超重路線から栄光の名曲復刻へ……活動方針のターニング・ポイントに立っていた1998年のDIO。その現場を極上体験できる名録音の最高峰更新マスターが登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1998年5月25日サンディエゴ公演」。その一部始終を真空パックした極太オーディエンス録音です。熱心なコレクター諸兄ならご存知と思いますが、トレイシーG時代はとにかく複雑。レギュラー・メンバーとしてはベースとドラムが1回ずつ交代しただけなのですが、諸事情で代役メンバーが参加した細かいライヴがえらく多い。ちょっとした日付の違いでメンバーが異なるのです。まずは、トレイシー時代を全景で俯瞰し、本作のポジションを確かめておきましょう。“STRANGE HIGHWAYS Tour”・1993年11月4日ー12月12日:28公演・1994年5月1日ー10月2日:74公演・1995年11月27日ー12月2日:5公演《ジェリー・ベストが代役》“ANGRY MACHINES Tour”《ジェフ・ピルソン→ラリー・デニソンに交代》・1996年11月7日ー12月23日:35公演・1997年2月6日ー16日:8公演《ジェイムズ・コタックが代役》・1997年2月20日ー6月23日:79公演・1997年11月15日ー23日:6公演《ジェフ・ピルソンが代役》“TO HULL AND BACK Tour”・1998年5月19日-22日:3公演《ヴィニー・アピス→サイモン・ライトに交代》・1998年5月23日ー10月22日:64公演 ←★ココ★・1998年10月23日ー11月7日:12公演《ボブ・デイズリーが代役》・1999年3月4日+5日:2公演《6月:トレイシーG脱退》これがトレイシー時代のDIO。3つのツアーに大別できるのですが、本作は公式ライヴ盤『INFERNO: LAST IN LIVE』リリースに伴う“TO HULL AND BACK Tour”。ドラムがサイモン・ライトに交代したばかりの3公演目。1998年と言えば、定番プロショットのアップグレード盤『INFERNO IN SOFIA』も記憶に新しいところですが、本作は園約4ヶ月前でもあります。そんなショウを伝える本作は、いわゆる「まるでサウンドボード」と呼ばれるタイプで、オンで極太な芯が目の前に迫る超ダイレクト録音。生々しい喝采も吸い込んでいるので間違いなくオーディエンス録音ではあるのですが、肝心要の演奏音やヴォーカルはサウンドボードとしか思えない……と申しますか、「サウンドボードにアンビエントな歓声を被せた放送物」と言われた方がよほどしっくりときます。しかし、事実としては純正オーディエンス。実のところ、当時から知られた録音なのですが、本作は録音家本人が大元マスターからダイレクトにデジタル化して公開し直したもの。その瑞々しいサウンドは間違いなくマスター・クオリティですし、録音した本人が言っているのなら客録に間違いなかろう……そんな風に納得するくらいの極太録音なのです。そのダイレクト・サウンドで画かれるのは、『INFERNO: LAST IN LIVE』とも似て非なるグレイテスト・ヒッツ。前述したように定番プロショット『INFERNO IN SOFIA』とも時期が近いですから、併せて比較してみましょう。ホーリィ・ダイヴァー(6曲)・Straight Thru The Heart/Don't Talk To Strangers/Holy Diver/Stand Up And Shout(*)/Shame On The Night(★*)/Rainbow In The Dark その他(8曲+α)・レインボー:Man On The Silver Mountain/Long Live Rock 'n' Roll・サバス:Heaven And Hell/Children Of The Sea(★)/Neon Knights(★)・DIO:Evilution(★)/The Last In Line/We Rock ※注:「★」印は公式作『INFERNO: LAST IN LIVE』で、「*」印は『INFERNO IN SOFIA』で聴けなかった曲。……と、このようになっています。トレイシー時代の激重ナンバー「Evilution」で幕を開けるものの、それ以降はすべてロマンティシズム溢れる「The Best of RJD」。中でも特筆なのは名盤『HOLY DIVER』の大盤振る舞いで、アルバム全9曲中6曲が披露されている。特に「Shame On The Night」は公式『INFERNO』でも『INFERNO IN SOFIA』でも聴けなかった美味しいレア曲。そもそも、この曲が演奏されたツアーは三度のみでして、1983年のデビューツアー、2005年の『HOLY DIVER』再現ツアー、そして1998年の“TO HULL AND BACK Tour”だけなのです。しかも本作では過去曲でも遠慮しないトレイシーGによって染め変えられ、そこから「Mistreated」「Catch the Rainbow」へとメドレーになっていく超貴重アレンジ。それをサウンドボードばりの極太サウンドで味わえるのです。“TO HULL AND BACK Tour”は、まさに一大転機でした。ヴィニー・アピスが去ったことでオリジネイターがロニー独りとなっただけでなく、ライヴのコンセプト自体が大きく変わった。それまでは「新曲+定番クラシックス」だったわけですが、「定番+珍しい発掘クラシックス」に変化。その後、ロニーが亡くなるまで「今度はどの曲を復刻してくれるだろう?」がライヴの注目ポイントになったのです。そんな一大ターニング・ポイントに大元マスター・サウンドで居合わせられるライヴアルバム。「1998年5月25日サンディエゴ公演」の極太オーディエンス録音。録音家本人が公開したマスター・トランスファーで、いわゆる「まるでサウンドボード」タイプ。オンで極太な芯が目の前に迫る超ダイレクト録音で、「サウンドボードにアンビエントな歓声を被せた放送物」と言われた方がよほどしっくりと来る感じです。公式『INFERNO』と似て非なるグレイテスト・ヒッツで、トレイシーGが弾く「Neon Knights」「Shame On The Night」も美味しいフルショウを極上体験できます。Cane's Bar & Grill, San Diego, CA, USA 25th May 1998 ULTIMATE SOUND Disc 1(61:15) 1. Intro 2. Evilution 3. Straight Thru the Heart 4. Don't Talk to Strangers 5. Holy Diver 6. Drum Solo 7. Heaven and Hell 8. Children of the Sea 9. Stand Up and Shout 10. Shame on the Night (incl. Mistreated, Catch the Rainbow, Guitar Solo) Disc 2(30:13) 1. MC 2. The Last in Line 3. Rainbow in the Dark 4. Neon Knights 5. Man on the Silver Mountain 6. Long Live Rock 'N' Roll 7. We Rock Ronnie James Dio - Vocals Tracy G - Guitar Larry Dennison - Bass Simon Wright - Drums Scott Warren - Keyboards