昨年のアメリカンツアー最終日の驚愕のアップグレードマスターが登場!昨年9月に行なわれた、エリック・クラプトンのアメリカンツアー。そのツアーの最終行程となった、9月19日のニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデン公演の2日目の極上ステレオ・オーディエンスマスターがイギリス在住の重鎮テーパーよりもたらされました!昨年のうちにオリジナルマスターにて「Madison Square Garden 2022: Original Masters」としてこの日の音源もリリース致しましたが、今回のマスターはそれを遥かに凌ぐ素晴らしい音質で完全収録されていました。もちろんネット上に上がっているマスターよりも格段に優れています。そして今回もこのマスターは独占リリースとなります。音質は、非常にきれいな録音で、クリアでサウンドバランスも良く、ドラムサウンドに顕著なように、楽音がとてもナチュラルで聴きやすいものです。日本公演が終了した今、改めて聴いてみますと、逆に新鮮なセットリストで、このツアーオンリーのものであったことが判ります。演奏内容については次項に記しますが、アメリカンツアーの最終行程でもサプライズを含み、とても充実した内容になっていました。是非アップグレードマスターの本作で聴いてみてください。日本公演同様、サプライズを貫いたセットリスト!このツアーの驚きはまず、最終行程にあっても、冒頭で英国エリザベス女王への追悼であるGod Save The Queen を演奏していたことです。日本公演ではジェフ・ベックを追悼する意味合いがありましたが、このツアーでは9月9日に亡くなられたエリザベス女王だったわけです。しかもこのイギリス国歌は、ツアー初期ではクラプトンのみによるエレクトリックギターでの独演だったのに対し、ここではフルバンドでの演奏となっています。1曲として完全に成立させたということです。このオープニングをツアーを通じてずっと続けた上に、バンド演奏に発展させていたとは・・・・。やはり女王への想いは強かったのでしょう。そして実質のオープニングは、Tearing Us Apartでした。このパターンは初めてのもので、これもまたサプライズを継続しているわけですが、セットリスト自体はクラプトンはサプライズを含み、自分が自信を持って演奏できるセットをツアー前から考えて、自分で決めていたように思えます。ここで本ツアーの日程を記しておきますと、9月8日:オハイオ州コロンバス 9月10日:ミシガン州デトロイト 9月12日、13日:イリノイ州シカゴ 9月16日:マサチューセッツ州ボストン 9月18日、19日:ニューヨーク州ニューヨーク ←★ココ★ クラプトンの年齢と体調を考慮して、日本公演同様の全7公演と短めのツアーだったことは止むを得ないところですが、全公演をこのセットリストで完遂したことは、やはりクラプトンの強い意志を感じさせるものでした。そこには懐かしいRiver of Tears(1998年作品)あり、ツアーのレギュラーとしてはエレクトリックでのシッティングセットでの初アレンジで披露するAfter Midnightあり、とマンネリに陥らないよう配慮したことも窺えます。I Shot the Sheriffの後奏のソロも冴えてます。さらに注目は、中盤のシッティングセットのオープニングとなったブルースの弾き語りを「日替わり」的に変えていたことです。本作の2日目では、マディ・ウォータースのCountry Boy(別名I'm A Country Boy、アルバート・リーの同名曲ではありません)という激レアなナンバーをプレイしています。シッティングセットという形でプレイされたのは初めてですし、恐らくクラプトンのキャリア上初めてのレパートリーではなかったかと思われます。曲中ではドイル・ブラムホールのディープなブルースハープとポール・キャラックのハモンドソロがフィーチャーされています。クラプトンは、このナンバーとAfter Midnightでは雰囲気を出すため、ギブソンL-5というホロウボディのヴィンテージギターにチェンジしています。この高音質ですから、ストラトとは異なるこの音色も楽しんでいただけます。また、このシッティングセットでプレイされたTears In Heavenもサプライズが継続されました。日本公演でも披露されましたが、中間でポール・キャラックがプロコル・ハルムの「青い影」をオルガンで演奏しているのです。これは昨年2月に亡くなったかつてのバンドメンバーで親友だったゲイリー・ブルッカーへの追悼として、クラプトンが指示したものと考えられます。日本公演でのアレンジの原点は、このツアーにあったわけです。さらに終盤にもサプライズが継続されていました。2006年以降の長年に亘りLittle Queen Of Spadesをプレイしてきた長尺ブルースコーナーで、何と84年のヨーロッパツアー以来38年ぶりとなるThe Sky Is Crying を持ってきたのです。但し、オリジナルバージョンどおりのスライドプレイではなく、クラプトンはシングルノートでのソロプレイです。「何だ、演奏はいつもどおりで、歌詞がThe Sky Is Cryingに替わっただけか」と思われるかもしれませんが、こうしてセットリストを見てきますと、一つのことに気づきます。日本公演と同様、クラプトンは、今も元気で活動ができる自分のキャリアを振り返り、それを可能にしてくれた亡き憧れの人たち、友人に思いを馳せるためにこのセットリストを組んだのではないか、ということです。冒頭のGod Save The Queenではエリザベス女王に、I'm Your Hoochie Coochie Man、Country Boyではマディ・ウォータースに、I Shot The Sheriffではボブ・マーリーに、After Midnight、CocaineではJ.J.ケイルに、Nobody Knows You When You're Down and Outではベッシー・スミスに、Tears in Heavenでは息子コナー君とゲイリー・ブルッカーに、Badgeではジョージ・ハリスンに、Crossroads Bluesではロバート・ジョンソンに、The Sky Is Cryingではエルモア・ジェイムズに、High Time We Wentではジョー・コッカーに、という具合です。今のクラプトンは今まで以上に、数々の偉大な故人のおかげで今の自分がいるんだという謙虚な気持ちでステージに立っているような気がします。日本公演でもそうでしたが、彼ほどのレジェンドクラスのアーティストになっても故人を偲ぶ気持ち、感謝の心を忘れない、そこにクラプトンの偉大さがあるのかもしれません。そして、アンコールにはHigh Time We Wentが戻ってきました。本公演ではオープニングアクトを務めたジミー・ヴォーンがスペシャルゲストとしてアンコールに参加しました。もちろんヴォーンはソロフィーチャーされていますので、クラプトンとの和やかなソロ競演も楽しめます。短いながらも立派にツアーを完遂していたクラプトン。こうしてずっと興味を抱かせ続けてくれるクラプトンの動向をこれからも見守っていきたいものです。全ての同日既発音源をはるかに上回る初登場・超高音質・オリジナル・マスターです。Madison Square Garden, New York, NY, USA 19th September 2022 ULTIMATE SOUND(from Original Masters) Disc 1 (62:09) 1. God Save the Queen★フルバンド演奏 2. Tearing Us Apart 3. Key to the Highway 4. I'm Your Hoochie Coochie Man 5. River of Tears★ 6. I Shot the Sheriff 7. Country Boy★ 8. After Midnight★新アレンジ 9. Nobody Knows You When You're Down and Out 10. Layla 11. Tears in Heaven Disc 2 (42:41) 1. Badge 2. Wonderful Tonight 3. Cross Road Blues 4. The Sky Is Crying★ 5. Cocaine 6. High Time We Went Eric Clapton - guitar / vocals Nathan East - bass / vocals Sonny Emory - drums Doyle Bramhall - guitar / vocals Chris Stainton - keyboards Paul Carrack - organ / keyboards / vocals Katie Kissoon - vocals Sharon White - vocals