マイク・ミラードによるデヴィッド・リンドレーのライブ記録と言えば1989年の「LOS ANGELES 1989: MIKE MILLARD FIRST GENERATION CASSETTE」がマニアを唸らせてくれたのは記憶に新しいところですが、その際に彼がリンドレーのステージを二回録音していた、どちらも前座を務めた時のものという記載がありました。その二つ目の録音が遂に公開されたのです。時は8年遡ったLAフォーラム。「LOS ANGELES 1989~」では付き合いの長いジャクソン・ブラウンの前座を務めた時のステージでしたが、今回はジョー・ウォルシュの前座を務めた時の記録。これでピーンと来られる方もおられるでしょう。そう、あの名盤「L.A. FORUM 1981 MIKE MILLARD FIRST GENERATION TAPES」の時のもの。当時のリンドレーは初のリーダー・アルバムにして名盤「EL RAYO-X」をリリースしたタイミング。そのアルバムのプロモーションも兼ねたウォルシュの前座だったという訳です。アルバム「EL RAYO-X」はきらびやかなパーカッションの音を前面に押し出した、いうなればワールド・ミュージックの先駆けと呼べる内容だったのですが、そのご機嫌なサウンドの要を担うのは元キング・クリムゾンのイアン・ウォーレス。ライブ自体の幕開けとなる前座ステージですので序盤は会場の出音の抜けが悪く、ミラードの録音にすらバランスの悪さが現れていたのですが、そんな霧もすぐに晴れていつものミラード・クオリティでリンドレーのゴキゲンなサウンド、さらにはウォーレスの快活なプレイがたっぷり味わえます。そのステージはウォルシュ目当て会場に集まったファンにもすんなり受け入れられており、もはや前座とは思えないほどの盛り上がりを見せている。先のアルバムにも収録されていた「Twist And Shout」から幕を開け、ウォーレスを中心としたバンドの演奏がテンポ良く進みます。彼のドラム・ソロまで交えたライブ終盤の「Tu-Ber-Cu-Lucas and The Sinus Blues」に至ってはいよいよ盛り上が白熱、リンドレーのライブ・パフォーマーとしての盛り上げ上手な様子も伝わってきます。普段は大きくてもシアター止まりな彼がフォーラムのような大会場のステージに上がっても全く物怖じすることなく、むしろイキイキとした快演を聞かせてくれるのはお見事。なるほどポップでカラフルなサウンドがミラードの心を捉えたのは想像に難くなく、普段なら前座のステージでレコーダーを回さない彼がスイッチを入れたのも納得のパフォーマンスを極上クオリティで聞かせてくれる初登場オーディエンス。後にオフィシャルでリリースされたライブアルバム「EL RAYO LIVE」は1982年のステージを収めた上に少なめな収録曲数でしたが、それ以前の「EL RAYO-X」期でこれほどまで高音質で内容も非常に充実したライブ音源が発掘されたという、正に玄人好みのミラード音源を心ゆくまでお楽しみください。The Forum, Inglewood, CA, USA 18th July 1981 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND (47:33) 01. Twist And Shout 02. She Took Off My Romeos 03. Your Old Lady 04. Brother John / Amazing Grace 05. Persian Fiddle Tune 06. Hangman's Tree 07. Band Introduction 08. Quarter Of A Man 09. Tu-Ber-Cu-Lucas and The Sinus Blues 10 Mercury Blues David Lindley - Vocals, Guitars, Steel Guitar Bernie Larsen - guitar Ian Wallace - Drums George "Ras Baboo" Pierre - percussion