1996年ペイジ・プラント来日公演の中では、これまたサウンドボードがお馴染みとなった感のある名古屋公演。むしろサウンドボード一択と言ってもおかしくない状況へ強烈な一打となった名盤『NAGOYA 1996 DAT MASTER』。この名盤こそ極上オーディエンスの良さをマニアに見直させる画期的なリリースとなったのですが、だからこそ再評価が必要だったのが名盤『10 DAYS』ボックス。1996年当時にリリースされた多くのアイテムを一掃させた歴史的なボックスセットが今なお色褪せない高音質であったことはこれまでのDATマスター・シリーズで証明されてきましたが、名古屋の『10 DAYS』マスターがまた素晴らしい。そもそもこの日は日本公演が始まってからエスカレートしていたアコースティックな編成のレパートリーを軸としたセットリストが頂点を迎えた日。だからこそ『10 DAYS』マスターならではの繊細な音の広がりが最大限に活かされる結果にもなった訳ですが、実際ここで聞かれる2023版はさらにDATマスターならではの再現力を生かし切った仕上がりで、96年版と比べてのその違いは明らか。ライブ中盤は特にアコースティック寄りな演奏の構成でまとめられており、いよいよ前年のアメリカやイギリスのステージでは考えられなかったような展開へと進化。それだけに今回のDATマスターを最新技術でCD化した威力は絶大。ここまで何度も触れてきた繊細さはもちろん、アコースティックな演奏の織り成す深みもマシマシ。改めて96年来日公演の中にあっても特異なセットリストであったことを素晴らしい音質と共に思い知らされることかと。ショウの幕開けこそ定番「Heartbreaker」だったのですが、「Tangerine」が演奏されると雰囲気は一変。そこからいつも以上にアコースティックなアレンジや編成のレパートリーが立て続けに披露されるという。結果として96年の来日公演の中にあって特にマニアックなセットリストの一日だったのではないでしょうか。東京でもあれほどの変化を見せたペイジ・プラントではありましたが、この日はその極めつけと言っても過言ではない。それに何と言ってもここは名古屋。二人が揃ってこの地に降り立ったのはZEP1972年以来のこと。となれば「Thank You」が演奏されるのは必然であった。それを知ってか、二人はしっかり同曲を披露してくれたのです。もちろん72年の時のような「さくら」こそ弾かれなかったものの、さすがにこの地での「Thank You」には重みがある。それが『10 DAYS』マスターならではの鮮やかな音質で聞けばいよいよ感動的。むしろサウンドボードよりも鮮やかに聞こえるのでは。さらに順序こそ違えど「The Song Remains The Same」に「The Rain Song」、さらには「Dancing Days」まで披露され、いよいよ1972年の名古屋にタイムスリップ。そんな絶妙なセットリストのパートだけでなく、ハードな演奏でも『10 DAYS』マスターの素晴らしさは健在。この日はライブ序盤での披露となった「Custard Pie」でペイジが聞かせたギターソロなど、それこそサウンドボードかと見まごうばかりの迫力と音像。1996年当時のアイテムでこれほどまでの近さとリアリティを誇ったオーディエンス録音は他に類を見ないほどだったのです。同時にリリースされる大阪初日同様、サウンドボードがあってもなお色褪せない極上オーディエンス。むしろ、あまりにサウンドボードが浸透してしまったせいで『10 DAYS』マスターの素晴らしさを知らない人の方が多くなってしまったかもしれません。そんなマニアにこそ推したい伝説のアイテムのDATマスター。オーディエンスならではの臨場感はもちろん、演奏や歌のバランスも驚くほど素晴らしい!Live at Century Hall, Nagoya, Japan 17th February 1996 ULTIMATE SOUND(from Original Masters)*UPGRADE Disc:1 (64:45) 1. Intro 2. Egyptian Intro. 3. Heartbreaker 4. Bring It On Home 5. Custard Pie 6. Ramble On 7. Tangerine 8. Thank You 9. Hurdy-Gurdy Solo 10. Gallows Pole 11. The Rain Song 12. Band Introductions 13. The Song Remains the Same 14. Tea for One Disc:2 (59:18) 1. Dancing Days 2. Egyptian Intro 3. In the Evening 4. Four Sticks 5. Kashmir 6. Celebration Day 7. Black Dog 8. Rock and Roll