ロック史に残る劇的なカムバックを成し遂げた1987年のAEROSMITH。ほとんど知られてこなかった激レア曲も飛び出す必携ライヴセットが登場です。そんな本作に収められているのは、1つのショウの2つのオーディエンス記録。「1987年10月20日トロント公演」のフル録音をDISC 1-2、絶景映像をDISC 3に配した3枚組です。熱心なコレクター諸兄なら「PERMANENT VACATION時代のトロント公演ってレア曲あったっけ?」と思われるかも知れませんが、そこはちょっと話がややこしい。その辺をご説明するためにも、まずは当時のワールド・ツアー全景を俯瞰してみましょう。1987年《8月25日『PERMANENT VACATION』発売・10月16日ー12月31日:北米#1(44公演)←★ココ★ 1988年・1月16日ー2月28日:北米#2(29公演)←※HOUSTON 1988・3月21日ー5月22日:北米#3(36公演)・6月17日ー26日:日本(6公演)←※EXOTIC VACATION・7月2日ー9月15日:北米#4(40公演)←※TORONTO 1988他 これが“PERMANENT VACATION Tour”の全体像。お馴染みの映像作『TORONTO 1988』もありましたが、あれはツアー最終盤。本作は真逆の最初期4公演目にあたるコンサートでした。そして、ツアー序盤というのはセットが美味しい。『PERMANENT VACATION』からの新曲もどれが定番になるか定まっておらず、様々な曲を試しては観客の反応を探っていく。本作は、そんなツアー極初期だからこそのレア曲が楽しめるわけです。では、どんな曲が披露されているのか。“PERMANENT VACATION Tour”の象徴でもあるサウンドボードの名盤『DEFINITIVE HAMPTON 1987』と比較しながらセットを整理してみましょう。70年代(12曲) ・闇夜のヘヴィ・ロック:Toys In The Attic/Big Ten Inch Record/Sweet Emotion/Walk This Way・野獣生誕:Walking The Dog(★)/Dream On・飛べ!エアロスミス:Same Old Song And Dance/Train Kept A Rollin'・ロックス:Last Child/Rats In The Cellar・その他:Draw The Line/Bone To Bone (Coney Island White Fish Boy) 80年代(7曲)・パーマネント・ヴァケイション:Dude (Looks Like A Lady)/Rag Doll/Girl Keeps Coming Apart(★★)/Simoriah(★★)/I'm Down(★)・その他:Lightning Strikes/Let The Music Do The Talking(★)※注:「★」印は象徴サウンドボード『DEFINITIVE HAMPTON 1987』で聴けなかった曲。特に「★★」印は数回だけの超激レア曲。……と、このようになっています。『DONE WITH MIRRORS』の「Let The Music Do The Talking」もなかなかな貴重ですが、やはり必聴なのは『PERMANENT VACATION』の新曲群。特に「Girl Keeps Coming Apart」「Simoriah」の2曲は、セットリスト記録ですら片手で指折り数えられる程度しか残っていないという激レア・ナンバーでして、生演奏されていたこと自体ご存じなかった方も多いのではないでしょうか。DISC 1-2:大元マスター起こしのフル・ライヴアルバム あまりの貴重度に大切なことが後回しになってしまいました。そんな激レア・ライヴを伝える本作のクオリティも素晴らしい。まずメインのフル録音(DISC 1-2)ですが、何とも瑞々しいダイナミック・サウンド。決してサウンドボードと間違えるようなタイプではないものの、空間を貫く芯が力強く、特にスティーヴン・タイラーのヴォーカルは機微までハッキリ。近年になって公開された大元マスター起こしでして、アナログ・ダビングを経ていないからこそ、何よりも歪みやヨレが一切ない。それこそ、まるで昨日録音したような鮮やかさでして、スピーカーに頭を突っ込んだら1987年の会場へ通じているんじゃ無いかと思えるほどリアルなのです。しかも、本作はそんなリアル・マスターを細心マスタリングで磨き込んだ最高峰更新盤。公開されたネット原音はピッチも高ければ、大歓声も強力でやや演奏が埋没して感じられました。本作ではそうした欠点を克服。ビシッと整ったピッチはもちろん、演奏音もヴォーカルもグッとヌケが良くなり、大歓声もスペクタクルだけが美味しく感じられるバランスを実現したのです。DISC 3:35年の時空を飛び越える映像美 そんなライヴアルバムに続くDISC 3は映像篇。これがとにかく素晴らしい見晴らし。ステージ左側(ブラッド・ウィットフォード側)のスタンド席から見下ろし気味に撮影しているのですが、客席が急勾配なのかステージが丸ごとすっぽり見放題。ステージ左端までスティーヴンが来ると真下を見るような感じになるので前方客の影も見えますが、そんなシーンは極々わずか。ショウの大部分は遮蔽物もなくステージを独り占めしているかのような感覚に襲われます。そして、こちらもマスター鮮度が絶大。映像は録音以上にダビング痕が目立つものですが、本作にはまるっきり見当たらない。もちろん解像度的にはアナログの甘さはあるものの、ビビッドな発色も、荒れのない艶やかさも、現場そのもの肉眼感覚なのです。歴史的な復活劇が始まったばかりというエネルギーと、他では聴けない激レア曲。そんな美味しいフルショウをマスター・クオリティのライヴアルバム/映像でセットした必携作です。コレクター心理を直球で突いてくる3枚組。「1987年10月20日トロント公演」のフル録音+絶景映像のオーディエンス3枚組。ライヴアルバム篇も映像篇もダビング痕のないマスター・クオリティで、激レア曲「Girl Keeps Coming Apart」「Simoriah」も飛び出す“PERMANENT VACATION Tour”極初期のフルショウを楽しめます。Maple Leaf Gardens, Toronto, ON, Canada 20th October 1987 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND Disc:1 (46:42) 1. Intro 2. Toys in the Attic 3. Same Old Song and Dance 4. Bone to Bone (Coney Island White Fish Boy) 5. Big Ten Inch Record 6. Dude (Looks Like a Lady) 7. Lightning Strikes 8. Rag Doll 9. Last Child 10. Girl Keeps Coming Apart★ 11. Draw the Line Disc:2 (52:38) 1. Simoriah 2. Walkin' the Dog 3. Rats in the Cellar 4. Dream On 5. Sweet Emotion 6. Drum Solo 7. Let the Music Do the Talking 8. Train Kept A-Rollin' 9. Walk This Way 10. I'm Down DVD 1. Intro 2. Toys In The Attic 3. Same Old Song And Dance 4. Bone To Bone (Coney Island White Fish Boy) 5. Big Ten Inch Record 6. Dude (Looks Like A Lady) 7. Lightning Strikes 8. Rag Doll 9. Last Child 10. Girl Keeps Coming Apart★ 11. Draw The Line 12. Simoriah 13. Walkin' The Dog 14. Rats In The Cellar 15. Dream On 16. Sweet Emotion 17. Let The Music Do The Talking 18. Train Kept A Rollin' 19. Walk This Way 20. I'm Down COLOUR NTSC Approx.91min. Steven Tyler - Vocals Joe Perry - Guitar Brad Whitford - Guitar Tom Hamilton - Bass Joey Kramer - Drums