【これぞ歴史的音源!デュエイン・オールマンとの共演ライブ】リリースの2作目は、70年12月1日、フロリダ州タンパ公演のニューバージョンです。こちらもまたオリジナルマスターテープから新たにデジタルトランスファーされて、ネット上にアップロードされたものです。この音源は、シンシナティ公演に比べると、やや音質の劣るモノラル・オーディエンス録音ですが、何と言ってもその価値は、唯一現存するデュエイン・オールマンとの共演ステージを収めている点にあります。アルバム「LAYLA AND OTHER ASSORTED LOVE SONGS」が、デュエインの参加によってバンドに化学反応が起きた結果、ロック史上に燦然と輝く名盤となったことは周知の通りですが、その効果を肌で感じ取り、デュエインと意気投合したクラプトンは、レコーディング終了後にデュエインに対し、正式にドミノスへの加入を打診したといいます。しかしデュエインは弟グレッグと結成した自身のバンドが軌道に乗ったばかりとあって、やむなくその誘いを断りました。しかしクラプトンもデュエインも、もう一度、今度はライブステージでの共演を望んで別れました。それが実現し、テープに残されたのがこの公演だったというわけです。デュエインはこの日のフルステージに参加しています。この音源は、クラプトンファン、サザンロックファンなら何をおいても聴かねばならないものでしょう。その期待を決して裏切らない、夢の共演がここに収められています。【特別な日の特別なパフォーマンス!】クラプトンもデュエインも、再度の共演を望みながら、実現したのはこのタンパ公演と翌日のシラキュース公演の2ステージだけと言われています。この日においては、後年に発掘された二人の共演写真が残っています。そこではデュエインのレスポールを抱えたクラプトンとクラプトンのストラトを抱えたデュエインが向かい合ってプレイする姿が収められていました。ギターを交換してプレイするほど、二人は共演の実現を喜んだのでしょう(どの曲でギターを交換したのかまでは判りませんが)。因みに翌日のシラキュース公演では、楽屋でのグループショットのカラー写真が後年発掘されています。デュエインは自分のバンドの都合がつく限り、フロリダ州からニューヨーク州へとドミノスに同行して長距離移動したことが窺えます。それほど二人は離れたくなかったのでしょう。ライブ初共演となったこの日、クラプトンは特別なサプライズを用意していました。ツアーでは一度もプレイしてこなかったLaylaをセットインさせたのです。クラプトンからすれば、ギターを6本重ねて録音した重厚なスタジオバージョンをライブで再現することは、デュエインなしには考えられませんでした。それが遂に叶う。だからクラプトンはLaylaをセットインさせたのです。デュエインがスタジオバージョン通り、あの7連フレーズを弾き、オブリガートをかまします。クラプトンはスタジオバージョンどおりのボーカルラインで歌います。サビの「♪Layla!♪」のコーラスもクラプトンは歌っています。これが堪らない!なぜなら、後年の予定調和の中で変化したボーカルラインや「♪Layla!♪」をバックコーラスに任せてしまうアレンジよりも、この時点ではリアルタイムだったメッセージだけに説得力が半端ないからです(この時点では彼はまだパティ・ボイドとの悲恋に苦しんでいたのです)。そして後奏ではデュエインのスライドギターが、空を駆け巡るかの如く活躍します。しかしスタジオバージョンとの違いはここからです。何とデュエインのスライドに被せるように、クラプトンがシングルノートで速射砲のようなソロを弾き出すのです。さらにデュエインがスライドでそれに応酬する(スタジオバージョンで印象的だったフレーズを奏でるところには思わずにやっとしてしまいます)。そしてこの展開に感極まったクラプトンが再度サビのコーラスを歌い出すのです。ボビーもあらん限りの力でシャウトしています。何とエネルギッシュなLaylaのライブバージョンでしょうか。このライブテイクが聴けるだけでもこの音源の価値はあります。しかしそれに加えて、ドミノスのレパートリーの数々に、スタジオバージョン同様にデュエインのプレイが加わるという、この日のパフォーマンスすべてに価値があることは言うまでもありません。逆にデュエインがスタジオバージョンに参加していなかったGot To Get Better In A Little While、Blues Power、Bottle Of Red Wine、Let It Rainで、デュエインによる縦横無尽のプレイが聴けることが特筆すべき魅力です。全曲においてクラプトンとデュエインのギターバトルが展開されていますので、やはり本作は聴かねばならない歴史的音源でしょう。【丁寧なメンディングによるグレードアップバージョン!】この日のオーディエンスソースには二種類のマスターが存在していますが、本作のマスターはLaylaのイントロにテープ揺れを含む、いわゆる「ラウド・バージョン」と呼ばれている方です。その表現通り、もう一方のマスターよりも楽音がくっきりと立ち、迫力のある音像です。しかしながら、ネット上のファイルには、元テープの経年劣化からLaylaの0:13 / 0:24 時点に酷いテープ揺れがあり、4:23時点には一時停止欠落がありました。当店ではテープ揺れを緩和し、一時停止部分は拍を合わせてのクロスフェード処理で格段に聴きやすくしました。(1:42時点の音落ちは削除すると跳ねるのでそのままです)。「ラウド・バージョン」で音揺れのないLaylaが聴けるのは、本作だけです!またBottle of Red Wineの途中には音のダブりもありましたので、ここも修正しました。最も顕著だった欠点は、やはり経年劣化による全体的なピッチの狂いで、全体に亘って-60 ~+20%程度という、バラバラに狂っているという酷い状態だったピッチを出来る限り正常に修正しました。さらに、前半部分で左右の音圧が極端に落ちる箇所が複数ありましたが、それらも緩和しています。このように、いくつにも及ぶ欠点を丁寧に修正して聴きやすくしたのが本作です。デレク・アンド・ザ・ドミノスのライブ史上、最重要と断言できる一日。(リマスター・メモ)-60 ~ +20%程度狂っていたピッチをなるべく修正しました。原盤Disc1前半で左右の音圧が極端に落ちる複数個所を緩和しました。 一時停止箇所をクロスフェード処理で繋ぎました。Curtis Hixon Hall, Tampa, FL, USA 1st December 1970 TRULY AMAZING SOUND(UPGRADE) Disc 1 (42:06) 1. Layla 2. Got to Get Better in a Little While 3. Key to the Highway 4. Why Does Love Got to Be So Sad? Disc 2 (44:22) 1. Blues Power 2. Have You Ever Loved a Woman 3. Bottle of Red Wine 4. Let It Rain Eric Clapton - Guitar / Vocals Duane Allman - Guitar Bobby Whitlock - Keyboards / Vocals Carl Radle - Bass Jim Gordon - Drums