エリック・クラプトンの日本公演の極上オーディエンス・ソースをリリースし続けるレーベルより、1993年ジャパンツアー初日、日本武道館公演が登場です。今回、このツアーからのニューリリース・タイトルのマスターは、すべて同一録音者からの提供によるDATソースです。91年頃に発売開始されたDATはまだ93年時点でも普及の途上にあり、珍しいもので一部の録音マニアしか入手していませんでした。それを逸早く使用して録音された今回のマスターは、3タイトルとも従来のカセットテープ・マスターでは捉え切れなかったクリアさ、音の拡がりとステレオ感、深みのある音質、低音から高音までが捉えられた良好サウンドバランス、各楽器とボーカルのバランス、とどの特性をとっても優っています。初日となったこの日には、既発盤として1作のみ「BLUES ROOTS」が存在しましたが、本盤はそれを軽く凌駕してしまいました。結論的には、本盤がこの日の決定版と断言できるものです。このジャパンツアーは、歴代のクラプトンのジャパンツアーにあっても個性を放つ内容とバンドで構成されていました。前半をアコースティック&エレクトリック・ブルース、後半をヒット曲とブルースで構成し、クラプトンは曲に合わせてギターをいろいろ持ち替えました。バンドは、リトル・フィートのリッチー・ヘイワードをドラムに据え、セカンド・ギター、キーボード、ベースに加え、ホーン・セクション、ハーモニカ、女性コーラスを擁した、この時だけの布陣でした。翌年の「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」では女性コーラスを排除したことを考えますと、過渡期とも言えるステージ構成とバンドだったと言えるでしょう。言い換えれば、ロック・スターとしてのクラプトンとブルース・マスターとしてのクラプトンの聴きどころ、クラプトンがやりたかったことを満載したものだったわけです。当時、オーディエンスは前半部で延々と演奏されるオールドブルースに面食らったという記事も報じられましたが、今にして思えば、曲の前には必ず作者と曲名を真摯にアナウンスするクラプトンの姿に、ブルースの「伝道師」たる健気さを感じざるを得ないものです。日本のファンにも自分の拠りどころを知ってもらいたかったのでしょう。10月12日 東京・武道館 ←ココ★13日 東京・武道館14日 名古屋・レインボーホー17日 福岡・国際センタ18日 大阪・大阪城ホー19日 大阪・大阪城ホール21日 東京・武道館22日 東京・武道館23日 横浜・横浜アリーナ25日 東京・武道館26日 東京・武道館27日 東京・武道館30日 横浜・横浜アリーナ 31日 東京・武道館 ドブロを使用したカントリー・ブルースから徐々にステージは温まっていきます。ハウリン・ウルフの44をプレイする頃には、ヘイワードの怒涛のドラムが炸裂し、バンドの底力を見せつけます。そしてスモークが焚かれる中、響き渡るWhite Roomのイントロで完全にいつものペースに持っていきます。当時のトリビュート企画でカバーしたジミ・ヘンのStone Freeで弾け捲った後には、一転してアコースティック・セットで悲しいバラード2曲を挿みます。当時Circus Left Townは未発表でした。次曲のTears In Heavenと共に、失った息子さんへの想いを託したナンバーを日本のファンに聴かせたいと意図したクラプトンの心情を汲み取っていただきたいパートです。そしてこのあとは、完全燃焼を目指したかのような、息をも継がせぬド迫力のパフォーマンスが畳み掛けられます。それをまた悲しいAin’t Nobody Businessで締めるところが心憎さを感じさせます。そしてオーラスのLayla。これほど意図されたセットリストは歴代のジャパンツアーでもなかったのではないかと思える味わい深い内容です。まずは押さえていただきたい極上音質の初日音源が本盤です。Live at Budokan, Tokyo, Japan 12th October 1993 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 (55:03) 1. Opening 2. Malted Milk 3. Terraplane Blues 4. How Long Blues 5. 32-20 6. Kidman Blues 7. County Jail Blues 8. .44 9. Blues Leave Me Alone 10. Tell Me Mama 11. White Room 12. Badge 13. Wonderful TonightDisc 2 (55:29) 1. Stone Free 2. Circus Left Town 3. Tears In Heaven 4. Crossroads 5. Tearing Us Apart 6. Groaning The Blues 7. Cocaine 8. Ain't Nobody's Business 9. Layla Eric Clapton - Guitar, Vocals Andy Fairweather Low - Guitar Nathan East - Bass, Vocals Chris Stainton - Piano, Keyboards Richie Hayward - Drums Jerry Portnoy - Harmonica Roddy Lorimer - Trumpet, Horns Tim Sanders - Tenor Saxophone, Horns Simon Clarke - Baritone Saxophone, Horns Katie Kissoon - Backing Vocals Maggie Ryder - Backing Vocals