アップグレード・マスターで甦った新たな大名盤『DEFINITIVE RAINBOW 1972』が登場します。しかし、”1972年のレインボー・シアター”はその1本だけではありませんでした。そこで大決定盤のリリースを記念し、さらなる“レインボー・シアター公演”の新発掘マスターがリリース決定です。そんな本作に収められているのは「1972年12月23日ロンドン公演」。まずは、ツアースケジュールの中で『DEFINITIVE RAINBOW 1972』との距離感を確認しておきましょう。【1972年】・1月29日-3月24日:英国#1(18公演)・4月20日-5月27日:英国#2(15公演)・6月2日-7月15日:英国#3(18公演)・8月19日-9月7日:英国#4(12公演)『DEFINITIVE RAINBOW 1972』・9月22日-12月2日:北米(26公演)・12月23日-29日:英国#5(4公演) 【本作】 以上は“ZIGGY STARDUST TOUR”の1972年分だけを取り出したもの。1972年は「基本の4人+キーボード」という構成でしたが、キーボードだけが細かく交代。「英国#4」2公演目の『DEFINITIVE RAINBOW 1972』はニッキー・グラハムでしたが、「北米」以降はすべてマイク・ガーソン。本作のロンドン公演は、その北米ツアーを乗り越えた「英国#5」の初日にあたるコンサートです。本作は、そんな12月23日公演のオリジナル・マスターカセットを独自ルートで入手。ダイレクトにCD化したライヴアルバムなのです。そのサウンドは、実に素晴らしいヴィンテージ・オーディエンス。さすがに驚異的な2CDのサウンドとは比較できないわけですが、楽音は逞しく、70年代のアナログ感たっぷりな鳴りも艶やか。特にミック・ロンソンのギターと希代のカリスマ“ジギー・スターダスト”の歌声が極太なのが嬉しい。現場の生々しい熱狂も吸い込んではいるのですが、ジギーが歌っている間はすべて制圧され尽くしてしまうほど強力な楽音なのです。そのサウンドで描かれるのは、約4ヶ月間で様変わりした“ZIGGY STARDUST TOUR”の姿。特にイープニングのインパクトはなかなかのもの。「Ode to Joy」が開演を告げる……と思いきや、いつものイントロテープが流れず、ギターだけであのメロディを弾いている。ツアー再開初日だったせいで紛失していたのか、非常に珍しいシーンです。そして、そこから雪崩れ込むが「Hang On To Yourself」ではなく、ローリング・ストーンズのカバー「Let's Spend The Night Together」。実のところ、このショウの2週間前には『ALADDIN SANE』のためにスタジオしており、すでに収録を決めていたのかも知れません。その後は命運を決めた北米ツアーのセットをダイジェストしたようなショウになるのですが、ふと故郷の凱旋感覚が滲むのは「John, I'm Only Dancing」の後。ボウイが感慨深げに「Very nice to be back in London(ロンドンに戻って来られて本当に嬉しいよ)」と語る。その瞬間、ロンドンっ子たちの熱狂がわっと湧き出す。本作のパフォーマンスは全編熱いながらも、どこかリラックスしたムードが貫いているのですが、それは故郷ロンドンに戻ってきた喜びと安堵感。その象徴のようなシーンなのです。ロンドン伝統の名会場“レインボー・シアター”。『DEFINITIVE RAINBOW 1972』では「Lady Stardust」で始まるムードが新鮮でしたが、本作もまた「Let's Spend The Night Together」スタートのレアな夜。ロック史に眩しく輝く“ZIGGY STARDUST TOUR”の旨みを濃縮しながら、故郷ロンドンだけの景色が広がるライヴアルバムなのです。Rainbow Theatre, London, UK 23rd December 1972 TRULY AMAZING SOUND(from Original Masters) (55:42) 1. Intro. 2. Let's Spend The Night Together 3. Hang On To Yourself 4. Ziggy Stardust 5. Changes 6. The Supermen 7. Life On Mars 8. Five Years 9. Width Of A Circle 10. John, I'm Only Dancing 11. Moonage Daydream 12. The Jean Genie 13. Suffragette City 14. Rock 'n' Roll Suicide