マイク・ミラードのオリジナル・マスター発掘と並び、2020年に大きな話題を呼んだ“HOT OFF THE HEADS PRODUCTION”。そのローリング・ストーンズ篇となる世界初公開マスター。本作に収められているのは「1981年11月24日シカゴ公演」。“AMERICAN TOUR 1981”で実現したシカゴ3連続公演の中日で記録された絶品オーディエンス録音です。もうえ気づきの方も多いと思いますが、1981年のシカゴと言えば3連続公演のすべてでサウンドボード録音も発掘されたことでも有名。本作のシカゴ2日目にしても極上ステレオサウンドボード・アルバム『CHICAGO 1981 2ND NIGHT』が大ヒット。即完売の大人気タイトルとなりました。と言うわけで、先にサウンドボードが公開されているわけですが、そこは“HOT OFF THE HEADS PRODUCTION”。本作もまた、普通のオーディエンス録音とはワケが違います。何よりも素晴らしいのは、クリアに透き通った空気感。このシリーズは大きく分けて2つのタイプがあり、1つは反響成分ゼロな超タイト録音で、もう1つが鳴りが輝きを与えるタイプ。本作は後者の見本のような録音でして、距離感ゼロというよりはホール鳴りが艶や厚み、ダイナミズムを加えてくれる。もちろん、そうした鳴りがボケや濁りの原因になっては元も子もありませんが、本作は芯が力強く真っ直ぐに伸び、むしろ鳴りによる輝きが一層のクリアさに感じ取れる美録音なのです。さらに加えるなら、大歓声のスペクタクルも絶妙に美味しい。リアルな現場の熱狂を吸い込んでいるのですが、それが間近な絶叫ではなく、遠くに広がる海原のような立体感。ミックの一挙手一投足にコントロールされた歓喜が“うねり”となって持ち上がり、広い過剰を右へ左へと蠢いていく。「You Can't Always Get What You Want」ではミックがメンバー紹介しながら煽りを入れるのですが、その盛り上がりのデカいこと……。この現場感覚はサウンドボードではあり得ませんし、ド真ん中を貫く演奏や歌声と盛り上がりのバランス感覚は凡百のオーディエンス録音には求められない。“HOT OFF THE HEADS PRODUCTION”の美録音だからこそ味わえる絶大な体験感なのです。そんなサウンドで描かれるショウがまた素晴らしい。実際、この日は名演でも知られており、ビシッとしたアンサンブルが実に小気味良い。もちろん、隅から隅まで機会のように完璧なバンドではありませんし、序盤の「Shattered」ではミックとバンドが噛み合わなくなるハプニングも発生します。しかし、乱れるのがそれくらいしかない。固定セットの中だるみも起きず、軽快な演奏が微塵も緩まずにフルショウを貫く。そんな熱演だからこそ「Miss You」でのシュガー・ブルーの飛び入りも映えるのです。1人でも多くの方に体験していただきたい。あの素晴らしいショウを特等席からたぷりと体感できるドキュメント・アルバム。Live at Rosemont Horizon, Chicago, Illinois, USA 24th November 1981 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND Disc 1(68:51) 1. Under My Thumb 2. When the Whip Comes Down 3. Let's Spend the Night Together 4. Shattered 5. Neighbours 6. Black Limousine 7. Just My Imagination 8. Twenty Flight Rock 9. Going to a Go-Go 10. Let Me Go 11. Time Is on My Side 12. Beast of Burden 13. Waiting on a Friend 14. Let It Bleed Disc 2(61:20) 1. MC 2. You Can't Always Get What You Want 3. Band Introductions 4. Little T&A 5. Tumbling Dice 6. She's So Cold 7. Hang Fire 8. Miss You 9. Honky Tonk Women 10. Brown Sugar 11. Start Me Up 12. Jumping Jack Flash 13. Satisfaction