6年ぶりだった日本公演も記憶に新しいブライアン・アダムス。その最新ステージが脳内再生されるイヤモニ・アルバムが登場です。そんな本作に記録されているのは「2023年8月12日バンクーバー公演」。そのIEMマトリクス音源です。このショウは通常コンサートではなく、バンクーバーのフードバンクのために開催されたチャリティ公演。アダムスとBLONDIEをダブル・ヘッドライナーを務めつつ、INHALERやベリンダ・カーライル、DEAR ROUGEも出演する特別イベントでした。とは言え、アダムスは現在“SO HAPPY IT HURTS Tour”の真っ最中であり、このショウもスケジュール的にはツアーの一部でもある。まずは、そんな彼の近況をスケジュールでおさらいし、本作のポジションも確かめてみましょう。・1月25日ー2月5日:北米#1(8公演)・3月2日ー17日:アジア(9公演)←※BUDOKAN 2023他・4月26日ー29日:北米#2(3公演)・5月26日ー8月12日:北米#3(29公演)←★ココ★・9月9日ー17日:北米#4(7公演) ・11月4日ー11日:中東/南アフリカ(6公演)・12月5日ー18日:欧州(9公演)これが現在までに公表されている2023年のスケジュール。つい昨日のように感じられる来日公演も、もう半年以上が経ってしまいました。来年の予定はまだ発表されていませんが、北米だけでなく欧州や中東、南アフリカまで巡る意欲的なツアーを行っています。そんな中で本作のバンクーバー公演があったのは、メイン・レッグである「北米#3」。その最終公演にあたるコンサートでした。そんなショウを伝える本作は、極めて鮮烈なマトリクス・サウンド。実のところ、この音源はサウンドボードとしても流通していたりするのですが、実際には現場で傍受されたIEM録音です。しかし、ただのイヤモニ音源ではなく、IEM音源が3種も使用されており、さらにオーディエンス録音までマトリクスされた贅沢品。しかも、主役はIEM。具体的なマトリクス内容は公開されていないのですが、音だけで判断するなら恐らくオーディエンス録音は曲間の喝采やコール&レスポンス程度にしか使われていない。極太・ド直近な演奏音とヴォーカルが全編を支配しており、白々しくならない程度に歓声も感じられるのです。そして、そのサウンドは超生々しい。マトリクスされているとは言ってもオフィシャル作品のような磨き込み感はなく、生演奏のムキ出し感は少しも損なわれていない。ちょうど演奏と同時にミックスと公開を同時に行う生中継に近いニュアンスです。そのため「オフィシャル級!」とは喧伝しがたいものの、それが悪いわけでもない。そもそもコンサート現場の現場体験ではオーディエンス録音に敵うものはないわけで、むしろサウンドボードやIEMの強みは生演奏と全身が一体化するシンクロ感にある。本作は、その旨みが全開。それこそ頭の中でアダムスが歌っているような没入感を味わえるのです。そんな没入サウンドで描かれるのは、あの素晴らしき来日公演がフラッシュ・バックするフルショウ。日本でも毎日セットが変わっていましたので、ここでも固定曲と日替わり曲に注目しながら整理しておきましょう。 近年作(3曲)・GET UP:You Belong To Me・SO HAPPY IT HURTS:Kick Ass/So Happy It Hurts クラシックス(16曲)・CUTS LIKE A KNIFE:Take Me Back(★)/Cuts Like A Knife/Straight From The Heart・RECKLESS:Somebody/One Night Love Affair(★)/Heaven/It's Only Love/Summer Of '69/Run To You・その他:Into The Fire(★)/Can't Stop This Thing We Started/(Everything I Do) I Do It For You/Please Forgive Me(★)/The Only Thing That Looks Good On Me Is You/Back To You/When You're Gone ※注:「★」印は日本で日替わりだった曲。……と、このようになっています。当店では来日4公演をすべてオリジナル録音でアーカイヴしておりますが、その中で本作のセットと一番近かったのは『BUDOKAN 2023』でした。ただしそれでも同一ではなく、本作では日本武道館で演奏しなかった「Please Forgive Me」も披露されています。63歳を迎え、なお熱い歌い込みで世界を魅了しているブライアン・アダムス。その歌声を脳みそに直接流し込んでくれるIEMアルバムです。リッチー・ブラックモアに「RAINBOWのシンガーとして日本に行きたい」と自己推薦したそうですが、それさえ本気で楽しみにしたくなる新名盤。「2023年8月12日バンクーバー公演」のIEMマトリクス音源。イヤモニ音源が3種も使用されており、さらにオーディエンス録音までマトリクスされた贅沢品。主役はIEMで、極太・ド直近な演奏音とヴォーカルが全編を支配。マトリクスでも生演奏のムキ出し感は少しも損なわれず、全身が一体化するシンクロ感は圧倒的。素晴らしかった半年前の来日公演もフラッシュ・バックする新名盤です。Malkin Bowl, Vancouver, BC, Canada 12th August 2023 ULTIMATE SOUND Disc 1(42:24) 1. Intro 2. Kick Ass 3. Can't Stop This Thing We Started 4. Somebody 5. Take Me Back 6. Please Forgive Me 7. One Night Love Affair 8. Heaven 9. It's Only Love 10. You Belong to Me 11. The Only Thing That Looks Good On Me Is You Disc 2(41:51) 1. When You're Gone 2. (Everything I Do) I Do It For You 3. Back to You 4. Summer of '69 5. Into the Fire 6. Cuts Like a Knife 7. So Happy it Hurts 8. Run to You 9. Straight from the Heart Private Event for the Greater Vancouver Foodbank