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Paul McCartney ポール・マッカートニー/Switzerland 10.29.1989

ポールがライブ活動を再開した1989年から90年にかけてのワールドツアーの内、89年の行程に関してはカセットからDATへというオーディエンス録音メディアの変わり目に当たってしまった感があり、なおかつ大会場を回るツアーであったせいで思いのほか音質のイケてる音源が少ないという弊害が起きてしまいました。 それだけに「L.A. FORUM 1989 3RD NIGHT」は文字通り別格のクオリティを誇るオーディエンス録音だったのですが、アメリカの前に行われたヨーロッパ・ツアーになるとこうしたレベルの高いオーディエンス録音というのがさらに少なくなってしまう。この時期の数少ないDAT録音オーディエンスであったパリ公演などはリアタイでリリースされ、そのDATという新兵器の威力をマニアに知らしめる結果となったのですが、それこそ稀な例でしかなくチューリッヒ公演こそ当時の平均的なオーディエンス録音かと。こちらはいかにもカセット・ウォークマンで録音したようなモワっとした音質。それと同時に、当時もっともポピュラーな録音メディアこそウォークマンだったことを思い起こさせるようなクオリティだとも言えるでしょう。よって今回の「L.A. FORUM 1989 3RD NIGHT」と比べると典型的なB級クオリティのオーディエンス。なのですが、このチューリッヒは音像が非常に近い。こもり気味な音質でオンな音像ということから、パッと聞いた感じだとまるでAMラジオ放送を聞いているのかと錯覚してしまいそうな感触。実際AMラジオは当時健在だった訳ですし。それに曲間ではフツーに周囲の観客が盛り上がっているのですが、演奏が始まると手拍子がみるみるフェイドアウト(笑)一気におとなしくなってしまう。そのくせ「The Long And Winding Road」の間ではずっとお喋りを続けるなど、よく解らないノリな臨場感となっていて、基本的には静か状態が多くを占めるという。よって間違ってもエクセレントと形容されるような音源ではないのですが、それでも不思議な聞きやすさのあるオーディエンス録音。基本ピッチが狂っており、なおかつ一定しない状態もきっちりアジャストしましたので、なおさら楽しめる状態となりました。そしてこの日は「Figure Of Eight」ミュージック・ビデオ用の撮影が行われたことでライブ開始直後にポールを始めとしたステージ上のメンバーにちょっとした緊張を強いられることに。この撮影が終わってタガが外れたのでしょうか、ポールがたまに凡ミスを犯しているのが面白い。「The Fool On The Hill」では演奏の終盤で彼がピアノの音を外す場面がみられますし、何より「Eleanor Rigby」で歌詞を間違えてしまうのが傑作。それに同曲や「Coming Up」ではリンダの歌声がいつも以上に大きく聞こえるというのも面白く、なおかつ音が近いのでなおさらよく聞こえてくる。このようにLAフォーラムから約一か月前のステージでありながら、あらゆる意味でそれとちがった雰囲気を捉えてくれたユニーク・オーディエンスなアルバムを用意いたしました。Hallenstadion, Zurich, Switzerland 29th October 1989 TRULY AMAZING SOUND Disc 1 (70:54) 1. Figure of Eight 2. Jet 3. Rough Ride 4. Got To Get You Into My Life 5. Band on the Run 6. Ebony and Ivory 7. We Got Married 8. Maybe I'm Amazed 9. The Long and Winding Road 10. The Fool on the Hill 11. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 12. Good Day Sunshine 13. Can't Buy Me Love 14. Put It There 15. Things We Said Today 16. Eleanor Rigby Disc 2 (60:42) 1. This One 2. My Brave Face 3. Back in the U.S.S.R. 4. I Saw Her Standing There 5. Twenty Flight Rock 6. Coming Up 7. Let It Be 8. Ain't That A Shame 9. Live and Let Die 10. Hey Jude 11. Yesterday 12. Get Back 13. Golden Slumbers 14. Carry That Weight 15. The End Paul McCartney - vocals, bass, guitar, piano; Linda McCartney - vocals; Hamish Stuart - guitar, bass, vocals; Robbie McIntosh - guitar, vocals; Paul "Wix" Wickens - keyboards, accordion, vocals; Chris Whitten - drums

Paul McCartney ポール・マッカートニー/Switzerland 10.29.1989

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