エリック・クラプトンの故J.J.ケイルへのリスペクト、憧憬は、「あのエリック・クラプトンがそこまで賞賛するのか」とファンが驚くほどのレベルでした。70年リリースのファースト・ソロアルバムでケイルのAfter Midnightを取り上げて以降46年に及ぶ彼のキャリアにおける目標の一つは、ケイルの音楽への「同化」であったと言ってもいいでしょう。そんなクラプトンが自らの公演に、腰の重いケイルを遂に招いた時の貴重な音源を過去最高音質でリリースします!2007年3月15日のサン・ディエゴ公演を良好なステレオ・オーディエンス録音で完全収録した2CDが本盤です。この日のオーディエンスソースは「The Road To San Diego」というタイトルの既発盤がリリースされていました。今回、当店が入手しましたのは、イギリスの重鎮テーパーが彼のコアなアメリカのクラプトンマニア人脈から直々に手に入れた、「既発盤とはまったく異なる初登場のファースト・ジェネレーションマスター」です。既発盤もステレオ録音でしたが、録音ポジションがステージからやや遠く、粗い上に硬めのサウンドでした。また、After Midnightでは突然ステレオ音場が極端に狭いモノラルで収録されていたり、ステレオから瞬間的にモノラル位相に変わる箇所が散見していました。さらに、オーディエンスノイズが多いのが難点で、ケイルが飛入りしたCocaineでは録音者付近で揉め事があったようで、甲高い女性の「Get out!」という罵声が何度も入っているという致命的な状況もありました。本盤のサウンドもややステージからの距離を感じさせますが、既発盤に比べてステレオ音場にとても拡がりがあり、この会場のスケール、空気感が正確に反映されている上に、サウンドがクリアできめ細かく、受ける印象がまったく異なります。一言で言えば、非常に聴きやすい音で全編が収録されているということです。トラブルは皆無です。ケイルが参加した中盤のシッティング・セッションの様子も、クラプトン、ケイル、デレク・トラックスの個性溢れる各人のプレイニュアンスがしっかり聴き分けられるほどです。しかも煩わしいオーディエンスノイズがほとんどありません。既発マスターを格段に上回るハイクオリティ・マスターがここにきて発掘されたことをきっと喜んでいただけるでしょう。ここでのJ.J.ケイルとのステージ共演は、クラプトンにとってはケイルの存命中最後のものとなりました(スタジオ共演はこの後もありましたが)。実は、クラプトンは本ツアーの開始にあたり、レギュラーのバンドメンバーとして参加してほしいとケイルに依頼をしていました。しかしケイルは「そんな派手な場所は俺には似合わない。タルサに篭って好きな音楽をやっているのが俺の性分に合っている」と参加を断ったというエピソードが残されています。それだけにこの日のステージは、クラプトン自身の願いが遂に叶った、思い出に残る貴重な瞬間だったに違いありません。このツアーは前年に続き、ドイル・ブラムホール二世、デレク・トラックスを擁したトリプル・ギター体制で実施されたもので、今となっては懐かしいエレクトリックLaylaが迫力満点で演奏されているのも魅力ですし、デレク&ザ・ドミノス時代のナンバー、Got To Get Better In A Little While、Little Wing、Anydayの三連発も強烈です。さらに嬉しいことに、このツアーのオープニング・アクトを務めたロバート・クレイがアンコールのCrossroadsに飛入りし、リードボーカルとギターソロでクラプトンと競演しています。このCrossroadsも迫力満点です。このサウンドクオリティなら既発盤をお持ちの方も、買い直していただく価値ありと断言します。故J.J.ケイルとクラプトンの最後となったライブ共演を過去最高音質のニューマスターでお楽しみください。 Live at iPay One Center, San Diego, CA. USA 15th March 2007 PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (60:07) 1. Introduction 2. Tell The Truth 3. Key To The Highway 4. Got To Get Better In A Little While 5. Little Wing 6. Anyday 7. Anyway The Wind Blows (with J.J. Cale) 8. After Midnight (with J.J. Cale) 9. Who Am I Telling You? (with J.J. Cale) 10. Don't Cry Sister (with J.J. Cale) 11. Cocaine* (with J.J. Cale) Disc 2 (53:28) 1. Motherless Children 2. Little Queen Of Spades 3. Further On Up The Road 4. Wonderful Tonight 5. Layla 6. Crossroads (with Robert Cray) Eric Clapton - guitar / vocals Doyle Bramhall II - guitar / vocals Derek Trucks - guitar Chris Stainton - keyboards Tim Carmon - keyboards Willie Weeks - bass Steve Jordan - drums Michelle John - backing vocals Sharon White - backing vocals Special Guests: J.J. Cale - guitar / vocals Robert Cray - guitar / vocals