一般のファンが観ることができない、しかも超豪華ゲスト参加の特別公演。その極上マスターを収録!エリック・クラプトンの秘蔵音源でお馴染みの、イギリス在住重鎮テーパー提供のファーストジェネレーションDATマスターからの2作めのリリースは、2005年12月31日にクラプトンの故郷サリー州の田舎町ウォーキングの公民館で行なわれたチャリティコンサートの完全収録極上ステレオ・オーディエンスソースです。このコンサートは、1993年以降毎年実施されてきた「ニュー・イヤーズ・イヴ・ダンス」と題されたAA(アルコール中毒者匿名の会)向けのチャリティイベントでした。元々は82年に、当時バンドメンバーだったゲイリー・ブルッカーが地元のパブで開いた「年忘れライブ」に参加したクラプトンがこの趣向を気に入ったことに端を発し、以降も断続的に年末に行なわれてきたものが93年にクラプトン主催で定例化し、大晦日の夜と休憩を挟んだ新年の朝に二度ライブを行なう「ニュー・イヤーズ・イヴ・ダンス」として定着したものです。洒落心から、毎回匿名性とユーモア性の高いバンド名が付けられるのが恒例にもなっており、この年は「SELF DENIAL」(自己否定)でした(そんなに卑下しなくても、あなたたちは一流ですよ)。このイベントではいつも招集されるイギリス人ミュージシャンで固められており、この年はアンディ・フェアウェザー・ロウが不参加で、5人のレギュラーメンバーでした。このコンサートは、クラプトンが会員にもなっているアルコール中毒匿名の会の会員とその家族を無料で招待して楽しませるというもので、一般のファンは観られないというのが建て前になっていました。ところが何事にも裏があるのがこの世の中。重鎮テーパーは普段のコネクションを利用して見事に潜入し、多年に亘り上級機材による極上音質でのステレオ録音に成功したというわけです。今回の重鎮テーパーのマスターの音像は一風変わっています。例年どおりの極上音質は同じなのですが、ドラム、ベース、そしてクラプトンのギターがやや左に位相しており、ボーカルとキーボードがやや右に位相しているという、ユニークなステレオセパレートなのです。恐らく録音席がステージの最前列正面やや右寄りだったのでしゃないかと推測されます。ドラム、ベース、クラプトンのギターはアンプからの生音、ボーカルとキーボードは右のP.A.スピーカー通しだったのではないでしょうか。そのためボーカルはやや遠い感じです。ステージセンターにP.A.スピーカーが設置していない田舎の公民館につき、こうした独特の音像になったと思われます。指向性の高いマイクで録音されていますので、このステレオ感を十分に楽しんでいただけます。特にクラプトンのギターがギンギン鳴っているのが嬉しいところです。まさに極上音質です。このイベントはメンバーとセットリストがこの時だけのレアなことで定評があり、しかも一般のファンは入場できないコンサートとあってはマニア垂涎の的と言えるものなのです。それをファーストジェネレーションの極上DATマスターから聴ける。これは凄いことなのです。さて、ここでこのコンサートが行なわれた2005年がクラプトンにとってどのような意味合いを持っていたのかをおさらいしてみましょう。 この年の充実感をそのまま表現しつつ、レアなセットリストと豪華ゲストで魅了したライブ 2005年・1月15日:ロンドンのBBCテレビスタジオにて、ロジャー・ウォータースとともに「TSUNAMI AID」のチャリティ向けに「Wish You Were Here」をライブ収録・1月22日:イギリス、ウェールズ州カーディフにて行なわれた「TSUNAMI AID」コンサートに出演。ジュールズ・ホーランドのバンドに参加して演奏する。・3月11日:ロンドンのBBCテレビスタジオにて行なわれた「コミック・リリーフ」10周年記念イベントに出演し、ジュールズ・ホーランドのバンドに参加して「Reconsider Baby」演奏する。・3月14日:ニューヨークのウォルドーフ・アストリアホテルで行なわれた「ロックの殿堂」授賞式に出演、殿堂入りしたバディ・ガイらと演奏する。・4月8日:ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行なわれた「Teenage Cancer Trust」コンサートに出演、UB40と共演。・5月2日、3日、5日、6日:ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールにて、クリーム再結成コンサートを行なう。・6月11日:イギリス、サリー州ウィンターシャルにて行なわれたチャリティイベント「ピクニック・コンサート」に出演。・10月24日、25日、26日:ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンにて、クリーム再結成コンサートを行なう。・12月31日:故郷の町サリー州ウォーキングで毎年恒例のチャリティ・コンサート「ニュー・イヤーズ・イヴ・ダンス」を開催。 ←★本作★ 自身のツアーはありませんでしたが、数々のチャリティイベントに出演し、クリームの再結成コンサートを米英で実現するなど、この年も前年に続き非常に精力的に活動した一年だったことがお判りいただけるでしょう。今回同時リリースの「Woking 2004」とはセットリストも異なり、毎年恒例のイベントながら、クラプトンも工夫を凝らしていたことが分かります。特にこの年はアンディがいませんでしたので、ギターのクラプトンとオルガンのブルッカーのツートップ体制が際立っていました。第一部では、ブルッカーがボーカルをとり、オーディエンスとのコール&レスポンスが楽しめるOoh Poo Pah Dooが例年にないレアな演奏曲でした。クラプトンのプレイは「手堅い」の一言ですが、第二部になると、様相が変わります。クラプトンのテンションがMAXに達し、フルスロットルで弾き捲るのです。初っ端のIn the Midnight Hourでは、例年になかったワウペダルを駆使してのファーストソロ、ワウなしのセカンドソロ、と、贅沢なプレイが楽しめます。この曲でのワウソロは珍しく、これを聴くと、やはりクラプトンのワウプレイのセンスの良さを実感します。フレーズにも歌心がありますし、ワウを踏むタイミングが絶妙です。この年は、このワウプレイが際立っていたと言え、A Whiter Shade of Paleの中間のソロでも珍しくワウでプレイしているのです。これはレアです!しかもこのソロがまた素晴らしい上に、このソロ以降、ワウを踏みながらずっと絶妙なオブリガートを入れるのです。毎年演奏しているレギュラーな名曲ですが、このテイクも捨て難いです!演奏後には、この素晴らしいプレイを称えて、思わずブルッカーがクラプトンの名をコールしています。そしてCocaineも、です。この曲でもワウのソロが堪りません。本当にクラプトンのワウプレイは上手いです。さらにはFive Long Yearsでのプレイ。もう弾き倒しというしかないほどの物凄いテンションです。第二部のクラプトン、どうしちゃったの?て感じです。Stormy Mondayも凄いですし、この第二部を聴いていただくだけでも本作は価値ありです。イベントの全貌が分かる完全収録!これまで数々のクラプトンのレア音源のマスターを提供してくれている重鎮テーパーですが、本作のマスターはその中でも五指に入る極上音質。田舎の公民館レベルの狭いハコに響き渡るサウンドを好ポジションで捕らえているのが素晴らしい上に、第一部の開演前のBGMから開演のアナウンス、第一部終了のアナウンス、第二部開演前のBGM~開演のアナウンス、新年を迎えるカウントダウン、新年を祝う「蛍の光」合唱の様子まで、一部始終を漏れなく収録してくれています。本作を聴くと、この温かく豪華だったこのコンサートを一度は経験したかったなあと心から思います。そんな日本人の我々が観に行くことが叶わなかったコンサートをこれほどのリアリティで届けてくれた重鎮テーパーに感謝です。Woking Leisure Centre, Woking, UK 31st December 2005 ULTIMATE SOUND(from Original Masters) Disc 1 (57:59) 1. Intro. 2. Knock on Wood 3. Reconsider Baby 4. Ooh Poo Pah Doo 5. You Can't Judge a Book by the Cover 6. I'm Your Hoochie Coochie Man 7. Knockin' on Heaven's Door 8. Sweet Little Rock & Roller 9. Not Fade Away 10. Black Jack 11. Willie and the Hand Jive 12. Old Black Joe Disc 2 (70:46) 1. Intro. 2. In the Midnight Hour 3. Stormy Monday 4. Poison Ivy 5. Goodnight, Irene 6. Got My Mo-Jo Working (But It Just Won't Work on You) 7. Blueberry Hill 8. Five Long Years 9. No Woman, No Cry / A Whiter Shade of Pale 10. Cocaine 11. Little Queenie 12. Kansas City Eric Clapton - guitar / vocals Gary Brooker - keyboards / vocals Chris Stainton - keyboards Dave Bronze - bass Henry Spinetti - drums