11年ぶりの再結成が話題を呼んでいるROXY MUSICの“50th Anniversary Tour”。現在進行形のツアーをレポートする最新ライヴアルバムが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「2022年9月28日イングルウッド公演」。伝統の名会場“キア・フォーラム”で記録された極上オーディエンス録音です。彼らの50周年ツアーと言えば、傑作『WASHINGTON 2022』で第一報をお届けし、今回で二作目。まずは、近況を知る意味でもツアーの最新状況からおさらいしてみましょう。北米レッグ・9月7日:トロント公演・9月9日『WASHINGTON 2022』・9月12日ー26日:北米(7公演)・9月28日:イングルウッド公演 ←★本作★ 英国レッグ・10月10日:グラスゴウ公演 >>今ココ<<・10月12日:マンチェスター公演・10月14日:ロンドン公演 これが現在までに公表されている“50th Anniversary Tour”の全体像。ツアーが話題になるにつれて日程が増えるのではないかと噂されましたが、今はまだ当初発表された全13公演のままです。そんな中で本作のイングルウッド公演は北米レッグの最終日。本稿が公開されるのは母国イギリスの初日グラスゴウ公演も終わった頃ですので、まさに録りたてほやほやの最新ライヴアルバムなのです。そして、そのサウンドも実に素晴らしい。前作『WASHINGTON 2022』も第一報にしては極上のサウンドでしたが、本作も勝るとも劣らない。個性は似ており、骨太な芯と艶やかなホール鳴りが両立するリッチ・サウンド。あえて比較するなら前作は中高音のアタック音が力強くグイグイと迫ってくる感じでしたが、本作はそこまでの突進力がない代わりに、重低音がより芳醇。どっしりとしながらも輪郭がボケず、豊かなグルーヴがたっぷりと味わえるのです。こう書くと低音だけが突き出たサウンドと思われるかも知れませんが、そうではありません。あくまで『WASHINGTON 2022』を体験された方向けに比較した話であり、本作自体は中音域もたっぷりとした手応えを誇り、高音の伸びも素晴らしい。非常にバランスの取れた均整の美録音でもあるのです。そんなリッチ・サウンドで描かれるのは、50周の歴史を祝うフルショウ。まだ2作目でもありますので、ここでは11年前の前回リユニオン・ツアーと比較しながら整理しておきましょう。70年代前半(9曲)・ロキシー・ミュージック:Re-Make/Re-Model(★)/Ladytron(★)/If There Is Something ・フォー・ユア・プレジャー:The Bogus Man(★)/In Every Dream Home A Heartache/Editions of You/Do The Strand・その他:Out Of The Blue(★)/Love Is the Drug 再結成時代(9曲)・アヴァロン:While My Heart Is Still Beating(★)/Tara/To Turn You On/The Main Thing/More Than This/Avalon・その他:Dance Away(★)/Oh Yeah(★)/My Only Love ※注:「★」印は前回2011年の再結成ツアーで演奏しなかった曲。……と、このようになっています。半世紀の集大成と言うよりは、一番オイシイ70年代/80年代の濃厚グレイテスト・ヒッツ。パッと見ると『WASHINGTON 2022』と同じようにも思えますが、実は微妙に異なる。新たなレパートリーは特にないものの、2曲「Same Old Scene」「Jealous Guy」を省略。よりタイトで『AVALON』の比重の高いセットになっている。もちろん「The Bogus Man」「Oh Yeah」「Dance Away」といった復活ナンバーや、当時は演奏しなかった「More Than This」「To Turn You On」など、話題を呼ぶ要の名曲群はしっかりと楽しめます。早くもハイライトを迎えようとしているROXY MUSICの“50th Anniversary Tour”。思い返せば11年前の再結成ツアーも15公演ほど。このまま終了する可能性もありますが、ぜひ来年に向けて日程を追加していただきたいところです。そう願わずにはいられないほど素晴らしいフルショウを極上体験できる最新ライヴアルバム。「2022年9月28日イングルウッド公演」の極上オーディエンス録音。骨太な芯と艶やかなホール鳴りが両立するリッチ・サウンド。どっしりとしながらも輪郭のボケない重低音が芳醇で、中音域も手応えたっぷり。高音の伸びも素晴らしく、バランスの取れた均整の美録音です。「The Bogus Man」「Oh Yeah」「Dance Away」といった復活ナンバーも美味しい50周年ツアーのフルショウを現場体験できます。Kia Forum, Inglewood, CA, USA 28th September 2022 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(49:55) 1. India 2. Re-Make/Re-Model 3. Out of the Blue 4. The Bogus Man 5. The Main Thing 6. Ladytron 7. While My Heart Is Still Beating 8. Oh Yeah 9. If There Is Something 10. In Every Dream Home a Heartache Disc 2(44:56) 1. Tara 2. My Only Love 3. To Turn You On 4. Dance Away 5. More Than This 6. Avalon 7. Band Introductions 8. Love Is the Drug 9. Editions of You 10. Do the Strand Bryan Ferry - Vocals / Electric Piano Phil Manzanera - Guitar Andy Mackay - Saxophone / Oboe Paul Thompson - Drums Senab Adekunle - Backing Vocals Jorja Chalmers - Keys / Saxophone Nathan "Tugg" Curran - Percussion Christian Gulino - MD / Keys Neil Jason - Bass Chloe Beth Smith - Keys Fonzie Thornton - Backing Vocals Tom Vanstiphout - Guitar