ボウイがポップスターとしての頂点を極めた1983年のシリアス・ムーンライト・ツアー。人気絶頂期らしくオフィシャルのバンクーバーを始めとして映像と音源の両方で恵まれている時期でもありますが、ツアーそのものは開始直前でギタリストが交代になるという有名なトラブルがあり、そこに輪をかけて大掛かりなステージ構成もあってエンジン全開となるにはそれなりに時間を要しました。しかし今回リリースされる6月28日のエジンバラ公演はオープニングの「Star」を一聴しただけでも解りやすいくらいにエンジン全開。ボウイが絶好調なのはもちろん、彼を支えるバンドの演奏もキレッキレ。それもそのはず、この次のショーがハマースミス・オデオン10年ぶりの帰還であったというだけでなく、何よりシリアス・ムーンライト・ツアーのイギリス行程で大一番であったミルトン・キーンズを直前に控えていたとなれば、ここでの好調ぶりにも合点がいくというもの。そんなハイテンションな演奏ぶりを捉えてくれたオーディエンス録音の音質がまた極上。野外スタジアムという大会場でありながら、それこそ「まるでサウンドボード」と例えずにはいられないド迫力の音像。ただ音が近いというだけでなく、演奏のバランスも絶妙。ましてや広大な野外会場のオーディエンス録音では犠牲になりやすいベース音も大迫力な音像で捉えてくれている。カーマイン・ロハスのブリブリいうベースラインがこれだけ克明に捉えられた83年のオーディエンス録音もなかなかないのでは。何しろ本ツアーは広大な野外会場が多かっただけに。これほどまで別格のクオリティを誇る音源、それがまたイギリス行程における稀代の名録音であるミルトン・キーンズ直前であったからに他ならない。このタイミングに関しては何とも惜しまれるばかりなのですが、それでも凄まじいまでの高音質とハイ・ボルテージな演奏ぶりはマニアだけでなく初心者にも胸を張って推せる素晴らしいもの。そして一般的にはボウイが時折好んだカバー曲の一つにすぎないと捉えられがちな「Sorrow」がここでは大合唱となっているのが実に楽しい。確かにイギリスの一発屋的バンド、マージーズ(失礼)が放ったヒット曲であった訳ですから、母国でこれほどまで盛り上がるのは当然かもしれません。こうしてド迫力の音質と演奏だけでなく、正にオーディエンス録音ならではの楽しい臨場感まで伝わってくるシリアス・ムーンライト・ツアーからの初登場&ウルトラ・オーディエンス。Murrayfield Stadium, Edinburgh, Scotland 28th June 1983 TRULY PERFECT SOUND★超高音質 Disc 1(53:20) 1. Intro 2. The Jean Genie (Intro) 3. Star 4. “Heroes” 5. What In The World 6. Golden Years 7. Fashion 8. Let’s Dance 9. Breaking Glass 10. Life On Mars? 11. Sorrow 12. Cat People (Putting Out Fire) 13. China Girl 14. Scary Monsters (And Supercreeps) 15. Rebel Rebel 16. White Light/White Heat Disc 2(52:53) 1. Station To Station 2. Cracked Actor 3. Ashes To Ashes 4. Space Oddity 5. Band Introduction 6. Young Americans 7. TVC 15 8. Fame 9. Stay 10. The Jean Genie 11. Modern Love