究極の決定版!ジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンの固い友情を証明したスーパーイベントとして、もはや日本の洋楽ロック史上の伝説となっている91年の「GEORGE HARRISON WITH ERIC CLAPTON AND HIS BAND」ジャパン・ツアー。その全貌を初めて目の当たりにできた初日、1991年12月1日の横浜アリーナ公演を極上オリジナルDATマスターよりCD化し、即完売となった2012年リリースの人気タイトル「A LEGEND MEANT TO BE」がグレードアップしての再登場です。当時はまだ珍しかったDATによって好ポジションで録音された極上レベルのステレオマスターだったため、大人気を博したのですが、このたびそのマスターをかのGraf Zeppelinがリマスターしてくれ、まさに「究極の横浜」となって再登場することとなりました。手掛けたリマスタリングポイントは主に3点。全体の位相修正、マスターの全体及び経年劣化部分、欠落部分の補填箇所の帯域調整(繋ぎ部分の変化低減)、右チャンネルでの歪みの可能な範囲での緩和、です。当時はまだDATの収録可能時間が120分だったため、マスターではIsn't It A Pityの後半から終演までが未収録だった部分を既発リリースの優良音源(「MOMENTS OF MAJESTY」Disc 3/4)から補填していたわけですが、この繋ぎ部分の違和感を無くし、よりスムーズにしてくれました。「A LEGEND MEANT TO BE」をお持ちの方なら聴いていただければお判りになりますが、補填音源との音質の格差はなく、違和感皆無の仕上がりです。とにかくDATらしい深みのあるクリアなサウンドが特長のマスターの良さを活かしきったと言える成果であり、最長版になったという価値もあります。また、従来からのこのマスターのメリットは、非常に臨場感に優れていて、それでいてオーディエンス・ノイズが極端に少ないことでした。既発盤の中でも音質の良いタイトルは、カセット録音の上にアリーナ前列エリアで録音されたため、興奮して盛り上がる初日のオーディエンス・ノイズがふんだんに捉えられているという難点が見受けられましたが、本マスターにはそれがありません。リマスターにより左右の位相バランスも完璧になった上に、このオーディエンス・ノイズの少なさ。これぞ、史上初の二人のジョイントツアーの初日を心置きなく楽しめる決定版タイトルと断言できます。全ての既発盤を凌駕する圧倒的な素晴らしさ、既発盤とは音像の違うDATならではの深みあるサウンド、絶妙のサウンドバランスを是非お確かめいただきたいと思います。「A LEGEND MEANT TO BE」をお持ちの方も、買い替え必至と申し上げるしかありません。悪しからず。初日ならではの聴きどころが満載!初日だけに、ツアーに17年のブランクのあったジョージが多少緊張していたことは当時報じられていたとおりですが、ステージの進行とともに、徐々にその緊張を解きほぐしながら日本語のMCをも交えてリラックスしていく彼の姿が手に取るように判ります。特に中盤あたりからは、日本のオーディエンスの真摯で温かい態度に非常に満足している様子が窺えます。それに対し、ビートルズの来日公演から25年ぶりのライブで伝説の人が目の前にいるという興奮度をマックスにしながらも、徐々にジョージとともに落ち着いていき、最高のパフォーマンスに傾聴していくオーディエンスの様子も鑑賞の対象となるでしょう。何せ、我々日本人は文献の中だけで「ジョージとクラプトンは64年に知り合って以来親友の仲だ」ということを理解していたわけで、それが目の前で証明されたのですから、序盤の興奮度も頷けるというものです。さらにセットリストが発表されていなかっただけに、一体どんな曲が演奏されるのか、誰にも分からなかったわけですから・・・。特に新たなプロローグが付加されたSomethingで、何の曲が始まったのか分からないオーディエンスの様子が、あのイントロが流れ、曲名が判った瞬間に物凄い盛り上がりになるシーンはちょっとした感動ものです。また、クラプトンバンドによるビートルズナンバーとジョージのソロナンバーの演奏という点でも注目でした。ビートルズナンバーはジョージ作の楽曲に限られましたが、数多のビートルズカバーバンドとのカバーのクオリティの違いや如何に?ということです。さすが超一流のプロミュージシャンばかりですので、単なるオリジナルに忠実なカバーではなく、ぐいぐいリスナーを惹きつけていくような素晴らしいアレンジと演奏力でした。もちろんその屋台骨を背負っていたのは、ジョージとクラプトンでしたが。中盤に設けられたクラプトンのセット中で面白いのは、Old Loveの締めにLaylaのあのフレーズを弾いていることです。ひょっとすると、「アンプラグド」での同曲のアレンジのヒントは案外この日のパフォーマンスだったのかもしれません。また、Wonderful Tonightの前のMCでクラプトンが「この曲をミミーに捧げます。お誕生日おめでとう、ミミー。」と言っている箇所があります。これは当時、噂もありましたように、女性にモテるクラプトンらしく、キャビン・アテンダントをしていた日本人女性の恋人に対して発言したものと考えられます(この会場に彼女はいたのでしょう)。そのため、歌詞の中の「Long blond hair」という部分を「Long black hair」と歌い替えているという珍しいシーンがあります(幸せな女性ですね)。またジョージが、このツアーの直前、当時のイギリスのゴシップ誌に「ヒットラーの信奉者だった」という根も葉もない根拠の記事を掲載された怒りをそのままDevil's Radioの演奏にぶつけているのにも注目です。そして何よりも貴重なのは、この日のみFish On The SandとLove Comes To Everyoneの2曲が多く演奏されたということです。翌日の大阪初日公演ではFish On The Sandは演奏されましたが、Love Comes To Everyoneは演奏されず。そしてそれ以降の公演ではこの2曲は終演時間の関係でセットから落とされました。この2曲を最高音質で聴けるのも本作ということになりますし、Love Comes To Everyoneでオリジナルバージョンにはなかったクラプトンのソロが聴けるのは、ファンには嬉しいことでしょう。目いっぱいの驚きが詰まった初日公演。伝説の一日をどうぞ本作で再検証してみてください。ジャパン・ツアー実現の裏に秘められた二人の友情!さてここで、このジャパン・ツアーが伝説と化した意味合いを改めて記したいと思います。当時のクラプトンの活動スケジュールから見ていきましょう。・1991年1月21日~29日:アイルランド、ダブリンのザ・ポイントにてツアー・リハーサル ・1991年1月31日、2月2日:ザ・ポイントでのウォームアップ公演・1991年2月5日~3月9日:ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホールで24日間連続公演・1991年9月4日:ロサンゼルス、ロキシーでのバディ・ガイのギグに飛入り。・1991年9月26日:ハリウッド、ザ・パレスで収録されたネイザン・イーストがハウスバンド・リーダーを務めるコメディショウに出演。この模様は29日の日曜にFOXチャンネルで放映された。・1991年12月1日~12月17日:ジョージ・ハリスンのジャパン・ツアーを自らのバンドと全面バックアップ 12月1日:横浜アリーナ公演(追加公演)12月2日、3日:大阪城ホール公演 12月5日:名古屋国際見本市ホール公演 ←★本作★ 12月6日:広島サンプラザ公演 12月9日:福岡国際会館公演 12月10日、11日、12日:大阪城ホール公演 12月14日、15日、17日:東京ドーム公演 3月9日から9月までオフだったことがお分かりでしょう。クラプトンは、前年の「ジャーニーマン・ワールドツアー」と2年続いてこなしたハードなロイヤル・アルバート・ホール連続公演が終了すれば、完全休養に入り、4歳になった幼い息子コナー君との生活をエンジョイするつもりだったそうです。ところが、その矢先の3月20日、あの事件が起こってしまいました。そこからクラプトンは、ご本人の言葉を借りれば「石のように」なってしまいました。幼い息子を失ったショックから、誰とも接触せず、自宅に引き篭もる生活が続きました。キース・リチャーズ、エルトン・ジョンに混じり、ジョージ・ハリスンからもすぐにクラプトンを気遣い慰める手紙が届けられました。クラプトンは友人ミュージシャンたちからの温かい言葉に励まされ、アルコール中毒匿名の会のミーティングに参加しながら、マネージャーのクルーザーで海に出るなど、何とか精神を正常に保ち続けました。そんな折、ジョージに会った際、クラプトンは前年にツアーで回った南米でファンにジョージの近況ばかりを尋ねられたと伝えたのです。ステージ復帰してもいいんじゃないか?というクラプトンの言葉をジョージは一笑に付し、この話を忘れることにしたのですが、ある日、ジョージははたと気づきました。「もし僕がツアー復帰するから手伝ってくれと言えば、エリックはその実行作業に追われ、あの辛い出来事から立ち直ってくれるのではないか?」そしてジョージはその気がなかったにもかかわらず、クラプトンにライブ復帰を伝え、協力を要請したのです。クラプトンはジョージの決断に驚いたものの、協力を惜しみませんでした。自らのバンドを招集し、ジョージのレパートリーからのセットリスト決定、パートの楽器分担とサード・ギタリストの人選、リハーサル会場の手配、スケジュールのすべてを取り仕切りました。そうしてクラプトンはジョージのライブ復帰の準備に忙殺され、傷心を紛らわすことができたのです。しかしリハーサル中もジョージは「やっぱり復帰はやめる」と何度も言い出したそうです。74年の全米ツアーでマスコミから叩かれたことがトラウマになっていたとのこと。本当はライブ復帰などしたくはなかったのです。そこでクラプトンは、温かく、そして真剣に音楽を聴いてくれる日本をツアー場所に推薦し、ジョージを納得させました。そして遂にジャパン・ツアーが実現したというわけです。クラプトンを立ち直らせるために、真意を悟られぬようにしながら気乗りのしないライブに身を投じたジョージ。せっかく決意したジョージのライブ復帰のために身を粉にして準備に奔走したクラプトン。このジャパン・ツアーは、言わばジョージとクラプトンの生涯に亘った友情を目の当たりに示してくれたものだったのです。そうして1991年12月1日、我々の眼前に登場した二人。その伝説のステージ初日の全貌を最高レベルのサウンドクオリティで収めた本作でご確認ください。 マスター・メモ ★帯域調整 ★音量を可能な範囲で持ち上げました ★補填パーツも帯域調整して繋ぎの変化低減 ★右チャンネルの歪み可能な範囲で緩和 Live at Yokohama Arena, Yokohama, Japan 1st December 1991 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)*UPGRADE Disc 1 (78:30) 01. Introduction 02. I Want To Tell You 03. Old Brown Shoe 04. Taxman 05. Give Me Love 06. If I Needed Someone 07. Something 08. Fish On The Sand 09. Love Comes To Everyone 10. What Is Life 11. Dark Horse 12. Piggies 13. Pretending 14. Old Love 15. Badge 16. Wonderful Tonight Disc 2 (55:46) 01. Got My Mind Set On You 02. Cloud Nine 03. Here Comes The Sun 04. My Sweet Lord 05. All Those Years Ago 06. Cheer Down 07. Devil's Radio 08. Isn't It A Pity 09. While My Guitar Gently Weeps 10. Roll Over Beethoven George Harrison - guitar / vocals Eric Clapton - guitar / vocals Andy Fairweather Low - guitar Chuck Leavell - keyboards Greg Phillinganes - keyboards Nathan East - bass / vocals Steve Ferrone - drums Ray Cooper - percussion Katie Kissoon - backing vocals Tessa Niles - backing vocals