名盤「THE END OF THE INNOCENCE」によってソロ・キャリアの頂点に達したドン・ヘンリー。その大ヒットを受けて行われたワールドツアーは足掛け三年に渡って行われたのですが、それほどまで長期に渡ったツアーからライブアルバムがリリースされることは叶いませんでした。1989年はアルバムのリリース直後にプロモーションを兼ねてヒューストンのラジオ放送が実現していますが、放送用ディスク一枚に収めるべくコンサート中盤がごっそりカットされた編集。ツアー終盤91年に関してはシンシナティのPAアウト・サウンドボードが流出していますが、臨場感が希薄という問題を抱えていた。その点90年に関しては通常のライブ・ステージの代わりにMTVアンプラグドへの出演を果たしていましたがこれは放送時間が短く、何よりツアーを代表するライブ映像とは言い難い。何しろこの年の初めには先のアルバムのタイトル曲がグラミー賞に輝いて大きな注目を浴びた時期でもあり、直前には来日公演まで実現した年でもあった。こうした状況の中にあってフル・ライブの放送やリリースが実現しなかったことが惜しまれてなりません。しかし、それほどまでの人気であったが故、驚いたことにマイク・ミラードまでもが彼のソロ・ステージを録音すべく出向いてくれていたことが判明したのです!もちろん彼が録音を敢行してくれたのはホームたるLAフォーラム。となればクオリティの高さは保証されたようなものですが、実際そのクオリティは聞いていて思わず鳥肌が立つレベル。相変わらずオンな音像が健在な上、音の鮮度も素晴らしいものがある。ミラードによる末期イーグルスの記録「SANTA MONICA 1980: MIKE MILLARD 1ST GENERATION CASSETTE」も極上オーディエンスであった訳ですが、今回も壮絶なミラード・クオリティ。当時は人気絶頂ながら、ヘンリーのソロも今や「懐かし」80年代末ロックの範疇となってしまった感ではありますが、そのクオリティは完全に最高級。とにかく人気の絶頂にあった1990年のステージですので、それまでのソロ・ナンバーをズラリと並べてみせた自信のセットリストが圧巻。今やクラシックとなった「The End Of The Innocence」も当時は新曲という位置づけですので、ライブの序盤であっさり披露。その後も「New York Minute」や「The Boys Of Summer」といった懐かしのソロ・ナンバーがズラリと。この充実の選曲の前ではイーグルス・ナンバーすら不要に思えるほどなのですが、この時期のヘンリーは人気絶頂であったことからシンガーに専念。ドラムに関しては何と元キング・クリムゾンのイアン・ウォーレスに任せており、結果として「Hotel California」を始めとした イーグルスの名曲をウォーレスが叩くという、マニアからするとレアなライブ演奏が聞けるというお楽しみまで。そしてヘンリー特有の淡々としていながら早口なお喋りも随所で聞かれるのが楽しいところで、メンバー紹介に続いて彼がこの年に設立した森林伐採に反対するウォルデン・ウッズという団体に対する説明もヘンリー節が炸裂しているのが面白く、英語が解らなくとも彼の独特な喋り声を聴いているだけで楽しめてしまうほど。そうしたソロ時代ならではの演奏とセットリスト。さらにはイーグルスの時よりも饒舌なステージングなど、1990年ならではの魅力が詰まった彼のステージが驚愕オーディエンスで記録された新たなるミラードマスターです!The Forum, Inglewood, CA, USA 8th June 1990 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (48:51) 1. Intro 2. Drivin' With Your Eyes Closed 3. Dirty Laundry 4. The End Of The Innocence 5. If Dirt Were Dollars 6. Sunset Grill 7. New York Minute 8. The Heart Of The Matter Disc 2 (56:05) 1. MC 2. Hotel California 3. Life In The Fast Lane 4. The Boys Of Summer 5. All She Wants To Do Is Dance 6. I Will Not Go Quietly 7. Band Introduction / Dialogue 8. Desperado 9. The Last Worthless Evening Don Henley - vocals, guitar John Corey - guitar Frank Simes - guitar Timothy Drury - piano, keyboards Scott Plunkett - keyboards Jennifer Condos - bass Ian Wallace - drums Sally Dworsky - backing vocals Marilyn Martin - backing vocals Dolette McDonald - backing vocals