異形のエレクトロニック路線から正道のブルース回帰へ……大きく舵を切ろうとしていた2000年のゲイリー・ムーア。そんな時代の最高傑作となるサウンドボード・アルバムが登場です。そんな本作に刻まれているのは「2000年3月13日ハンブルク公演」。そのステレオ・サウンドボード録音です。『A DIFFERENT BEAT』時代のライヴと言えば、公式ボックス『ESSENTIAL MONTREUX』内の『LIVE AT MONTREUX 1999』が有名ですが、本作は時期もメンバーもちょっと違う。ショウ内容にも関係してくる話ですので、まずは当時の活動概要から振り返っておきましょう。1999年・7月5日ー8月7日:欧州#1(5公演)←※公式MONTREUX 1999《9月27日『A DIFFERENT BEAT』発売》《ゲイリー・ハズバンド→ダリン・ムーニー交代》・10月19日ー11月5日:欧州#2(11公演)・12月7日+19日:英国(2公演)2000年《ムーニー→グラハム・ウォーカー交代》・3月10日ー5月20日:欧州#3(23公演)←★ココ★・6月24日:ロンドン公演《ウォーカー離脱→ムーニー復帰》これが1999年/2000年のゲイリー・ムーア。公式『LIVE AT MONTREUX 1999』も『A DIFFERENT BEAT』時代はあるのですが、アルバムは完成していてもまだ発売していない「欧州#1」でした。それに対して本作はアルバム発売後。それもドラマーがゲイリー・ハズバンド→ダリン・ムーニー→グラハム・ウォーカーと交代した「欧州#3」の2公演目にあたるコンサートでした。そんなショウはFM放送されたことでも有名で、当時から既発が人気を呼んで来た定番。本作も同じFMサウンドボードでありつつ、過去最高峰マスターからCD化された名品なのです。当時の既発で最も有名なのは『THE BLUES IS STARTING POINT(GE 150/151)』だと思いますが、曲は変更され、サウンドもダビング痕が感じられるボケたものでした。それに対し、本作は当時録音された大元マスターからダイレクトにデジタル化されており、曲順も正しく格段にくっきり鮮やか。さらに独自の細心マスタリングでヌケ良く仕上げており、既発群とはまったくの別物級に進化しています。サウンドは生まれ変わっても、時代感にむせ返るリアリティはそのまま。生放送っぽいミックス(正確には翌2001年の再放送版)だけに完全オフィシャル級というよりはラジオ・アルバム風ではありますが、それが悪かろうハズもない。ダビング痕のない演奏が非常にビビッドですし、再生するだけで部屋中の大気が一気に23年前へ引き戻されるかのようです。そんなリアルFMサウンドで描かれるのは、見逃されがちな『A DIFFERENT BEAT』時代の真価。前述のように、この時代の象徴作は公式『LIVE AT MONTREUX 1999』ですが、本作は曲数ボリュームからして圧倒している。比較しながらセットを整理しておきましょう。スティル・ゴット・ザ・ブルーズ(7曲)・Walking By Myself/Oh Pretty Woman(★)/All Your Love (I Miss Loving)/Still Got The Blues/Too Tired/The Sky Is Crying/Further On Up The Road その他(9曲)・ディファレント・ビート:Lost In Your Love(★★)/Surrender(★★)/Fire・バック・トゥ・ザ・ブルース:Cold Black Night(★)/The Prophet(★)・その他:Need Your Love So Bad/I Loved Another Woman(★)/Since I Met You Baby/The Blues Is Alright(★)※注:「★」印は公式『LIVE AT MONTREUX 1999』で聴けない曲。特に「★★」印は5枚組ボックス『ESSENTIAL MONTREUX』のどのディスクにもない曲。……と、このようになっています。公式ボックス『ESSENTIAL MONTREUX』は各年代のモントルー公演を集めた5枚組だけに『LIVE AT MONTREUX 1999』にない曲もほとんどが他公演で押さえられたりするのですが、全部とは行かない。『A DIFFERENT BEAT』時代にしか演奏していない「Lost In Your Love」「Surrender」は本作の独壇場と言っても良いのです。しかも、この2曲が間違いなく聴きどころ。スタジオ版ではエレクトロニックな味付けが全開で馴染みにくいサウンドでしたが、ステージでは4人編成バンドによるいつも通りのロック仕様。人力ビートのグルーヴはダイナミックで、曲が本来持っていた「ロックなカッコ良さ」が丸出し。早くも次作『BACK TO THE BLUES』の「Cold Black Night」「The Prophet」も披露されていますが、表面上のアレンジはどうあれ、ゲイリーの本質はまったく変わっていない事がよく分かります。現在では「一時の気の迷い」的に捉えられているエレクトロニック時代のゲイリー・ムーア。本作は、歴史の特異点だからこそ貴重なフルショウを教えてくれるサウンドボード・アルバム、その最高峰更新盤です。オフィシャル『LIVE AT MONTREUX 1999』さえ凌駕する『A DIFFERENT BEAT』時代の最高傑作。「2000年3月13日ハンブルク公演」のステレオ・サウンドボード録音。当時から有名な定番FMサウンドボードの最高峰更新盤。曲順も正しくサウンドも明らかに鮮やかなベスト・マスターを元にしており、さらに当店独自の細心マスタリングでヌケも大幅に向上。公式ボックス『ESSENTIAL MONTREUX』では聴けない新曲「Lost In Your Love」「Surrender」も美味しい『A DIFFERENT BEAT』時代の最高傑作です。Grosse Freiheit 36, Hamburg, Germany 13th March 2000 STEREO SBD(UPGRADE) Disc 1 (51:53) 1. Walking By Myself 2. Pretty Woman 3. Lost In Your Love★ 4. Need Your Love So Bad 5. I Loved Another Woman 6. Since I Met You Baby 7. Surrender★ 8. Cold Black Night Disc 2 (54:28) 1. All Your Love 2. Still Got The Blues 3. Fire 4. Too Tired 5. The Sky Is Crying 6. Further On Up The Road 7. The Blues Is Alright 8. The Prophet Gary Moore - Guitar, Vocal Pete Rees - Bass Vic Martin - Keyboards Graham Walker - Drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING