今年40周年を迎えた『BORN AGAIN』時代のBLACK SABBATH。そのハイライト公演を体験できるフル・ライヴアルバムが登場です。そのハイライト公演とは、「1983年8月27日レディング・フェスティバル」。その一部始終を真空パックした完全オーディエンス録音です。イアン・ギラン時代のレディング・フェスと言えばFMサウンドボードが有名で、その最高峰を更新する新名盤『READING ROCK '83: FRIDAY ROCK SHOW』も登場します。しかし、放送サウンドボードはあくまでもショウの不完全版。伝説ステージをフル体験するには、オーディエンス録音しかあり得ません。その一方で、このショウは伝説だけあってオーディエンス録音も幾つか発掘されているのがクセモノ。中には聴くに耐えないサウンドであったり、ショウの一部しか録音されていなかったり。本作は、そんな中で収録時間でもサウンドでもベストなマスターであり、なおかつ極わずかに欠けていたパートも別録音で補完した完全収録ライヴアルバムなのです。では、なぜレディングはハイライトで伝説なのか。その意味をご説明するためにも、まずは『BORN AGAIN』にまつわる活動全景から振り返ってみましょう。1983年《8月7日『BORN AGAIN』発売》・8月18日ー28日:欧州#1(7公演)←★ココ★・9月13日ー10月3日:欧州#2(15公演)・10月17日ー11月30日:北米#1(32公演)1984年・1月25日ー3月4日:北米#2(25公演)《4月27日:DEEP PURPLE再結成》 これがイアン・ギラン時代のBLACK SABBATH。ざっくり「前半=欧州/後半=北米」だったのですが、ヨーロッパも二分でき、冒頭の「欧州#1」は新体制のウォームアップ的ミニ・ツアーでした。そのメイン・ターゲットだったのがレディング・フェスへの出演。良くも悪くも全世界の注目を集めていた「ギラン+SABBATH」の真価をお披露目したわけです。そして、本作はそんなハイライト公演を完全体験できる決定盤。ベースとなっているのは伝統の名録音で、そのサウンドはクリアで瑞々しく、オンな芯も力強い。現場の会話声も吸い込んだオーディエンスらしいサウンドではあるのですが、肝心の演奏音がキビまで鮮やかで輪郭もくっきりと迫ってきて距離感もない。その要は会場でしょう。レディング・フェスはMONSTERS OF ROCKと同じように大きく開けた広場に設営された野外ステージ。音を反射する壁も天井もなく、PAが吐き出す出音をダイレクトに拾っていてくっきり鮮やかに録音できるのです。もちろん、野外なら必ず高音質になるほどカンタンではなく、実際に同公演の他録音はバリバリに割れてしまったり、風で不安定になったり。本作ほど安定してクリアな録音は他にありません。もちろん、どれだけ素晴らしくてもアナログのカセット録音。テープチェンジの欠けは避けられず、これまでの既発群は「Disturbing The Priest」の冒頭が欠けていました。本作では、その後に発掘された2位クオリティの別録音で補完。全曲を1音漏らさず楽しめる完全ライヴアルバムを実現しました。では、その完全セットとはいかなるものなのか。FMサウンドボードでは聴けないレパートリーもたっぷり楽しめますので、ここで比較しながらフルセットを整理してみましょう。悪魔の落とし子(6曲)・Hot Line/Born Again(★★)/Disturbing The Priest(★)/Keep It Warm(★★)/Zero the Hero/Digital Bitch クラシックス(8曲)・オジー時代サバス:Children Of The Grave(★)/War Pigs/Supernaut(★)/Rock 'n' Roll Doctor(★)/Black Sabbath/Iron Man/Paranoid・ディープ・パープル:Smoke On The Water※注:「★」印は新名盤『READING ROCK '83: FRIDAY ROCK SHOW』で聴けなかった曲。特に「★★」印はサウンドボード自体が存在しない曲。……と、このようになっています。サウンドボードが存在しない「Born Again」「Keep It Warm」もレディングならではの爆テンション・バージョンで楽しめる。また、「欧州#1」ではロニー時代の曲がないのもポイント。「欧州#2」からは「Heaven And Hell」、「北米#2」では「Neon Knights」を取り上げるようになるわけですが、これがムリすぎでした。「上手い/下手」「似合う/似合わない」以前に2人の声域が違いすぎ、ギランにとっては普通に歌うには高すぎて、シャウトで押し切るには低すぎる。しかし「欧州#1」の本作にはそんなムリなロニー曲がなく、「ギラン流サバス」を純粋に楽しめるのです。その一方、レディングではまだ慣れていなかったのか、あるいは勢い余ったのかギランが自己崩壊してしまう曲もある。典型的なのは「Digital Bitch」。凄絶なシャウトを轟かせつつ、明らかに歌詞が吹っ飛んでしまっている。面白いのは、FM放送ではきっちり歌えていること。恐らくはショウの後でオーバーダブしたのでしょうが、ただの放送にそこまでする辺り、いかに彼らがレディング・フェスを重要視していたのかが分かります。勝負を賭けた最初の大舞台であり、ギランの絶唱で知られる「1983年のレディング」。FMサウンドボードでは窺い知れないフルショウを極上体験できる完全ライヴアルバムです。既発では惜しくも欠けていた「Disturbing The Priest」まで完全体で楽しめる決定盤。「1983年8月27日レディング・フェスティバル」公演の完全オーディエンス録音。古くから知られる伝統の名録音をベースに、欠けていた「Disturbing The Priest」の冒頭パートをNo.2録音で補完したフル・ライヴアルバムです。そのサウンドはクリアで瑞々しく、オンな芯も力強い。サウンドボード版の新名盤『READING ROCK '83: FRIDAY ROCK SHOW』でも聴けない名曲も山盛りなフルショウを完全体験できる決定盤です。Reading Festival, Richfield Avenue, UK 27th August 1983 TRULY AMAZING SOUND Disc 1 (49:59) 1. Supertzar 2. Children Of The Grave 3. Hot Line 4. War Pigs 5. Born Again 6. Supernaut 7. Drum Solo 8. Rock 'n' Roll Doctor 9. Disturbing The Priest 10. Keep It Warm Disc 2 (42:19) 1. Black Sabbath 2. The Dark/Zero the Hero 3. Guitar Solo 4. Digital Bitch 5. Iron Man 6. Smoke On The Water 7. Paranoid/Heaven And Hell(reprise) Ian Gillan - Vocals Tony Iommi - Guitar Geezer Butler - Bass Bev Bevan - Drums Geoff Nicholls - Keyboards