開させた2022年の鋼鉄神。その最新ライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「2022年3月12日オークランド公演」。その絶品オーディエンス録音です。彼らの50周年ツアーは2021年に予定されていたのですが、開始早々にリッチー・フォークナーが大動脈瘤&大動脈解離で倒れて緊急手術。九死に一生を得たものの、重病だけにすぐにツアー復帰は叶わず、2022年に繰り越されていました。そんな状況を整理する意味でも、まずは彼らの近況をスケジュールで確認してみましょう。2021年・6月26日+7月1日:欧州(2公演)・8月15日『BLOODSTOCK OPEN AIR 2021』・9月8日ー26日:北米#1(13公演)《9月26日:リッチー・フォークナー緊急手術》×9月29日ー11月5日:北米(延期)2022年・3月4日ー4月13日:北米#2(24公演)←★ココ★ ×5月27日ー6月1日:ロシア/ウクライナ(キャンセル)・6月3日ー8月4日:欧州#1(31公演)・10月7日:サクラメント公演 2023年・5月3日ー6月14日:欧州#2(19公演)これが現在までに公表されている2021年ー2023年のスケジュール。フォークナーが倒れたのは9月下旬。約半年を経ての再開となったわけです。ちなみに、夏には欧州ツアーも予定されているのですが、その冒頭に設定されていたロシア公演/ウクライナ公演は昨今の情勢から当然中止。その後の日程については変更のアナウンスはありませんが、予断を許さないところです。何とも多難な50周年ツアーではありますが、とりあえず全米編は実現。本作のオークランド公演は、再開序盤となる「北米#2」の6公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、活動再開の狼煙とも言うべき極上オーディエンス録音。最新ツアーが聴けるという事で話題を呼んでいるマスターですが、本作は原音そのものではなく独自の細心マスタリングで磨き込んでいます。これがまた、効果バツグン。当店のお客様であれば、デジタル・マスタリングは魔法ではなく、原音の個性によっては化ける場合も、ほとんど向上しない場合もあるとご理解頂いていると思います。本作は、前者の好例。「まるで別物!」に生まれ変わった絶品ライヴアルバムなのです。もちろん、話題になっているだけにネット原音も悪くはありません。すでに手に入れられ、愛聴されている方もいらっしゃるでしょう。しかし、そこから爆上がりしている。クリアさも輪郭の鮮やかさも極端に向上しており、歌詞もくっきりとしたロブの歌声も、密度たっぷりなバスドラの1発も、録音ポジションが20メートルくらい近づいた感じ。しかも、ムリヤリな加工感がない。帯域分析で鳴りを整理するだけで、この生まれ変わりよう。つくづく「リマスタリングは原音次第」なんだと思い知らされます。そんなクリア&ダイレクト・サウンドで描かれるのは、昨年とはまたひと味変わった50周年セット。ツアー中断以前と言えば『BLOODSTOCK OPEN AIR 2021』も人気ですので、比較しながら整理してみましょう。・ロッカ・ローラ:Rocka Rolla・運命の翼:Victim Of Changes ・背信の門:Diamonds & Rust(★)×ステンド・クラス:なし・殺人機械:Hell Bent For Leather○ブリティッシュ・スティール:Metal Gods/Breaking The Law/Living After Midnight・黄金のスペクトル:Desert Plains ○復讐の叫び:You've Got Another Thing Comin'/The Hellion/Electric Eye ○背徳の掟:Freewheel Burning(★)/The Sentinel・ターボ:Turbo Lover・ラム・イット・ダウン:Blood Red Skies ○ペインキラー:Battle Hymn/One Shot At Glory/A Touch Of Evil/Painkiller ×ジャギュレイター/デモリッション:なし ×エンジェル・オブ・レトリビューション/ノストラダムス/贖罪の化身:なし ・ファイアーパワー:Lightning Strike ※注:「×」印は1曲も演奏しなかったアルバムで、「○」印は2曲以上採用されたアルバム。「★」印は『BLOODSTOCK OPEN AIR 2021』で聴けなかった曲。……と、このようになっています。50周年ツアーは各アルバムからカタログ的に名曲を散りばめているわけですが、ディテールは変化。10年ぶりに「Diamonds & Rust」が復活。エレクトリック・バージョンで披露してくれます。その一方で入る曲があれば外れる曲もあるのが常でして、昨年話題になった「Invader」や「Hell Patrol」も残念ながらドロップ。それに伴い、『ステンド・クラス』や『贖罪の化身』からのセレクトもなくなり、集大成感がやや交代しました。しかし、他の貴重曲は堅持され、「Rocka Rolla」「Blood Red Skies」もキープ。50周年の象徴となりつつある「Battle Hymn/One Shot At Glory」オープニングも極上サウンドで楽しめます。休止中にシングル・ギター化が画策されるなど迷走も感じられたJUDAS PRIESTでしたが、ロードに戻ってきた姿は威風堂々。神々しいステージを披露してくれました。そんな最新ショウを素晴らしいサウンドで楽しめる2枚組です。ネット原音で甘く見ている方にこそ触れていただきたいアップグレード・アルバム。「2022年3月12日オークランド公演」の絶品オーディエンス録音。話題のネット原音も悪くなかったのですが、独自の細心マスタリングが効果バツグン。まるで別物に生まれ変わったサウンドはクリアさも輪郭の鮮やかさも極端に向上しており、歌詞もくっきりとしたロブの歌声も、密度たっぷりなバスドラの1発も、録音ポジションが20メートルくらい近づいた感じ。10年ぶりに復活した「Diamonds & Rust」の他、「One Shot At Glory」「Rocka Rolla」「Blood Red Skies」といったレア曲満載な50周年ツアーを極上体験できます。Fox Theater, Oakland, CA, USA 12th March 2022 TRULY PERFECT SOUND(REMASTER & UPGRADE) Disc 1 (59:33) 1. Battle Hymn 2. One Shot at Glory 3. Lightning Strike 4. You've Got Another Thing Comin'5. Freewheel Burning 6. Turbo Lover 7. The Sentinel 8. A Touch of Evil 9. Rocka Rolla 10. Victim of Changes Disc 2 (47:48) 1. Desert Plains 2. Blood Red Skies 3. Diamonds and Rust 4. Painkiller 5. The Hellion 6. Electric Eye 7. Hell Bent for Leather 8. Glenn Tipton introduced 9. Metal Gods 10. Breaking the Law 11. Living After Midnight