1996年から翌97年にかけて行われた「ANGRY MACHINES」ツアーから、'97年2月10日のカリフォルニア州パロ・アルトにおける80分間の極上レベルの超高音質オーディエンス録音テイクと、ツアー終了の前日に当たる'97年11月20日のチリ・サンチアゴ公演を60分にわたってオフィシャル級のサウンドボード音源で収録した、全てのロニーファン必聴のアイテムです!ロニーは'93年のDIO再始動において、インダストリアル出身のトレイシー・Gをギタリストに迎え、当時の時代性を反映したヘヴィでラウドな音楽を志向し、「STRANGE HIGHWAYS」や「ANGRY MACHINES」といった、それまでのDIOとは異なるスタジオフルレンスを残しました。それらのアルバムは楽曲単位で考えれば必ずしも悪くはない作品だったのですが、いかんせんロニーのイメージとはかけ離れた作風であり、特にRAINBOWや80年代のBLACK SABBATHから彼を支持していたファンからは厳しい評価を与えられてしまい、その作品への不満はもっぱら、ソングライティングやライヴでロニーを支えたトレイシーに向けられ、言い過ぎを越えて不当なまでの酷評に晒されてしまいました。その点だけで言えば彼にとってDIOでの活動期間は、本作のタイトル通りまさしく「虐げられた年月」だったのかも知れません。そんな状況下でもロニーは事あるごとに「彼の実力は素晴らしい」と言ってトレイシーを擁護しましたが、現在の感覚でこの演奏を聴くと、ロニーの彼に対する言葉は正しかったと理解できるはずです。初代ギタリストのヴィヴィアン キャンベルにも負けないスピーディなピッキングはDIOのクラシックを90年代の音色で再構築しており、フレージングの技量はクレイグ ゴールディやローワン・ロバートソンを明らかに上回っています。もともとの出身からして「正統派」や「様式美」ではないトレイシーだけに、各曲のソロやバッキングにおいては、聴く者の要求に対して「ひとつ上」ではなく「斜め上」というような、予想もつかないプレイを聴かせてくれており、それがこの時代ならではの大きな魅力と言えるでしょう。ディスク1は'97年のツアー開始から4公演目に当たりますが、この2月6日から11日までの5公演はヴィニー・アピスがバンドに不在で、スコーピオンズのジェイムズ・コタックが代打を務めた、非常にレアなショウです。(「Don't Talk Strangers」の後でロニーがその点を踏まえてコタックを紹介しています。)オーディエンス録音ながらバランスの良さとクリアさ、収録の安定性など全てにおいて優れており、オーディエンスノイズも程好い臨場感を演出するほかは全く邪魔にならず、下手なサウンドボードよりもよほど上位と断言できる奇跡的な録音になっています。この時期ならではの Jesus, Mary And The Holy Ghost や、Double Monday に Hunter Of The Heart などといった「モダン ヘヴィネス」曲はおそらくトリビュートや企画でも演奏されないでしょうし、それらをジェイムズ コタックのドラムで聴ける本作は、それだけで掛け値なしの値打ちがある希少な音源となっています。ディスク2に収録されたサンチアゴ公演は、冒頭の数秒間を聴いただけで誰もが唸る、オフィシャル顔負けの超一級SBD音源です。この時期には「DIO'S INFERNO」という立派な公式ライヴアルバムが存在しますが、本作のダイレクトかつ押しの強いサウンドは、荒々しいこの時代のライヴを聴く上ではむしろこちらのほうが相応しいのではないかと思えるほどです。オープニングのStand Up And Shoutから、攻撃性溢れる先鋭的なギターと80年のSABBATHにも通じる怒り狂うロニーの歌が吹き荒れており、強烈な演奏は聴く人全ての耳に突き刺さる事でしょう。「Don't Talk To Strangers」ではトレイシーのメタリックなサウンドがここぞとばかりに唸りを上げ、プレイの切れ味を求められるこの曲に、刃物のような刺々しさで回答しています。ロニーはトレイシーについて語る時「トニー・アイオミのタイプ」と評価していましたが、それぞれのショウ中盤の Heaven And Hell はまさしくトレイシーの真骨頂を味わえる、ヘヴィで邪悪なムードを漂わせたプレイを楽しめます。また後半の Mistreated は2つの公演でも最大の聴き所で、15分近くにわたる壮絶なプレイをバンド全体で聴き手にぶつけてきます。イントロからトレイシーの粘り気たっぷりのギターが印象的で、メインのリフなどはリッチー ブラックモアもかくやの強烈な吸引力を放っており、もしもトニー・アイオミがこの曲を演奏したらこういうプレイをするかも知れないという、疑似体験すら味わわせてくれる名演です。公式ライヴ「DIO'S INFERNO」と同様に、本曲は Catch The Rainbow と組曲になっており、ここで聴けるロニーのメロウな歌声は、その他の曲が「押しの一手」だけに、一服の清涼剤のような心地よさを感じます。また、ディスク1とディスク2ではそれぞれ微妙に演奏のニュアンスやアレンジが異なっており、それらを比較して聴いても楽しいでしょう。ラストはお約束の The Last In Line と Rainbow In The Dark で、爆発するような盛り上がりでエンディングを迎えます。演奏内容・音質共に超が付くほど素晴らしく、その充実の内容は、これを聴いたが最後「トレイシーなんて要らない」とは言えなくなるでしょう。この先DIOのコレクターズアイテムとして定番のひとつになる事は間違いありません。Live at The Edge, Palo Alto, CA. USA 10th February 1997 PERFECT SOUND Live at Estadio Santa Laura, Santiago, Chile 21st November 1997 SBD Disc 1 Live at The Edge, Palo Alto, CA. USA 10th February 1997 1. Intro 2. Jesus, Mary And The Holy Ghost 3. Straight Through The Heart 4. Don't Talk To Strangers 5. Holy Diver 6. Heaven And Hell 7. Double Monday 8. Heaven And Hell(Reprise) 9. Stand Up And Shout 10. Hunter Of The Heart 11. Mistreated incl. Catch The Rainbow 12. Guitar Solo / Mistreated(Reprise) 13. The Last In Line 14. Rainbow In The Dark 15. Mob Rules Ronnie James Dio - Vocals Tracy G - Guitars Larry Dennison - Bass James Kottak - Drums Scott Warren - Keyboards Disc 2 Live at Estadio Santa Laura, Santiago, Chile 21st November 1997 1. Stand Up And Shout 2. Straight Through The Heart 3. Don't Talk To The Strangers 4. Holy Diver 5. Band Instrumental/Drum Solo 6. Heaven And Hell 7. Hunter Of The Heart 8. Mistreated incl. Catch The Rainbow 9. The Last Line In Line 10. Rainbow In The Dark SOUNDBOARD RECORDING Ronnie James Dio - Vocals Tracy G - Guitars Jeff Pilson - Bass Vinny Appice - Drums Scott Warren - Keyboards