今からちょうど一か月前、何の前触れもなし放送されて世界中のマニアを震撼させたウィルターン・シアター。「LICKS」ツアー2002年のレグにおいてもストーンズが攻めに攻めていた時期のシアター・ギグのロングバージョン映像ということからDVDでのリリースにも関わらず大ベストセラーとなり、さらにはそこからの音声を抽出したサウンドボード・アルバム「WILTERN 2002」をリリースしてみたところ、これが大ヒットと化してしまったのはあまりにも予想外でした。というのも「フィラスぺ」や先日の「WELCOME TO NEW YORK!」といったビンテージが人気を博すのは予想できたことなのですが、比較的近年(とはいえ早くも20年前なのですが)のライブであるウィルターンがこれほどの間での人気を博すだなんて、リリースした側としては嬉しい驚き以外の何物でもありません。曰く「シアター・ギグらしさが伝わってくる生々しいミックス」、「演奏が激アツ」そして「CD一枚に収まって聞きやすい」といった声が多数寄せられたのです。いい意味でこちらの予想を裏切ってSold Outとなってくれたウィルターン・シアターですが、当然再リリースのリクエストが怒涛のように寄せられています。となれば追加を検討したのですが、待てよ…CD一枚のボリュームとはいえ、まだ少し容量が残っている。ということで今回はDVD「FOUR FLICKS」のボーナス・コンテントで採用されたテイクから「You Don't Have To Mean It」を追加収録することでさらに内容を充実させました。結果的にDVDで四曲、「LIVE LICKS」ライブアルバムに五曲がそれぞれ採用されていたのですが、後者は作り込まれたミックスの違和感(それはこのアルバム全体に言えたことですが)から流用は問題外。むしろそれよりはるかに今回の映像の音声の方が生々しいシアターのライブ感を伝えてくれる結果となったほど。そこでDVDから先のキース・ソングを採用した次第です。幸いにも「FOUR FLICKS」の音声は今回のミックスと比べてそれほどかけ離れておらず、そこから「You Don't Have To Mean It」を差し込んでもそれほど違和感がありませんでした。これで一曲だけながらも内容が向上したというだけでなく、実は「LICKS」ツアーにおける「You Don't〜」の演奏というのが意外なほど(というかかなり)貴重。ツアーで最初に披露されたのは好評発売中「ROSELAND BALLROOM 2002」で聞かれるローズランド・ボールルームのシアター・ギグで、当初からキースはシアター用レパートリーとして扱うつもりであったのでしょう。その後カナダのスカイドームで演奏され、ツアー三回目の披露となったのがここウィルターンだったのです。その後11月のオークランドでのラスト・トライを最後としてレパートリーから姿を消し、以降は代わりに「Thru And Thru」に取って代わられるのでした。そんなキース・コーナーを追加してさらに内容の充実を図ったのが今回のバージョンでして、今回も音質に改めて手を加えるような点はありません(当たり前ですよね)。ですのでCD一枚でサクッと聞ける2002年のゴキゲンなシアター・ギグという印象は今回も変わらず。リアタイではオーディエンス録音しか出回らず、その後の各種オフィシャルも小出しという状態でしたので、2002年のウィルターンでストーンズがこれほどまでにアツい演奏を聞かせてくれていたというのは非常に新鮮な驚きでした。よってマイナーチェンジという言葉がぴったり当てはまるセカンド・エディションなのですが、やはり演奏の良さにライブアルバムとしてのミックスの良さ、そしてCD一枚に収まった聞きやすさという三拍子揃ったアイテムはあまりにも魅力的。Wiltern Theatre, Los Angeles, CA, USA 4th November 2002 (73:32) 01. Introduction 02. Jumping Jack Flash 03. Live With Me 04. No Expectations 05. Beast Of Burden 06. Stray Cat Blues 07. Everybody Needs Somebody To Love (with Solomon Burke) 08. That's How Strong My Love Is 09. Going To A Go Go 10. You Don't Have To Mean It ★追加 11. Rock Me Baby 12. Bitch 13. Honky Tonk Women 14. Start Me Up 15. Brown Sugar 16. Tumbling Dice STEREO SOUNDBOARD RECORDING