単にストーンズ2005年の音質最高アイテムに留まらず、何よりライブアルバムとして非常にイケてる仕上がりとなってしまったことが大きい。映像を伴わなくとも立派に成り立つ音源の音盤化となってしまったからさあ大変。この点に関してはあのベストセラー「L.A. FORUM 1975 4TH NIGHT」と同じような位置づけのアルバムと言えるでしょう。「A BIGGER BANG」はメンバーが初めて還暦を過ぎて行われたライブ・ツアーであり、開始当初は文字通り精彩を欠いていた感が否めなかった。後にツアー開始前のトロント・ギグがリリースされた際、そこでは素晴らしい演奏が聞かれたものの、いざツアーが始まってみれば年齢という現実が合わさってスロースターターとなってしまった。ところがツアーが進むにつれて演奏内容が充実してくるのはストーンズ恒例パターンであり、本ツアーに関してもスケジュールが11月に到達すると遂に彼らがエンジン全開。中でもハリウッド・ボウルで二回に渡って行われたスペシャル・ギグはストーンズのスイッチがオンになってくれたことを知らしめてくれたリアタイ・リリースとして当時のアイテムが話題を呼んだものでした。さらにリアルタイムと言えばソルトレイク・シティは当時アメリカン・ミュージック・アワードにて二曲だけ放送された訳ですが、この日の素晴らしさを感じるには曲数が少なすぎ、なおかつオーディエンス録音のアイテムすらリリースされていなかった。2005年における文字通りの分岐点となったハリウッド・ボウルを終えた後のステージ記録なだけに、ソルトレイク・シティでの演奏は正に名演と呼ぶに相応しい。もうオープニングからミック以下バンドはハイテンションなムードで炸裂しており、早くも「She's So Cold」で最初のピークを迎えてしまうというキレッキレな勢い。そこから数曲に一回は絶頂迎えるといった調子で、もはや暴走の域に達した「All Down The Line」など、30年前に戻って1975年のワイルドさが蘇ったかと錯覚しそうなほどでした。あまりにもハイテンションなこの日、唯一ストーンズらしいユルさが顔を覗かせるのがBステージ終わりの「Honky Tonk Women」のイントロ。バンドとキースが噛み合わなくなりそうになってしまうのですが、この日の演奏があまりにハイテンションなので、むしろホッとさせられてしまうほど。何しろストーンズが乗りに乗っており、もう止まるに止まれないといった状況をかえって偲ばせてくれる。そしてライブ終盤は完全に暴走機関車と化したストーンズ。ハリウッド・ボウルでも爆裂演奏を披露していた「Satisfaction」がこの日はさらに壮絶な調子。元々が音質最高なステレオ・サウンドボード録音ですが、今回のリリースに際しては微調整を加えています。中でもこの曲や「Rain Fall Down」におけるチャーリーのドラムを聞けば音の抜けが良くなっていることを解ってもらえるのではないでしょうか。もちろん元の音質が極上ですので大幅に音質が変わったというのとは違いますが最後の一手を加えたのです。Delta Center, Salt Lake City, UT, USA 22nd November 2005 STEREO SBD(*REMASTERED) Disc 1(61:45) 1. Intro 2. Start Me Up 3. You Got Me Rocking 4. She's So Cold 5. Tumbling Dice 6. Rain Fall Down 7. It's Only Rock 'N Roll 8. Wild Horses 9. All Down The Line 10. Night Time Is The Right Time 11. Band Introductions 12. Slipping Away 13. Infamy Disc 2(51:17) 1. Miss You 2. Rough Justice 3. Get Off Of My Cloud 4. Honky Tonk Women 5. Sympathy For The Devil 6. Brown Sugar 7. Jumping Jack Flash 8. You Can't Always Get What You Want 9. Satisfaction STEREO SOUNDBOARD RECORDING