フリー・ジャズから前衛、現代音楽、グラインド・コアまで、様々なジャンルに才能を広げるジョン・ゾーンにおいて、数々の表現バンドのなかでも特に彼のルーツであるユダヤ伝統音楽を主体とし、クレズマーからの影響も取り入れたフリー・ジャズユニット、エレクトリック・マサダは彼の最も過激なパフォーマンスの場として、2000年以降不定期ながらも活動を継続。そんな歴史の中でここでは結成初期の2003年と2007年、さらに突如再編された2022年のライブまで計3公演をコンパイル。まずdisc:1&2には2003年7月18日イタリア、ローマのジャズ・クラブで行われたショーをラジオ放送用マスターからのサウンドボード音源にて1時間44分にわたりフル収録。まずこの時期はゾーンの生誕50年を記念し数あるユニットによる企画ライブが行われ、このすぐ後のフランスのジャズ・クラブなどでの映像等も残されてはいるものの、ほとんどがダイジェスト的なものばかりで、このマーク・リボーらを擁した最もエレクトリック・マサダらしい時期のフル・ライブは極めてレア。なお顔なじみメンバーに加え、Moonchildシリーズのトレバー・ダンもベースで参加しており、全体としてエキゾチックな音階に手数の多いリズム隊がグルーヴし、フリーキーなサックスと歪みまくったリポーのギターと、オルタナ・ニューウェーヴなキーボードが絡むまさに珠玉のジャズ・ロック。そしてdisc:3は2007年6月27日同じくイタリア、ローマのジャズ・クラブでのギグを、こちらもラジオ・オンエアー・マスターからのサウンドボード音源にて1時間10分にわたり収録しており、こちらリボーをはじめとした基本メンバーは2003年と全く同様で、そのうえにエレクトロニクスやツイン・ドラムなどが加わり、さらにインプロ色の強い演奏にて。そして最後のdisc:4には2022年3月27日、アメリカ、テネシーで開催されたジャズ・フェス「ビッグ・イヤーズ・フェスティバル」に突如ニュー・エレクトリック・マサダ名義で出演した際の模様を、テーパーにより公開されたデジタル・オーディエンス・マスターから46分にわたり収録。こちらフェスゆえ時間こそ短いものの、おなじみのメンバー以外には、マーク・リボーの代わりにこちらも奇才ビル・フリーゼルが参加しており強烈なソロを披露。とにかくフリー・ジャズのワクに留まらないゾーンの現在を知るにもマストであり、ジャズ・ロックの枠組みでも多くのリスナーにアピールするであろう、必聴マスト・アイテム。DISC 1 : 1. LILIN 2. RACHAB 3. YATZAH 4. IDALAH-ABAL DISC 2 : 1. KARAIM 2. HATH-AROB 3. TIZAH 4. PELIYOT 5. KEDEM Recorded at Jazz Club La Palma, Rome, Italy, July 18th 2003 : Soundboard Recording / 104 min John Zorn - alto saxophone / Marc Ribot – guitar / Jamie Saft – keyboards / Trevor Dunn - electric bass / Kenny Wollesen – drums / Cyro Baptista – percussion DISC 3 : 1. TEKUFAH 2. NE'EMAN 3. HATH-AROB 4. Unknown 5. IDALAH-ABAL 6. YATZAR 7. METAL TOV 8. KEDEM Recorded at Auditorium Parco della Musica, Rome, Italy, June 27th 2007 : Soundboard Recording / 70 min John Zorn - alto saxophone / Marc Ribot – guitar / Jamie Saft – keyboards / I.M. – electronics / Trevor Dunn - electric bass / Joey Baron – drums / Kenny Wollesen – drums / Cyro Baptista - percussion DISC 4 : 1. LILIN 2. ABIDAN 3. HATH-AROB 4. KARAIM 5. IDALAH-ABAL Big Ears Festival 2022 : at Bijou Theatre, Knoxville, TN, USA March 27th 2022 : Audience Recording / 46 min John Zorn - alto saxophone / Bill Frisell – guitar / Julian Lage – guitar / John Medeski – organ / Brian Marsella – piano / Trevor Dunn - electric bass / Kenny Wollesen – drums / Ches Smith – drums / Kenny Grohowski - percussion