80年代サウンドを大胆に取り込んだ意欲作『FLY ON THE WALL』で物議を醸していた1985年のAC/DC。そんな貴重な現場を伝説の名手が記録した新発掘マスターが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1985年11月21日ユニオンデール公演」。その新発掘オーディエンス録音です。1985年のAC/DCと言えば『FLY ON THE WALL』を世に問うただけでなく、歴史的一大イベント“第1回ROCK IN RIO”にトリ出演したことでも記憶される時期。その辺の状況を把握する意味でも、まずは当時のスケジュールを振り返ってショウのポジションを確かめてみましょう。1985年・1月15日+19日:南米 ←※ROCK IN RIO《6月28日『FLY ON THE WALL』発売》・9月4日ー11月24日:北米#1(58公演)←★ココ★ 1986年・1月13日ー2月27日:欧州(28公演)《5月24日『WHO MADE WHO』発売》・7月31日ー9月20日:北米#2(42公演)これが1985年/1986年のAC/DC。3つのツアー“FLICK OF THE SWITCH Tour”/“FLY ON THE WALL Tour”/“WHO MADE WHO Tour”が交錯する時期でもあり、ROCK IN RIO出演は『FLY ON THE WALL』発売前の“FLICK OF THE SWITCH Tour”大ラスでした。それに対し、本作のユニオンデール公演アルバム発売後。「北米#1」の終盤56公演目にあたるコンサートでした。そんな現場を真空パックした本作は、貴重な新発掘オーディエンス。何より驚きなのは、本作を記録したテーパー。かの高名なジョー・マローニ氏の大元カセットからダイレクトにデジタル化されているのです。マロニー氏と言えば、マイク・ミラードやダン・ランビンスキー等と並んでブランド化されている名手。ただ、そのクレクションはローリング・ストーンズやデヴィッド・ボウイ、PINK FLOYDなど70年代アーティストが有名であり、あまりHR/HMのイメージはありませんでした。まさか、80年代も半ばになってAC/DCを録音していたとは……。そんな存在自体が話題を呼ぶマスターを名門「Krw_co」が最新トランスファーしたのです。そのサウンドは、レーザー光線のようにシャープ。実のところ距離も否めないですし、HR/HM慣れしていないのかマロニー・コレクションの最高傑作とは呼びづらいタイプではあるものの、その空気感を貫く芯の鮮やかさはさすが名手。真っ直ぐに届く演奏音と歌声が主役の座を微塵も譲らず、巨大な熱狂を渦巻く会場とは思えないほどのクッキリとしているのです。ただし、あまりにも鋭い出音をあまりにも素直に吸い込んでいるせいか、高音にクセも出てしまった。本作では、そんなネット原音を丁寧にマスタリング。全盛ブライアン・ジョンソンのカミソリ・ヴォーカルも聞きやすく仕上がっています。そんな衝撃マスターから流れ出るのは、シーンの重鎮として君臨していた1985年のフルショウ。セットは“FLY ON THE WALL Tour”の定型でもあるのですが、良い機会でもありますのでここで整理してみましょう。ボン・スコット時代(8曲)・ハイ・ヴォルテージ:The Jack/T.N.T.・悪事と地獄:Dirty Deeds Done Dirt Cheap/Jailbreak・ロック魂:Whole Lotta Rosie/Let There Be Rock・パワーエイジ:Sin City・地獄のハイウェイ:Highway to Hell ブライアン・ジョンソン時代(8曲)・バック・イン・ブラック:Back in Black/You Shook Me All Night Long(★)/Shoot to Thrill/Hells Bells・悪魔の招待状:For Those About to Rock (We Salute You)・フライ・オン・ザ・ウォール:Fly on the Wall(★)/Shake Your Foundations(★)/Sink the Pink(★)※注:「★」印はROCK IN RIOでは聴けなかった曲。……と、このようになっています。定番曲がズラリと並ぶ中で、やはり美味しいのは『FLY ON THE WALL』の新曲群。このアルバムのナンバーは1986年まででその後一切演奏していない。「Fly On The Wall」で開演しつつ、シャープでアグレッシヴなブライアンの歌声やアンガスの勢いが猛烈に80年代の薫りを運んでくれるのです。「70年代の名手によるAC/DC」……もうこれだけで目眩がしそうなコレクター界の秘宝です。ジェネラル系の達人はHR/HM系を嫌うものだと思い込んでいましたが、今週はまさかまさかのイングヴェイ・マルムスティーン篇『Shades 1506』まで登場してしまった。この調子で発掘が続いてくれたら……そんな妄想で頭がいっぱいになってしまう新発掘。「1985年11月21日ユニオンデール公演」の新発掘オーディエンス録音。70年代の伝説名手ジョー・マロニーの大元カセットからデジタル化された銘品中の銘品です。レーザー光線のようにシャープなサウンドで、空気感を貫く芯の鮮やかさはさすが名手。巨大な熱狂を渦巻く会場とは思えないほど演奏音がクッキリと主役を譲らない名録音です。このツアーだけの『FLY ON THE WALL』も美味しいフルショウを現場体験できる衝撃の新発掘アルバムです。Nassau Coliseum, Uniondale, New York, USA 21st November 1985 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND Disc 1 (50:06) 1. Intro 2. Fly On The Wall 3. Back In Black 4. Shake Your Foundations 5. Dirty Deeds Done Dirt Cheap 6. You Shook Me All Night Long 7. Sin City 8. Jailbreak 9. The Jack Disc 2 (58:43) 1. Shoot To Thrill 2. Highway To Hell 3. Sink The Pink 4. Whole Lotta Rosie 5. Let There Be Roc 6. Hells Bells 7. T.N.T. 8. For Those About To Rock (We Salute You) 9. See You Again / After Show Brian Johnson - Vocal Angus Young - Guitar Malcolm Young - Guitar & Vocal Cliff Williams - Bass & Vocal Simon Wright - Drums