“WORKS TOUR 1977”の極上ライヴ・アルバムが登場です。1977年というとオーケストラとの共演が有名ですが、それは90公演以上ある中の16公演だけ。本作は、本来のトリオ編成による「1977年8月13日サンバーナーディーノ公演」を収めたオーディエンス録音です。しかし、そのクオリティは“オーディエンス録音”の言葉でイメージされるものとまるで違う。70年代の常識を遙かに超えるダイレクト感とクリアさは、まるでサウンドボード。スタジアムの大歓声スペクタクルもしっかりとあるのですが、それも背中に遠く広がる感覚で、間近の叫び声もない。詳しい録音ポジションは伝わっておりませんが、よほどPAの間近で録音したのか、それともステージ上の床にでもマイクを設置したのか……。ともあれ、スーパーダイレクトな楽音が全編を貫き、そのうえで広大な大歓声が遠くから押し寄せるような理想的な客席録音なのです。録音自体が持っている自然な鳴りを最大限活かしつつ、微細なノイズを徹底的に除去。さらに、カットのあった「Pictures At An Exhibition」の後半14秒はダン・ランピンスキー録音の“7月14日プロヴィデンス公演”で補完いたしました。その14秒は別ライヴの演奏なのですが、同日の別録音はあまりにも音が悪かった。本作のハイクオリティぶりには、それこそランピンスキー録音でもない限り使えなかったのです。しかも、そのパートだけ輝くのかと思いきや、本編サウンドの方が素晴らしい。かの名録音家ランピンスキーをもってもしても、本編のサンバーナーディーノ公演に届かない。本作のクオリティとは、それほどのものなのです。そんなスーパーサウンドで描かれる“WORKS TOUR”の素晴らしいことと言ったら! オフィシャルでも『KING BISCUIT FLOWER HOUR』や1978年の『LIVE AT NASSAU COLISEUM'78』が発掘されている時期でもありますが、ハッキリ言って比較にならない。特に『LIVE AT NASSAU COLISEUM'78』は、キース・エマーソンがミスタッチ連発の絶不調ぶりでしたが、本作は対照的なほどに絶好調。速すぎる「Hoedown」も流れるような運指で目眩がするほどに見事。一般的にTHE NICEから1974年までが全盛期のように語られますが(実際、それも事実なのですが)、安定感と流れるような運指の見事さは、この1977年こそが頂点と言ってもいい。オフィシャルで“WORKS TOUR”を甘く見ている方にこそ、本領を知っていただきたい名演です。また、セットリストもオフィシャル盤とは大きく違い、『KING BISCUIT FLOWER HOUR』『LIVE AT NASSAU COLISEUM'78』にはない「Karn Evil 9」からスタート。「Knife Edge」も演奏しています。2つのオフィシャル盤は『WORKS VOLUME 2』の曲を取り入れた時期でしたが、こちらはゼロ。『WORKS VOLUME 1』の曲も「C'est La Vie」「Piano Concerto No 1」「Pirates」「Fanfare For The Common Man」の4曲に抑えられ、EL&Pの一番美味しいところを凝縮したセットなのです。“WORKS TOUR”というと「オーケストラ共演」「全盛EL&Pの終わりの始まり」をイメージされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、本作から流れ出るパフォーマンスは、あまりにも美しく精緻。70年代初期に魅せた崩壊寸前ギリギリの暴れっぷりこそありませんが、本作では当時32歳で演奏家として脂の乗りきったキースの絶好調がたっぷりと聴ける。しかも、その演奏ぶりで70年代を総括しながら、聴きたい曲だけで1つのショウに組み上げているのです。まさに“THE BEST OF EL&P”を本生100%の演奏と客記録音のリアリティで描ききった大傑作。彼らのキャリア全体でもトップクラスのサウンドと演奏を誇るライヴアルバム。これこそが“WORKS TOUR”の本領。ぜひ、その素晴らしき音楽世界を絶品の名録音でお楽しみください。 Live at Swing Auditorium, San Bernardino, CA. USA 13th August 1977 TRULY PERFECT SOUND(UPGRADE) Disc 1(59:25) 1. Karn Evil 9 2. Hoedown 3. Tarkus 4. C'est La Vie 5. Lucky Man 6. Take A Pebble 7. Piano Concerto No 1 8. Take A Pebble(Reprise) 9. Knife Edge 10. Tank incl. Drum Solo Disc 2(51:35) 1. Pictures At An Exhibition 2. Still...You Turn Me On 3. Pirates 4. Nutrocker 5. Fanfare For The Common Man 6. Rondo 7. Fanfare For The Common Man(reprise) 8. Finale