ジョー・リン・ターナーを迎えたDEEP PURPLEにとって結果的に一回限りとなった1991年のワールド・ツアーより、来日公演最終日に当たる6月27日の東京・日本武道館公演が、完全初登場のニュー・オーディエンス・マスターを用い、ファン驚きのタイトルでリリースです。DEEP PURPLEが'90年に発表した「SLAVES AND MASTERS」は、"イアン・ギランこそがPERPLEの声"だと信じる一本気なファンからは大いに批判されたものの、ジョーはバンドに都会的で産業ロック的な要素をもたらし、アルバムではメロディアスで完成度の高いハードロック・サウンドを楽しむ事ができました。特にRAINBOW時代のメンバーが3人も揃う編成は(一部では「PURPLEがRAINBOW化した」というマニアの嘆きもありましたが)特に日本では好意的に受け止められ、この編成による来日公演の実現はファンを喜ばせました。この時の来日は全部で4公演のみでしたが、そのうち3公演までが武道館公演という内容は、ジョーを擁するPURPLEへの支持の現われとも言えるでしょう。本作ではこの最終日・武道館公演の模様を、既発音源と異なる新発掘オーディエンス・マスターをダイレクト使用して音盤化しています。'91年来日公演からは大阪公演の「MASTERS AND SERVANTS」が大定番として知られていますが、東京での3公演もそれぞれ音源が発掘され、公式ライヴ音源では聴けないリッチーとジョーの共演を楽しみたいというファンの要望を満たしてきました。この27日も「DIFFICULT TO CONQUER」という既発が存在し、長らく同日音源の優良ソースとしてファンに親しまれてきていますが、今回新たに登場する本作は、その「DIFFICULT TO CONQUER」以上に安定感ある録音が特徴です。均整の取れたバランスの良いライヴ・サウンドは、いかにも武道館といえる臨場感と共に、第六期PURPLE最後の日本公演という特別なショウをじっくりと楽しませてくれます。「SLAVES AND MASTERS」ライヴの幕開けを飾る「Burn」には、日本のリッチー・ファン全てが歓喜したと言っても良いでしょう(リッチーが日本において「Burn」を単独の曲としてフル演奏したのはこの'91年が初めて)。会場内はオープニングにも関わらず最初からピークの大盛り上がりで、続く「Black Night」も大合唱でスタートします。同曲中盤ではこれも日本のファンを大喜びさせた「Long Live Rock 'n' Roll」のインサート、さらに一節のみではありますが「Child In Time」のメドレー演奏など、自由度の高い第六期PURPLEだからこそ実現できた聴き所が、ライヴの前半から目白押しです。ライヴ中盤以降は「SLAVES AND MASTERS」からセレクトされた名曲の数々が、RAINBOWを彷彿させるリッチーとジョーの共演を楽しませます。ジョーを得る事でリッチーが志向したメロディアスな世界観を実現した「Truth Hurts」の素晴らしさはまさにマジック。リッチーの切れ味あるギターが生むスピーディなリフとバッキングが印象的な「The Cut Runs Deep」では、ジョーも負けじと熱唱しています。同曲中盤ではペイスのドラムをバックに、ジョーがオリジナルとは異なるワイルドな装いで歌い上げる「Hush」も聴き逃せません(後半に鳴り響くジョン・ロードのハモンドも最高)! さらにはロジャー・グローヴァーのベースノートが堪らない「Fire In The Basement」、ギランではおよそ不可能な「Love Conquers All」と、カラフルで瑞々しいメロディが印象的な楽曲はどの曲をとっても聴き応え満点です。もちろんギランが残した第五期PURPLEナンバーも、「Perfest Strangers」や「Knocking At Your Backdoor」などは(元々のアイディアがRAINBOW時代に書かれたとされるだけあって)ジョーの歌唱も違和感無くフィットし、新曲やPURPLEクラシックに負けない聴き所を演出しています。ライヴのアンコールでありクライマックスの「Smoke On The Water」は、これも第六期ならではの「Woman From Tokyo」や「King Of Dreams」、さらにはドラムソロを組み込んだメドレー構成が耳を惹きます。リッチーは曲中で「Hall Of The Mountain King」をフィーチャーするなど見事なプレイとソロを聴かせてくれて、このライヴでは気持ちもポジティヴだった事が判ります。終演後の大きな拍手を聴けば、このライヴがいかに充実していたか、はっきりと理解できるでしょう。ジョー・リン・ターナー時代は結果として短い期間で終わりを迎えてしまいますが、当時のライヴはジョーのメロディアスかつソウルフルな歌唱をフィーチャーし、リッチーも乗り気だった素晴らしい内容です。良質な「SLAVES AND MASTERS」ナンバーを多数盛り込んだセットリストも魅力的で、(特にRAINBOWも好きな)ファンならばラストまで飽きずに聴き込めるでしょう。本作は第六期DEEP PURPLEのライヴがいかに高品質であったかを証明する最高のサンプルと言えます。本録音のリリースは、PURPEL及びリッチー・ファンはもちろん、RAINBOWファンにとっても嬉しいグッド・ニュースです!Live at Budokan, Tokyo, Japan 27th June 1991 TRULY AMAZING SOUND(from Original Masters) Disc 1 1. Intro. 2. Burn 3. Black Night incl. Long Live Rock 'n' Roll 4. Child In Time/Black Night(reprise) 5. Truth Hurts 6. The Cut Runs Deep incl. Hush 7. Hey Joe 8. Perfect Strangers 9. Fire In The Basement 10. Love Conquers All Disc 2 1. Difficult To Cure 2. Jon Lord Solo 3. Knocking At Your Back Door 4. Lazy 5. Highway Star 6. Smoke On The Water 7. Ian Paice Solo 8. King Of Dreams 9. Woman From Tokyo/Smoke On The Water Ritchie Blackmore - Guitar Joe Lynn Turner - Vocal Roger Glover - Bass Jon Lord - Keyboards Ian Paice - Drums