スティーヴ・ハケット最後のワールド・ツアーであり、名作『SECONDS OUT』も生み出した“WIND & WUTHERING Tour”。その王者候補となってきた名作サウンドボードがブラッシュアップ。ナチュラル・トランスファーとGRAF ZEPPELINの細密マスタリングで「当時の出音」を甦らせた復刻アルバムが登場です。そんな本作に刻まれているのは「1977年3月19日ダラス公演」。その極上サウンドボード録音です。“WIND & WUTHERING Tour”と言えば、GENESIS史でも希に見る極上サウンドボードの名産地であり、当店でも数々の名作ライヴアルバムでアーカイヴしてきました。まずは、当時のスケジュールを振り返り、各レッグの代表作をチェックしてみましょう。・1月1日ー23日:英国(20公演) ←※SOUTHAMPTON 1977・2月2日ー5月1日:北米(44公演)←★ココ★・5月10日ー22日:南米(12公演)←※THE BRAZILIAN '77《5月20日『SPOT THE PIGEON』発売》・6月2日ー7月3日:欧州(20公演)←※DEFINITIVE ZURICH 1977《スティーヴ・ハケット脱退》《10月14日『SECONDS OUT』発売》これが1977年のGENESIS。本作のダラス公演は「北米」レッグの34公演目にあたるコンサートでした。このショウは約30分のプロショット『SECONDS OUT PROMO』にも残されていますが、それ以上に「北米」レッグの最高峰サウンドボードを生んだことで有名。GENESISには世界中のコレクターから信頼を寄せられている専門の音源サイトがありますが、そこで「WIND & WUTHERING Tourのベスト・サウンドボード」とされているのは5本。良い機会でもありますので、その5大サウンドボードもチェックしておきましょう。・1月3日『3RD NIGHT AT RAINBOW』・1月20日『SOUTHAMPTON 1977 2ND NIGHT」・3月19日:ダラス公演 ←★本作★・5月21日『THE BRAZILIAN '77(サンパウロ)』・7月2日『DEFINITIVE ZURICH 1977』……と、このようになっています。「北米」レッグと言えば、数ヶ月前にリリースされた『SAN FRANCISCO 1977 1ST NIGHT』も超極上サウンドボードでしたが、惜しいことに「Squonk」の冒頭が欠けており、厳密な意味での完全形ではありませんでした。このダラス公演は、そうした欠点もない「北米」レッグの最高傑作録音なのです。そして、本作はその最高峰を更新するスーパー・ナチュラル盤。ベスト・マスターの大元ナチュラル・トランスファーにまで遡り、そこから「GRAF ZEPPELIN」による細密マスタリングで磨き直したものなのです。何しろ、従来のベスト・バージョン『EXECUTIVE ACTION』が登場したのは15年ほど前。あの頃は音圧戦争(ラウドネス・ウォー)の真っ盛り。一般オフィシャルの世界で音圧を上げただけのリマスターCDが次から次へと登場し、パッと聴いた瞬間のインパクトで音質が語られていた時代だったのです。オフィシャルがそのザマですから、アンダーグラウンドでも音圧は正義だった。たとえアナログ録音の新発掘でも、ド派手にイコライジングされてから公開されるケースが多かったのです。前回盤『EXECUTIVE ACTION』もそんな時代の煽りを受けて迫力重視に仕上げられ、ノイズ・リダクションも豪快。曲間MCまで会場中に響き渡るような風呂場エコーまでかかっていました。それに対し、本作はあくまでも「ナチュラル」「現場の出音」を最重視しています。これは「何も手を付けない」という意味ではありません。何しろ、録音されたのは45年前。いかに世界最高峰クオリティのマスターとは言っても、テープの保存状態やデジタル化の工程などで微妙な変質は避けられません。「GRAF ZEPPELIN」の手法は、そうした変化を正し、1977年にメンバーが紡ぎ出していたノートに忠実に再現しているのです。それはピッチや位相のズレ、帯域分析でのバランス調整や各音域のノイズ処理など多岐に渡り、しかも1/1000秒の狂いも許さない偏執的とさえ言える精度で行っているのです。これも何度も書いたことですが、この手法・精度は「絵画・文化財の補修作業」をイメージして頂くと分かりやすいでしょう。流行や解釈を加えず、時代考証に基づきながら痛んだ絵の具を直し、オリジナルの色彩、タッチを再現していく。その結果生まれたナチュラル感は膨大な手間暇をかけたからこそ「何もしていないように自然」であり、ヘッドフォンで探るほどに美しい再現度に驚かされる。本作で初めてダラスSBDを触れる方にとっては単に「オフィシャルみたい」かも知れませんが、既発群を聴き込まれた方ほど「ここまで美しかったのか」と耳からウロコがごっそり剥がれ落ちることでしょう。そんな美学のサウンドで描かれるのは、素晴らしき“WIND & WUTHERING Tour”のフルショウ。ツアー後期の代表作『THE BRAZILIAN '77』『DEFINITIVE ZURICH 1977』とも異なるフルショウ。ここで比較しながらセットを整理しておきましょう。トリック・オブ・ザ・テイル・Squonk/Robbery, Assault & Battery/Dance On A Volcano/Los Endos 静寂の嵐・One For The Vine(*)/Your Own Special Way(★*)/...In That Quiet Earth(*)/Afterglow/Eleventh Earl Of Mar(*)ガブリエル時代クラシックス・怪奇骨董音楽箱:The Musical Box (Closing Section)・フォックストロット:Supper's Ready・月影の騎士:Firth Of Fifth/I Know What I Like (In Your Wardrobe)・眩惑のブロードウェイ:The Carpet Crawlers/The Lamb Lies Down On Broadway ※注:「*」印は『SECONDS OUT』で聴けない曲。「★」印は後『DEFINITIVE ZURICH 1977』で聴けない曲。……と、このようになっています。「英国」レッグの『SOUTHAMPTON 1977 2ND NIGHT』と比べると「All In A Mouse's Night」が落ちた事で流れがタイトになった一方、ツアー後期の『THE BRAZILIAN '77』『DEFINITIVE ZURICH 1977』では聴けない「Your Own Special Way」はまだ生き残っている。まさにツアー中期「北米」レッグだからこそのセットなのです 各レッグから超絶級サウンドボードが生まれた“WIND & WUTHERING Tour”。進化の過程をオフィシャル級サウンドで逐一追える、奇跡のツアーです。本作は、その「北米」で王座に君臨する名録音を「本来のサウンド」で甦らせた史上最高峰盤。GENESISコレクションでも欠かせない王者のライヴアルバム。「1977年3月19日ダラス公演」の超極上サウンドボード録音。WIND & WUTHERING Tourは各レッグから超絶級サウンドボードが生まれていますが、本作は「北米」レッグを代表する王者サウンドボードの最高峰更新盤。ベスト・マスターの大元トランスファーに遡り、「GRAF ZEPPELIN」による細密マスタリングで磨き直し。既発群のような加工感がなく、1977年の出音がそのまま甦るスーパーナチュラル・サウンドです。ツアー後期には演奏しなくなった「Your Own Special Way」も完全オフィシャル級サウンドで楽しめる絶対盤です。(リマスター・メモ)前回盤とは枝葉違いの、EQ処理が控え目の、よりフラットで繊細なマスターを元にリマスター 前回盤はかなり派手目で強烈なノイズリダクションと深いエコー処理により、音の浮き沈みなど加工感の目立つものでしたが、今回盤は非常に自然で繊細な濃密サウンド。全体的にやり過ぎない範囲でEQ処理でバランス調整 高周波ノイズおよび低周波ノイズ(ハムノイズ)除去 Live at Moody Coliseum, Dallas, TX, USA 19th March 1977 SBD(UPGRADE) Disc 1 (60:00) 1. Introduction 2. Squonk 3. One For The Vine 4. Robbery, Assault & Battery 5. Your Own Special Way 6. Firth Of Fifth 7. Carpet Crawlers 8. ... In That Quiet Earth 9. Afterglow Disc 2 (65:45) 1. I Know What I Like) 2. Eleventh Earl Of Mar 3. Supper's Ready 4. Dance On A Volcano 5. Drum Duet 6. Los Endos 7. The Lamb Lies Down On Broadway 8. The Musical Box (closing section) Phil Collins - Vocal, Drums, Percussions Steve Hackett - Guitars, Bass Pedal Mike Rutherford - Bass, Guitars, Bass Pedal, Backing Vocal Tony Banks - Keyboards, 12 string Guitar, Backing Vocal Chester Thompson - Drums, Percussions SOUNDBOARD RECORDING