再結成ROXY MUSICと平行しながらソロとしても勢力に活動していた2002年のブライアン・フェリー。その現場を伝えるオリジナル録音が新発掘です。そんな本作に吹き込まれているのは「2002年10月17日レスター公演」。そのオーディエンス録音……です、たぶん。いきなり頼りなくなって申し訳ありませんが、これはちょっと客録の音じゃない。とんでもない美録音なのです。その気になる内容の前に、まずはショウのポジション。2002年と言えば『FRANTIC』の年でもあり、ソロとしては7年ぶりの来日公演が実現した事でも思い出深い。まずは活動全景を俯瞰し、ショウのポジションを確かめてみましょう。《4月15日『FRANTIC』発売》・5月24日ー7月31日:欧州(20公演)・8月31日ー10月1日:欧州(21公演)・10月4日ー26日:英国(16公演)←★ココ・11月9日ー26日:北米(11公演)・11月30日+12月2日:日本(2公演)←※TOKYO 2002 これが2002年のブライアン・フェリー。2003年はソロと再結成ROXY MUSICのショウが混在していましたが、2002年はソロに専念。母国イギリスは欧州ツアーの仕上げとして実施され、本作のレスター公演はその10公演目。日本公演の1ヶ月半前にあたるコンサートでした。そんなショウを真空パックした本作は、独自ルートからもたらされたオリジナル録音なのですが、これがもう「ザ・美音」。録音者本人か譲られたので間違いなくオーディエンス録音ですし、曲間になると生々しい喝采が沸き上がる。しかし、肝心要の演奏音は完全にオーディエンス離れしている。極太の芯、細やかなディテール、ゼロ距離なダイレクト感……。ピアノのタッチも、ヴォーカルの息づかいも、サックスの光沢も、細部の微細部までオンで超鮮明なのです。それでいて「まるでサウンドボード」と言い切ってしまうのも違う。いや、サウンド・クオリティのレベル自体はそう呼ぶに相応しいのですが、そんな大雑把な表現では本作の美感に対して失礼な気がしてくる。実際ヘッドフォンでよくよく聴き込んでみると、ヴォーカルの鳴りに空間感覚も宿っており、これがとことん美しい。距離感やスカスカ感とはまったく違い、調整に調整を重ねて入念に計算し尽くされたエフェクトのような艶を与え、それでいて自然なエコーが奇跡のような気品を生み出している。この音響と芯が織りなす美景は、チャーチオルガンのような世界。パッと聴くと「オフィシャル作品レベルの高音質」であり、よくよく聴き込み、全霊で対峙すると「オーディエンスだからこその美」に満ちている事に気づかされるのです。そんな極めつけの美音で描かれるのは、ROXY MUSICとはまた違った名曲の宝箱。前述のように、来日公演の『TOKYO 2002』が定番にもなっていますので、比較しながら整理してみましょう。70年代/80年代クラシックス・ロキシー・ミュージック:Do The Strand/The Thrill Of It All/Love Is The Drug/My Only Love/Jealous Guy/Tara・ソロ:Smoke Gets In Your Eyes/Shame, Shame, Shame(★)/Let's Stick Together/Tokyo Joe/Carrickfergus/Boys And Girls/Slave To Love/Limbo 90年代以降・フランティック:Don't Think Twice It's Alright/Cruel/Ja Nun Huns Pris/A Fool For Love/It's All Over Now, Baby Blue・その他:The Only Face/Falling In Love Again(★)/My One and Only Love ※注:「★」印は来日アルバム『TOKYO 2002』では聴けなかった曲。……と、このようになっています。ROXY MUSIC再結成の直後と言うこともあってか、ソロ曲重視。本作で披露される全22曲のうちROXY MUSICナンバーは6曲に留まり、幅広くキャリアを網羅している。日本で演奏していた「Don't Stop The Dance」「Wooly Bully」がないものの、「Shame, Shame, Shame」「Falling In Love Again」を採用。よりオリジナル重視で幅広いショウになっているのです。ともかくムーディで艶やかであり、味わい深くも鮮やか。公式作品のように聴きやすく、オーディエンス録音だからこその輝きに満ちた絶世の美録音です。その美しさでフェリーのキャリアを総括したフルショウを彩る新発掘ライヴアルバム。「2002年10月17日レスター公演」の超絶級オーディエンス録音。録音者本人か譲られた本作だけのオリジナル録音で、極太の芯、細やかなディテール、ゼロ距離なダイレクト感……すべてが客録離れ。ピアノのタッチも、ヴォーカルの息づかいも、サックスの光沢も、細部の微細部までオンで超鮮明でありつつ、ほんのりとしたホール鳴りが生み出す艶がとことん美しい。再結成ROXY MUSICよりも幅広くキャリアを網羅したフルショウを超極上体験できる奇跡の新発掘ライヴアルバムです。Live at De Montfort Hall, Leicester, UK 17th October 2002 ULTIMATE SOUND(from Original Masters) Disc:1 (49:47) 1. The Only Face 2. Don't Think Twice, It's All Right 3. Falling in Love Again 4. Carrickfergus 5. Smoke Gets in Your Eyes 6. My One and Only Love 7. The Thrill of It All 8. Cruel 9. Ja nus hons pris 10. A Fool for Love 11. Tokyo Joe 12. My Only Love 13. Tara Disc:2 (43:54) 1. Limbo 2. Boys and Girls 3. Slave to Love 4. Jealous Guy 5. Love Is the Drug 6. Do the Strand 7. It's All Over Now, Baby Blue 8. Shame, Shame, Shame 9. Band Introductions 10. Let's Stick Together Bryan Ferry - vocals Chris Spedding - guitar Mick Green - guitar Paul Thompson - drums Mark Smith - bass Colin Good - piano Lucy Wilkins - violin, keyboards Julia Thornton - percussion ,keyboards Ian Dixon - saxophone Robert Fowler - clarinet, tenor saxophone Sarah Brown - backing vocals Katie Turner - backing vocals, dancer Anna Vollands - backing vocals, dancer