『I'M THE MAN』『STATE OF EUPHORIA』を畳みかけ、スラッシュメタルの地平を拡大していった80年代末期のANTHRAX。その現場を体験できる新発掘マスターが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1989年6月15日パリ公演」。その一部始終を真空パックした強力オーディエンス録音です。“STATE OF EUPHORIA Tour”と言えば名作『CHICAGO 1988』も定番。まずはワールドツアーの全景からそれぞれのポジションを確かめてみましょう。1988年・1月15日ー4月2日:北米#1(29公演)《4月ー6月『STATE OF EUPHORIA』製作》・8月10日:MEGAFORCE PARTY 1988・8月27日ー9月25日:欧州#1(12公演)・11月16日ー12月31日:北米#2a(30公演)←※CHICAGO 1988 1989年 ・1月6日ー30日:北米#2b(13公演)・3月8日ー14日:英国(6公演)・4月3日ー5月12日:北米#3(30公演)・6月1日ー7月10日:欧州#2(29公演)←★ココ★《8月『PENIKUFESIN』発売》・12月15日+16日:ブルックリン(2公演)《12月『PERSISTENCE OF TIME』製作開始》これが1988年/1989年のANTHRAX。1988年始の「北米#1」までは“AMONG THE LIVING Tour”でしたが、アルバム製作後は“STATE OF EUPHORIA Tour”。本作のパリ公演は、その終盤である「欧州#2」の13公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを記録したのは、今話題の名手「Stephane」。この人物は80年代末/90年代序盤の名録音を連発しており、当店でもJUDAS PRIESTやW.A.S.P.、QUEENSRYCHE、AC/DC等のパリ録音が大人気。同時リリースとなるSCORPIONSの『PARIS 1990』もこの人物の作品ですし、BLACK SABBATHの『DEFINITIVE PARIS 1992』、IRON MAIDENの『PARIS 1993』も。本作は、そんな達人コレクションの最新弾であり、その名声をさらに高める逸品。何よりも素晴らしいのは力強い芯。音色的にサウンドボードと間違えるタイプではありませんが、その空気感を食い破るように押し寄せるリフが強靱そのもの。しかも、それだけパワフルなのにビビリも歪みも一切起こさないから素晴らしい。いろいろと美点がありますが、特筆したいのはヴォーカルとドラム。ジョーイ・ベラドナの歌声はぶ厚いアンサンブルを突き破って耳元に届き、歌詞の一語一語までくっきり。しかも、会場中が沸きに沸く大合唱でビルドアップされている。ここでカン違いしないで頂きたいのは、本作は間近な嬌声悩まされる録音では(まっったく!)ない。むしろ、1人ひとりの声援は判別できないのですが、会場中に広がる唱和が広くぶ厚い。パリの名会場“Le Zenith”は約6,000人規模なのですが、その膨大なコーラス隊を従えるジョーイの素ペクタクルが最高なのです。そして、それだけ厚みがあるのに、チャーリー・ベナンテのバスドラまで一打一打キレイに捉えられている。本稿に目を留められた方ならご存知の通り、英雄ひしめくスラッシュ・ドラマー界にあってチャーリーのバスドラ連打は天下一品。あのダララララララララララ……………という絶え間ない連打の一粒一粒が潰れずにキチンと楽しめる。これだけでも、本作のサウンドがいかに素晴らしい科がご理解頂けるのではないでしょうか。そんな端正な強力サウンドで画かれるのは、意外と貴重な“STATE OF EUPHORIA Tour”の全景にして、特別ゲストも登場するショウ。ここでその内容を整理しておきましょう。狂気のスラッシュ感染(4曲)・Madhouse/Medusa/A.I.R./The Enemy(★)アマング・ザ・リヴィング(4曲)・Indians/I Am The Law/Efilnikufesin (N.F.L.)/Caught In A Mosh ステート・オブ・ユーフォーリア(4曲)・Be All, End All/Now It's Dark/Antisocial/Finale(★)その他(5曲)・フィストフル・オブ・メタル:Metal Thrashing Mad/Across The River(★)・その他:I'm The Man/God Save The Queen(★*)/Les Sectes(★*)※注:「★」印は80年代だけの限定曲。「*」印はTRUSTとの共演曲。……と、このようになっています。黄金時代のライヴと言えば、公式作『BBC LIVE IN CONCERT』『LIVE: THE ISLAND YEARS』がお馴染みですが、“STATE OF EUPHORIA Tour”はその端境期。「Be All, End All」や「Across The River」「Finale」「Les Sectes」など、公式ライヴアルバムでは聴けない名曲たっぷり楽しめるのです。そんな中でハイライトなのがアンコールの「Les Sectes」「God Save The Queen」。この2曲では「Antisocial」のオリジネイターであるフランスのバンドTRUSTが登場。豪華共演を聴かせてくれるのです(ついでに「Antisocial」でも共演して欲しかったところですが)。黄金時代の真っ直中でありながら、音源面では少々厳しい“STATE OF EUPHORIA Tour”。その現場を極上体験させてくれる新発掘マスターです。TRUSTとの豪華共演まで飛び出す記念碑的なフルショウ。「1989年6月15日パリ公演」の強力オーディエンス録音。今話題の名手「Stephane」コレクションの最新弾で、力強い芯と見事なセパレート感が素晴らしい名録音。空気感を食い破るように押し寄せるリフが強靱そのもので、数千人のコーラス隊を従えたジョーイの歌声も歌詞の一語一語までくっきり。レアな「Finale」「Across The River」やTRUSTと共演する「Les Sectes」「God Save The Queen」等、貴重満点なフルショウを極上体験できます。 Le Zenith, Paris, France 15th June 1989 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(52:15) 1. Intro 2. Be All, End All 3. Madhouse 4. Metal Thrashing Mad 5. Now It's Dark 6. Indians 7. Antisocial 8. Medusa 9. Guitar Solo (Dan Spitz) 10. Across the River 11. A.I.R. Disc 2 (52:29) 1. I Am the Law 2. The Enemy 3. Finale 4. Drum Solo 5. Efilnikufesin (N.F.L.) 6. I'm the Man 7. Caught in a Mosh 8. Les sectes (with Trust) 9. God Save the Queen (with Trust) Joey Belladonna - Vocals Scott Ian - Rhythm Guitar Dan Spitz - Lead Guitar Frank Bello - Bass Charlie Benante - Drums