人気タイトルがグレードアップして再々登場!1979年11月から12月にかけて行われたエリック・クラプトンの来日公演より、初日となった11月23日茨城公演を超高音質ステレオ・オーディエンス録音で完全収録して2009年にリリースされた「BRITISH PRIDE」。瞬く間に完売したため、2015年に当店エンジニアが同マスターをリマスターしてリリースした「JUST ONE NIGHT IN MITO」も短期完売するという人気を博しました。その高音質に加え、ツアー初日ならではのサプライズを含んでいた公演だったことから、さらなる再発を望む声が後を絶ちませんでした。このたび、この大元のマスターをかのGraf Zeppelinがリマスターしてくれました!元より超高音質なマスターの、微妙にずれていた位相を修正。さらに音量を調整し、歪まない範囲で持ち上げ迫力をアップ、 中域-低域の帯域も若干調整して、さらに聴きやすくなりました。このグレードアップバージョンがこの日の最高峰と断言できます。既発盤をお持ちの方も是非「違い」をお確かめいただければと思います。バンドメンバーを全員イギリス人ミュージシャンに入れ替えての、後に武道館公演がオフィシャル名ライブ盤「Just One Night」として記録された本ツアーは、10日間に渡って行われ、全ての公演がブート音盤化されていますが、初日を完全収録したのは本作のみ。まず驚かれるのはその音質でしょう。初日の小規模ホール地方公演とあってか、クラプトンの日本公演としては静かな聴衆を前に行われたパフォーマンスを、その細部に至るまでこれ以上は望めない音質で捉えており、現存する79年の他公演のオーディエンスソース全てを完全に上回る音質で収録しています。1979年ツアーの決定版、「裏Just One Night 」と言ってもよいタイトルがグレードアップしての再登場です。サプライズ続出の初日のセットリスト!それではこの公演がこの年、どのような意味合いを持っていたかを時系列で振り返ってみましょう。・1979年3月4日~17日:アイルランド・ツアー・1979年3月28日~6月24日:長期全米ツアー ・1979年9月7日:イギリス、サリー州クランレーでオール・ブリティッシュ・バンドでの初めてのウォームアップギグ・1979年9月30日:イギリス、スタッドフォードシャー、ハンレーで二度目のウォームアップギグ ・1979年10月6日~29日:東欧、中東ツアー・1979年11月16日~12月6日:極東、ジャパン・ツアー ←★ココ★ この年にはアルバムのリリースはありませんでした。その理由は、前年に「BACKLESS」がリリースされていたこと、そして当該アルバムをレコーディングしたバンド(タルサ・トップス)でのプロモーション・ツアーを行なう必要があったからです。ところが、です。3月から6月までタルサ・トップスを率いて行なったツアーが終わると、クラプトンは何とアルバート・リーだけを残し、6年間も一緒にやってきた他のメンバー全員を解雇してしまったのです。そして7月、8月に「BACKLESS」のプロデューサー、グリン・ジョンズの取り計らいにより、イギリスのセッションマンと顔合わせセッションを行い、そのフィーリングを気に入ったクラプトンは、そのミュージシャンをバンドに採用しました。ここに全員がイギリス人という、69年のブラインド・フェイス以来の布陣が誕生したのです。しかしセッションマンの彼らはライブステージでの実力が未知数でした。そのためクラプトンは9月に2回のウォームアップ・ギグをセッティングします。9月7日はクラプトンの地元の小ホールで初めてのライブを行ない、30日にはシアタークラスの会場で二度目のギグを行なってバンドの実力を測ります。ここでバンドのポテンシャルを確認したクラプトンは精力的にツアーを再開します。その行程で行なわれたジャパン・ツアーで、クラプトンはこのニューバンドのグルーヴを気に入ります。そして最終行程の武道館で正式にライブレコーディングを指示、それが名ライブ盤「JUST ONE NIGHT」となったことはファンならずともご存知でしょう。しかしクラプトンがレコーディングを指示するほど気に入ったこのバンドでのライブパフォーマンスは、当然この初日の水戸から始まっていたのです。でなければ、このジャパンツアーからライブ盤をリリースしようなどとは思わないはずです。初日ゆえに手探り感もあったこの日のセットリストですが、ジャパン・ツアーでは本公演のみとなる、メンバーチェンジ後に行われた短期のヨーロッパツアーのリストを踏襲する「If I Don't Be There By Morning」がオープニングに据えられ、その後も他公演とは曲順/曲目が異なる、このツアーの中から最もレアなリストが組まれていました。演奏内容については、全体的には新しいバンドの感触とセットリストに対する観客の反応を確かめる様な冷静で堅実な演奏が展開されています。しかしながら、この日は絶妙なアンプのセッティングの効果から、ピッキングのニュアンスでクランチから一転するオーバードライブ・サウンドをオフィシャルライブ盤以上に生々しく再現しており、スライドとソロでそのサウンドを自在に操りながら繰り出されるフレーズの数々は圧巻で、特にスライドのタイム感が冴え渡ると共に、味わい深いトーンを弾き出しています。オープニングナンバーのIf I Don’t Be There By Morningは次公演の名古屋からは「JUST ONE NIGHT」同様Tulsa Timeに変更され、そのまま最終公演まで継続されましたので、この初日は非常に貴重なセットリストだったと言えます。その他、Lay Down Sallyのエンディングでは、「JUST ONE NIGHT」収録テイクのような、ライブで見事にフェイド・アウトさせるという試みが失敗し、カットアウトで終わっていたり、Cocaineのエンディングでは、まだ馴染みのないオーディエンスが「Cocaine!」とコールしても終わらず、妙な手拍子を続けるというレスポンスになっていたり、面白い場面があります。さらに、この初日のみBadgeが演奏されている上に、「La La La」という未発表曲が披露されていたことが何より貴重です(日本公演で未発表曲が披露されたことはこれ以外では一切なく、この曲は今日まで正式にスタジオバージョンがリリースされたことはないままです)。こんなサプライズがあった1979年ジャパンツアー初日。そしてクラプトンのキャリアにおいては、オール・ブリティッシュ・バンドの実質的なお披露目となった本ツアーでしたので、一音一音を確かめるような手堅いパフォーマンスが全編で展開されています。酒に酔ってステージに臨んでいた70年代のクラプトンが、ここまで丁寧に演奏したことはなかったのではないでしょうか。そんな貴重かつ歴史的な公演を音質がグレードアップした本盤で堪能していただけます。★位相修正 ★音量調整・歪まない範囲で持ち上げ ★帯域若干調整(中域-低域) Kenmin Bunka Center, Mito, Japan 23rd November 1979 ULTIMATE SOUND(UPGRADE) Disc 1 (40:48) 01. Intro 02. If I Don't Be There By Morning 03. Worried Life Blues 04. Tulsa Time 05. Early In The Morning 06. Lay Down Sally 07. Wonderful Tonight 08. Country Boy Disc 2 (68:16) 01. Rambling On My Mind / Have You Ever Loved A Woman 02. Blues Power 03. Knockin' On Heaven's Door 04. After Midnight 05. La La La 06. Setting Me Up 07. Badge 08. All Our Past Times 09. Cocaine 10. Layla 11. Further On Up The Road Eric Clapton : Guitar & Vocals Albert Lee : Guitar Dave Markee : Bass Henry Spinetti : Drums Chris Stainton : Keyboards