豪華さを極めつつ、英国プログレ史に異形の輝きを残したユニット「8人YES」。その新たなサウンドボード・アルバムが登場です。そんな本作に記録されているのは「1991年8月6日コスタメサ公演」。そのステレオ・サウンドボード録音です。「8人YES」と言えば、公式の化け物ボックス『UNION 30 LIVE』も記憶に新しいところですが、本作はそこにも収録されていない新発掘盤です。何はともあれ、まずはショウのポジション。YES史の重力特異点でもあったワールドツアーの全体像から振り返ってみましょう。1991年・4月9日ー29日:北米#1a(16公演)《4月30日『結晶』発売》・5月3日ー21日:北米#1b(15公演) ・5月29日ー6月30日:欧州(20公演)・7月5日ー8月8日:北米#2(28公演)←★ココ★ 1992年・2月29日ー3月5日:日本(5公演)《8人YES解体》これが「8人YES」の活動概要。私たちにとっては思い出深い来日公演はポツンと何ヶ月も離れた再結成的なポジションで、ツアー本編はあくまで1991年。本作のコスタメサ公演は、その最終盤である「北米#2」の26公演目にあたるコンサートでした。「8人YES」と言えば、公式作『UNION LIVE』のメインともなったマウンテン・ビュー公演が象徴ですが、本作はその2日前(2公演前)でもありました。そんなショウで記録された本作は、今まさに世界中のコレクターが色めき立っている新発掘サウンドボード。その出自も謎が多く、様々な推察が行われている真っ最中。まだ確定はされていませんが、現在のところでは「放送用に記録されたサウンドボードだが、放送されずに流出したもの」という説が有力です。その説の根拠となっているのは、あまりに極上なサウンド・クオリティにある。巨大な公式ボックスも出ている今となっては「オフィシャル級」と呼んでも大したことないと思われそうですが、やはりそう呼ぶしかない。生々しく未整理なミックスではありますが、それが悪いわけではない。丸出しの芯は現代IEMsのように鮮烈で、無加工な生々しさはアンサンブルを機微の機微まで伝えてくれる。しかも、その主がロック史の奇跡である「8人YES」なのですからたまらない。ギター/キーボード/ドラムが2人ずついるにも関わらず、その1音1音が綺麗にセパレートしており、いくら複雑に絡み合っても混じり合わない。明らかな卓直結サウンドにコンサートの現場体験感は望めませんが、生演奏と全身が完全一致するシンクロ感は絶大で、奇跡のアンサンブルを事細かに分析することも可能なのです。また、不思議なのは冒頭やセット・チェンジのパートでDJっぽい語りが入る事。ただし、あくまで「っぽい」であって口調も内容もDJそのものとは思えない。これもまた「未放送サウンドボードの流出」説の裏付けの1つとなっており、恐らく流出過程の関係者の肉声ではないかとも言われています。演奏には被らないので別に美点にも欠点にもならないのですが、ちょっとした謎解きの面白さを提供してくれるパートでもあります。さて、そんな謎多く極上サウンドボードで描かれるのは、公式『UNION LIVE』ともまたひと味違ったショウ。前述のように『UNION LIVE』の直近ではあるものの、不完全収録だった公式作を超える曲数ボリュームが楽しめるのです。ここで比較しながら整理しておきましょう。70年代クラシックス・サード・アルバム:Yours Is No Disgrace/I’ve Seen All Good People・こわれもの:Heart Of The Sunrise/Roundabout・その他:And You And I(★)/Awaken 80年代/90年代・ロンリー・ハート:Owner Of A Lonely Heart/Changes(★)・結晶:Shock To The System(★)/Saving My Heart/Lift Me Up(★)・その他:Rhythm Of Love/Make It Easy その他ソロ・セクション・Clap/Mood For A Day/Solly’s Beard/Whitefish/Amazing Grace ※注:「★」印は公式盤『UNION LIVE』で聴けなかった曲。……と、このようになっています。名曲「And You And I」や90125YESを内包しているからこその「Changes」「Lift Me Up」が楽しめるだけでなく、このツアーの限定曲「Shock To The System」まで披露。そのすべてを脳みそド直結サウンドボードで味わえるのです。また、ちょっと面白いのは「Yours Is No Disgrace」。普段通りにイントロが快走するのですが、さあここでヴォーカル入り!というタイミングで誰も歌い出さない。PAトラブルがあったらしく、ジョンだけでなくクリスやハウも完全にタイミングを見失っており、思わず吹き出す声がド直結サウンドボードで聞こえてくるのです(その絶望的な状況から立て直すのも凄いですが)。卓直結系サウンドボードだからこその絶大なシンクロ感と、『UNION LIVE』を遙かに超えるボリューム。凄まじいまでのクオリティで「8人YES」の奇跡アンサンブルをたっぷり味わえる新発掘アルバムです。プログレッシヴ・ロック史に特筆すべき驚異の3枚組。「1991年8月6日コスタメサ公演」のステレオ・サウンドボード録音。公式ボックス『UNION 30 LIVE』にも未収録の新発掘マスターで、卓直結の超ダイレクト感が鮮烈。生々しく未整理なミックスで、丸出しの芯はアンサンブルを機微の機微まで伝えてくれる。「And You And I」「Changes」「Lift Me Up」「Shock To The System」など、『UNION LIVE』で聴けないレパートリーもたっぷりのフルショウを超絶クオリティで楽しめます。Live at Pacific Amphitheatre, Costa Mesa, CA, USA 6th August 1991 STEREO SBD★初登場 Disc 1(71:25) 1. Intro 2. Firebird Suite 3. Yours Is No Disgrace 4. Rhythm Of Love 5. Shock To The System 6. Heart Of The Sunrise 7. MC 8. Clap 9. Mood For A Day 10. Make It Easy 11. Owner Of A Lonely Heart 12. MC 13. And You And I Disc 2(50:08) 1. Changes 2. I've Seen All Good People 3. MC / Introductions 4. Solly's Beard 5. Saving My Heart 6. The Fish 7. Tempus Fugit 8. The Fish (coda) 9. Amazing Grace 10. Life Me Up Disc 3(34:11) 1. MC 2. Rick Wakeman Solo 3. Awaken 4. Roundabout Jon Anderson - Vocals Steve Howe - Guitars Trevor Rabin - Guitars Chris Squire - Bass Rick Wakeman - Keyboards Tony Kaye - Keyboards Alan White - Drums Bill Bruford - Drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING