1992年2月1日、イギリス、ブライトン公演で収録された極上ステレオ・オーディエンスソースの完全収録盤。この日の公演と申しますと、過去にプレス盤での高音質オーディエンスタイトルが存在したことが思い浮かぶ方も多いでしょう。「ああ、あの音源か。あれでオーディエンスソースはもう十分だから。」と思われた方、どうぞ最後までお読みください。本盤のマスターは、最近ネットにアップされたものながら、既発盤マスターとは完全別の新たに発掘されたマスターなのです。それは冒頭のオーディエンスの歓声を聞いていただければすぐにお判りいただけます。既発盤とはまったく異なるもので、既発盤のマスターもステレオだった上にクリアネスとサウンドバランスにかけては決定版的な音質の良さを誇るものでしたが、本盤もそれに優るとも劣らない、素晴らしいサウンドなのです。むしろステレオの広がりにかけては本盤が勝っていると断言できます。既にこのマスターをダウンロードされているマニアはお気づきのことでしょうが、実はこのマスター、Anything For Your LoveとBadgeには経年によるテープ劣化に起因する致命的な欠点(トラブル)が含まれていました。「音質は抜群なのだが、この欠点ゆえに既発盤は超えられないな。」と思われた方、さらにどうぞ最後までお読みください。本盤はその欠点部分に当店のプロ級エンジニアが完璧なメンディングを施したのです。本盤を初めて聴かれた方ならどなたでも、どこをどう修正改善したのかお判りにならないと思います。さらに本盤では、ネットマスターでは音の半分近く高かったピッチを完全に修正し、レンジの狭い詰まった感じの質感だった印象をリマスターにより広がりのある音像にグレードアップしました。言わば、本盤は既発盤とは完全別のマスターを使用し、元のネットマスターとは次元の違うハイグレード盤に生まれ変わらせたものなのです。当店だけの、唯一無二のタイトルと言えましょう。音質の良さは十分お伝えできたところで、次にこの公演の意味合いをお伝えしましょう。この公演はクラプトンにとって、非常に重要な意味を持っていたのです。この日はこの年における、長きに渡るツアーの初日となったものでした。そしてそれは単なる「ツアー初日」ではなく、クラプトンの人生「再起初日」だったのです。この公演から遡ること、2週間前にクラプトンはあの「アンプラグド」の収録を行なっています。前年に幼い息子を不慮の事故で亡くすという悲劇に見舞われ、一時は再起不能と報じられた彼が、アコースティック・セットという原点回帰とも言える環境で、息子との想い出を基に書き上げた新曲と自身のアイデンティティであるブルース、自身の代表曲を披露しました。そこで自身を見詰め直した彼は、悲嘆に暮れて深く沈み込んでしまうのではなく、新たな人生に向けて船出することを誓いました。その出発点となったのが、この日だったのです。バックのミュージシャンは前年暮れのジョージ・ハリスンとの日本公演をサポートしたメンバーと同じでした。ジョージ・ハリスンの27年ぶりのステージ復帰を支えたメンバーがクラプトンの再起ツアーをも支えたわけです。セットリストでの注目は、6年後の98年にアルバム「PILGRIM」に収録して発表されたMy Father's EyesとCircusがこの時点で披露されていることです。両曲は「アンプラグド」でもアコースティック・バージョンで披露されたのですが、クラプトンの意思によりこの年にリリースされた同名アルバムには収録されませんでした。まだ彼とすれば磨き上げていく過程にある曲だと考えていたのかもしれません。特にMy Father's Eyesは、この時だけの「アンプラグド」とは異なるエレクトリック・バージョンで演奏されていることが非常に貴重なもので、このイギリス・ツアーでは初期のみに演奏されて後にセットから落とされていることからも、クラプトンは試行錯誤を重ねていたことが窺えます。彼自身が演奏前のMCで「ここで新曲にトライするよ。まだレコーディングはしていないから、ちょっとラフだけどね。」と言っているのですから。しかしながらここで聴ける当曲は非常にジェントルなアレンジで、素晴らしい出来映えを示しています。このアレンジはここでしか聴けないものです。Circusも哀愁溢れる、秀逸なテイクとなっています。さらに注目は、アルバム「JOURNEYMAN」収録のAnything For Your Loveがライブで初披露されたことです。打ち込みのリズムをバックに使って演奏された同曲は、98年の「PILGRIM」を待たずしてトライした彼の新たなチャレンジではなかったかと言えます。「ジャーニーマン・ツアー」とは一部メンバーを入れ替えて臨んだクラプトンの新たな船出の瞬間、ステージ全編で感じられるクラプトンのポジティヴなスピリットによる弾きまくり。これが本盤の聴きどころです。完全別マスターで本公演を聴き直していただき、彼のスピリットをご体感ください。Brighton Centre, Brighton, UK 1st February 1992 PERFECT SOUND Disc 1 (65:47) 1. Intro. 2. Anything For Your Love 3. Pretending 4. I Shot The Sheriff 5. Running On Faith 6. My Father's Eyes 7. She's Waiting 8. Circus 9. Tears In Heaven 10. Signe 11. Before You Accuse Me Disc 2 (70:33) 1. Old Love 2. Band Introductions 3. Badge 4. Wonderful Tonight 5. Tearing Us Apart 6. Layla 7. Crossroads 8. Sunshine Of Your Love Eric Clapton - guitar / vocals Andy Fairweather Low - guitar Chuck Leavell - keyboards Nathan East - bass Steve Ferrone - drums Ray Cooper - percussion Katie Kissoon - backing vocals Tessa Niles - backing vocals