これまでトレーダー間にも出回っていなかった1984年ヨーロッパツアーの超貴重PAサウンドボードは『SLANE 1984 SOUNDBOARD』に『NEWCASTLE 1984 SOUNDBOARD』という衝撃の発掘の連続。はっきり言ってディラン・マニアであればこれら二公演がPAサウンドボードのウルトラクリアーな音質でライブ全編を聞けただけでも幸せだったはず。ところが84年サウンドボードの発掘の勢いは止まることを知りません。今回もまた世界中のマニアを狂喜させる衝撃のサウンドボードが。これまでリリースされてきたPAサウンドボードは他レーベルからリリースされたウェンブリー・スタジアムを含め、すべて7月のステージを収録したものでしたが、今回は遂に6月の模様を捉えたサウンドボードが発掘されたのです。それが30日にナント(Nantes)のサッカー競技場で行われたライブ。この日は良好なオーディエンス録音が古くから存在しているだけでなく、今回のサウンドボードも断片的に流出していました。実際84年ツアーのサウンドボード・コンピCDの常連音源でもある。それだけに2023年になって突如として全長版が発掘された衝撃はあまりに大きい。おまけにこの日のみのレア・ナンバーの演奏もあり、マニアの間では84年ツアーにおける特殊な存在の一日としても知られていました。ちなみにライブアルバム『REAL LIVE』用のマルチトラック・レコーディングは翌日のパリからスタートしており、この日まではPAアウトのサウンドボード録音でしか記録が残されていない。それ故に貴重度が高まるというものですが、最初に触れたように大半のマニアはナント公演を音質良好のオーディエンス録音で聞いてこられたはずで、断片的なサウンドボードの流出を覚えてないマニアの方が多いのでは。これまでのスレインやニューカッスルのサウンドボードが証明してきたように、今回も音質は完璧。先のオーディエンス録音の音質がどれほど良くともサウンドボードのクリアネスは別次元。それにディランの80年代PAアウトのサウンドボードはゆるいバランスながらもドラムを中心としてステレオで録音されており、それがまた聞きやすさと親しみやすさに拍車をかけている。今回のリリースに際してもカセット・マスターの高いピッチを修正した以外は数か所の乱れをアジャストするに留まっており、あくまで元のPAサウンドボードが持つ抜群のクリアネスに圧倒される結果となりました。そんな最高の音質でナント公演が聞けるだなんて。そしてナント公演と言えば84年ツアーにおける最高の一日として知られ、なおかつ最高のオーディエンス・アルバム『THE BEST SHOW: BARCERONA 1984』でおなじみバルセロナの次のライブ。さらにはこれまた名演として知られるパリの前日でもある。そんな位置のショーだけに、この日も実に素晴らしい演奏ぶり。特に前半の盤石な演奏ぶりはバルセロナ後らしい力強さに溢れていることがPAサウンドボードならではのクリアーな音質がしっかりと伝えてくれる。ところがグレッグ・サットンの歌うディラン休憩ソング「I've Got To Use My Imagination」の途中で彼のベースが鳴らなくなるというトラブルが発生。しかし演奏を止める訳にもゆかず、懸命に歌い続けるサットンと音の隙間を埋めるべく弾きまくるミック・テイラーが面白い!場つなぎソングとしてスルーされがちですが、この演奏は一聴の価値があり。ここで起きたPAトラブルが残念ながらディランのパートでも収まらず、「A Hard Rain's A-Gonna Fall」の途中ではまるで爆竹かと錯覚しそうなノイズが二回も会場に鳴り響いています。これはオーディエンス録音にも捉えられていたハプニングですが、今回の発掘によってPAから発せられたノイズであったことが判明。ヘッドフォンで聞かれる際は結構な大きさですので気を付けてください。そんなハプニングにもめげず、バルセロナで覚醒したディランのアンコール暴走パターンはこの日にも引き継がれています。どの曲も本当にいきいきと演奏されており、弾き語りの「The Lonesome Death Of Hattie Carroll」をうっとりするような調子で歌い上げたと思えば、果てはぶっつけ本番で「It Takes a Lot to Laugh, It Takes a Train to Cry」を始めてしまいます。単調なブルースですのでバンドは問題なくディランに合わせられたものの、テイラーだけは納得できなかったのか大観衆の前で「これはいきなり演奏させられた曲なんだ」と不満を漏らしたのに対し、ディランが苦笑しながら「いやいや何度もやったじゃないか」と返すバンド内の小競り合い(笑)まで最高にクリアーな音質で捉えられている。これまでも世界中のディラン・マニアをアッと言わせた1984年ツアー・サウンドボード・シリーズですが、今回もまた超レアな一日が発掘。例の「It Takes~」のハプニング演奏でおなじみナント公演から何とサウンドボード完全版が発掘されました!史上初登場のサウンドボード流出音源・完全版Stade Marcel Saupin, Nantes, France 30th June 1984 STEREO SBD(from Original Masters) Disc:1 (64:49) 1. Intro 2. Highway 61 Revisited 3. Jokerman 4. All Along the Watchtower 5. Just Like a Woman 6. Maggie's Farm 7. I and I 8. License to Kill 9. I've Got To Use My Imagination ベースが鳴らなくなるというトラブルが発生。しかし演奏を止める訳にもゆかず、懸命に歌い続けるサットンと音の隙間を埋めるべく弾きまくるミック・テイラーが面白い!場つなぎソングとしてスルーされがちですが、この演奏は一聴の価値があり。10. A Hard Rain's A-Gonna Fall 11. Girl From the North Country 12. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding) 13. Simple Twist of Fate Disc:2 (67:29) 1. Masters of War 2. Ballad of a Thin Man 3. Enough Is Enough 4. Every Grain of Sand 5. Like a Rolling Stone 6. Mr. Tambourine Man 7. The Lonesome Death of Hattie Carroll 8. The Times They Are A-Changin' (with Carlos Santana) 9. It Takes a Lot to Laugh, It Takes a Train to Cry (with Carlos Santana) ★79年以来の演奏でレア! 単調なブルースですのでバンドは問題なくディランに合わせられたものの、テイラーだけは納得できなかったのか大観衆の前で「これはいきなり演奏させられた曲なんだ」と不満を漏らしたのに対し、ディランが苦笑しながら「いやいや何度もやったじゃないか」と返すバンド内の小競り合い(笑)まで最高にクリアーな音質で捉えられている。 11. Blowin' in the Wind (with Carlos Santana) 12. Tombstone Blues (with Carlos Santana) Bob Dylan - vocal & guitar Mick Taylor - guitar Ian McLagan - keyboards Greg Sutton - bass Colin Allen - drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING