マイケル・マクドナルド時代最後の来日が実現した1981年。その現場を極上サウンドで体験できるオリジナル録音。そんな本作に収められているのは「1981年10月13日:大阪フェスティバルホール」公演。その極上オーディエンス録音です。本作最大の旨みは素晴らしすぎるサウンドと、マクドナルド時代の粋となるショウですが、まずは何よりショウのポジション。人気絶頂でもあった当時の来日日程から振り返ってみましょう。・10月5日:日本武道館・10月7日:京都会館・10月8日:福岡サンパレス・10月9日:大阪フェスティバルホール・10月12日:愛知厚生年金会館・10月13日:大阪フェスティバルホール ★本作★・10月14日:日本武道館・10月16日:横浜文化体育館 以上、全8公演。1976年の初来日から幾たびも日本を訪れているTHE DOOBIE BROTHERSですが、この年こそが最多公演。名実共に日本人気にあったのが日程からも伝わります。そんな中で本作の大阪公演は終盤に差し掛かった6公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、まさに「超」の付く極上のオーディエンス録音。とにかくオンな芯とキラキラと輝くような透明感が圧倒的。曲間になれば人気絶頂の大歓声が沸き起こりますし、生々しい手拍子がオーディエンス録音の証を刻んでいますが、それも「分かる」というだけの次元。真っ直ぐ手元に飛び込む芯は力強くも淀みなく、キリッとした輪郭はどこまでも鋭く、それでいて鳴りは自然。空気感はリアルではあっても曇りや濁りは一切起こらず、とにかく美しい。聴いていると「サウンドボードか、オーディエンスか」という事もどうでも良くなってくるほど美しい名録音なのです。そのサウンドで描かれるのは、黄金時代を総括するような全盛期のショウ。翌1982年にはトム・ジョンストンもゲストに迎えてフェアウェル・ツアーを行うわけですが、本作は“ONE STEP CLOSER TOUR”の一貫。マクドナルドを中心としてAORヒットを重ねていたリアルタイム感が宿っているのです。ここで、そのショウの内容をカンタンに整理しておきましょう。【トム・ジョンストン時代】TOULOUSE STREET(2曲)・Jesus Is Just Alright、Listen To The Music THE CAPTAIN AND ME(3曲)・Long Train Runnin’、China Grove、Without You WHAT WERE ONCE VICES ARE NOW HABITS(2曲)・Eyes Of Silver、Black Water STAMPEDE(3曲)・Take Me In Your Arms、Slat Key Soquel Rag、I Cheat The Hangman【マイケル・マクドナルド時代】MINUTE BY MINUTE(4曲)・Dependin' On You、Minute By Minute、Steamer Lane Breakdown、What A Fool Believes ONE STEP CLOSER(4曲) ・Keep This Train A-Rollin’、One Step Closer、Real Love、No Stoppin' Us Now その他(3曲)・Takin' It To the Streets(TAKIN' IT TO THE STREETS)、Echoes Of Love(LIVIN' ON THE FAULT LINE)、Can't Let It Get Away(キャンペーンソング)……と、このようになっています。ジョンストン時代とマクドナルド時代の名曲群が半々というバランスもさることながら、デビュー作以外を満遍なく押さえたセレクトはまさに集大成。それでいて、近2作『MINUTE BY MINUTE』『ONE STEP CLOSER』を厚く選んだ現役感も眩しい。アルバム未収録で清涼飲料水メーカーの「コーラを飲んでレコードを当てよう!」キャンペーン限定だった名曲「Can't Let It Get Away」も披露しています。また80年代初期と言えば、公式ライヴアルバム『FAREWELL TOUR』『LIVE AT THE GREEK THEATRE 1982』も残されているわけですが、その2作を合わせても聴けない名曲もたっぷり。ジョンストン時代なら「Without You」「Eyes Of Silver」「I Cheat The Hangman」を取り上げていますし、マクドナルド時代からも「Keep This Train A-Rollin’」「No Stoppin' Us Now」も楽しめます。そして、そんな名曲群をくるむ時代感も美味しい。翌年には活動休止を発表するとは言え、当時は大ヒットを連発する全盛期。その演奏には前のめりな勢いが宿り、歌声もフレッシュで力強い。オープニングから凄まじいまでのパワーでぐいぐい押しまくり、今は亡きキース・ヌードセンとチェト・マクラッケンの織り成す完璧なリズム・セクションに、非の打ち所のない見事なコーラスと豪快なバンドアンサンブルが絡んでいく。さらに輪をかけるのが現場ムード。友だち同士で「せーの」でメンバーの名を叫ぶ声は黄色く、ビシッと揃った手拍子は洋楽ブーム丸出し。繰り返しになりますが、本作の要は力強い演奏音であり、間近な絶叫・嬌声に悩まされることはありません。野太い野郎声の「アンコール!」もカタカナ発音全開です。しかし、フェスティバルホールに広がる熱狂のスペクタクルは封じ込まれており、「Slat Key Soquel Rag」前に「おおきに」と挨拶すると一気に沸き上がるムードもリアル。輝く名曲群だけでなく、“1981年の匂い”も極上クオリティで胸いっぱいに吸い込めるのです。「Eyes Of Silver」途中でテープ・チェンジのカットがあり、「Without You」で一瞬の音落ちはありますが、それ以外に欠点らしい欠点がまるでない。38年前の大気を極めつけの美音で綴るライヴ・イン・ジャパンの大名盤です。Live at Festival Hall, Osaka, Japan 13th October 1981 PERFECT SOUND(from Original Masters) DISC 1 1. Takin' It To the Streets 2. Jesus Is Just Alright 3. Keep This Train A-Rollin' 4. Take Me In Your Arms 5. Dependin' On You 6. Member Introduction 7. Can't Let It Get Away 8. Echoes Of Love 9. One Step Closer 10. Real Love 11. No Stoppin' Us Now 12. Eyes Of Silver 13. Minute By Minute 14. Black Water DISC 2 1. Slat Key Soquel Rag 2. Steamer Lane Breakdown 3. Long Train Runnin' 4. What A Fool Believes 5. I Cheat The Hangman 6. China Grove 7. Without You 8. Listen To The Music Michael McDonald - Keyboards & Vocal Patrick Simmons - Guitar & Vocal Keith Knudsen - Drums & Vocal Bobby LaKind - Percussion Cornelius Bumpus - Saxophone & Vocal John McFee - Guitar & Vocal Chet McCracken - Drums & Percussion Willie Weeks - Bass