キャッチーでありながらプログレッシヴ・ロックの矜持も色濃く刻まれた名盤『DUKE』で更なる成功を収めた1980年のGENESIS。そのフルショウを真空パックした絶対名手の銘品ライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1980年5月24日ロングビーチ公演」。歴史的名匠マイク・ミラードによって記録された極上オーディエンス録音です。「1980年GENESISのミラード録音」と言えば、名作『THE ROXY 1980』も浮かびますが、もちろん本作は別公演です。その辺の状況を把握する意味でも、まずは当時のツアー・スケジュールから振り返ってみましょう。《2月15日『SMALLCREEP'S DAY』発売》・3月17日ー27日:英国#1(7公演)《3月28日『DUKE』発売》・3月28日ー5月9日:英国#2(35公演)・5月17日ー6月30日:北米(35公演)←★ココ★《6月『FACE VALUE』制作開始》これが1980年のGENESIS。本作のロングビーチ公演は、その終盤の序盤。最終「北米」レッグの5公演目にあたるコンサートでした。この「北米」レッグからは先述の『THE ROXY 1980』の他、決定盤サウンドボード・アルバム『PERFECT MONTREAL(Virtuoso 057/058)』なども残されました。ここでさらに日程をズームしてコレクションを整理してみましょう。北米レッグの詳細・5月17日ー23日(4公演) ・5月24日:ロングビーチ公演 ←★本作★・5月25日『THE ROXY 1980』・5月26日ー6月17日(18公演)・6月18日『MISUNDERSTANDING IN BOSTON』・6月19日『PERFECT MONTREAL』・6月20日ー28日(7公演)・6月29日『MADISON SQUARE GARDEN 1980』・6月30日:サラトガ・スプリングズ公演 ……と、このようになっています。本作は『THE ROXY 1980』と同録音家コレクションというだけでなく、ショウも前日という姉妹作でした。しかし、いかに姉妹作とは言ってもサウンドは別物。もちろん、絶対名手ミラードの作品ですから極上には違いないのですが、個性がまるで違うのです。その要因は、もちろん会場。『THE ROXY 1980』は密室感たっぷりのクラブ・ギグだったのに対し、本作は1万人超の“ロングビーチ・アリーナ”。そのスケール感はまったく違うのです。ただし、これは音が遠いという意味ではありません。絶対名手ミラードの録音がスカスカになるはずもなく、しかも本作の録音ポジションは12列目。いつも通りにオンで力強い芯はダイレクト感たっぷりに迫り、ディテールも鮮明『THE ROXY 1980』よりはホール鳴りも厚めではあるものの、それもアンサンブルのダイナミズムにはなっても距離感にはならない。むしろ、拍手や声援まで近距離だった『THE ROXY 1980』よりも聴きやすいくらいなのです。そして、そんなダイナミック・サウンドで描かれるのは、最後のプログレ・アルバムと言われた名盤『DUKE』に伴うフルショウ。実のところ『THE ROXY 1980』よりも2曲少なかったりもするのですが、それはクラブ・ギグが特別だっただけで、本作の方が通常セット。ここでは北米レッグの大代表作となるサウンドボード・アルバム『PERFECT MONTREAL』と比較しながら整理してみましょう。デューク(7曲)・Behind The Lines/Duchess/Guide Vocal/Turn It On Again/Duke's Travels/Duke's End/Misunderstanding クラシックス(14曲)・ガブリエル時代:Dancing With The Moonlit Knight/I Know What I Like (In Your Wardrobe)/In The Cage/The Colony Of Slippermen・4人時代:Squonk/Ripples.../Dance On A Volcano/Los Endos/One For The Vines/Afterglow・そして3人が残った:Deep In The Motherlode/Say It's Alright Joe(★)/The Lady Lies/Follow You Follow Me ※注:「★」印は決定盤サウンドボード『PERFECT MONTREAL』で聴けない曲。……と、このようになっています。『THE ROXY 1980』から「Carpet Crawlers」「The Knife」を削ったスタイルですが、象徴サウンドボード『PERFECT MONTREAL』にはない「Say It's Alright Joe」はしっかり取り上げられている。この曲は“DUKE Tour”を最後に演奏されなくなる貴重曲ですし、アルバムよりもグッと伸張された7分半の大曲バージョンで披露してくれるのです。ピーター・ガブリエルも含め、GENESISファミリーをこよなく愛したマイク・ミラード。普段は同じバンドを繰り返し録音しないにも関わらず、GENESIS関係は膨大な録音を残したことからも深い愛情は明らかです。本作は、その情熱を注ぎ込んで録音された名作ライヴアルバムです。本作自体が優れた音楽作品でもありますが、さらに姉妹作『THE ROXY 1980』と併せれば、クラブとホールという異なるシチュエーションでの絶対名手の手腕も味わえる。極上オーディエンス録音ならではの愉しみに溢れた銘品。「1980年5月24日ロングビーチ公演」の極上オーディエンス録音。絶対名手マイク・ミラードの名作で、『THE ROXY 1980(Amity 621)』の前日にあたる姉妹作です。『THE ROXY 1980』は密室感たっぷりのクラブ・ギグだったのに対し、本作はアリーナのスケール感たっぷり。しかも12列目という間近感も両立しており、オンで力強い芯がディテールも鮮明に迫る。本作自体が優れた音楽作品ですが、『THE ROXY 1980』と併せれば、クラブとホールという異なるシチュエーションでの絶対名手の手腕も味わえます。Long Beach Arena, Long Beach, CA, USA 24th May 1980 PERFECT SOUND Disc 1 (69:01) 1. Deep In The Motherlode 2. Dancing With The Moonlit Knight 3. Squonk 4. One For The Vine 5. Story Of Albert 6. Behind The Lines 7. Duchess 8. Guide Vocal 9. Turn It On Again 10. Duke's Travels 11. Duke's End 12. Say It's Alright Joe Disc 2 (67:00) 1. MC 2. The Lady Lies 3. Ripples 4. Band Introduction 5. Misunderstanding 6. In The Cage 7. The Colony Of Slippermen 8. Afterglow 9. Follow You, Follow Me 10. Dance On A Volcano 11. Drum Duet 12. Los Endos 13. I Know What I Like Phil Collins - Vocals, Drums & Percussion Mike Rutherford - Bass & Guitar Tony Banks - Keyboards Chester Thompson - Drums & Percussion Daryl Steurmer - Guitar