HEART復活への歩みと並行し、バックバンドTRIPSITTERとの初アルバム『ANOTHER DOOR』をリリースしたアン・ウィルソン。その最新ツアーでも不測の中断となってしまった事件ナイトのライヴアルバムがリリース決定です。事件が起きたのは「2023年10月3日メサ公演」。本作は、その一部始終を真空パックした極上オーディエンス録音です。近年ソロ活動に邁進しているアンですが、2023年になってからはTRIPSITTERを結成してツアーを実施。当店では、その第一報アルバム『DUBLIN 2023』が定番ともなっていますが、まずは、現在進行形のツアー・スケジュールを俯瞰し、彼女の近況もおさらいしておきましょう。《6月10日:HEART復活計画を公表》・7月4日ー8月5日:北米#1(19公演)←※DUBLIN 2023・8月23日ー9月8日:北米#2(9公演)・9月24日ー28日:北米#3a(4公演)《9月29日『ANOTHER DOOR』発売》・9月30日ー10月21日:北米#3b(13公演)←★ココ★・11月28日ー12月11日:北米#4(9公演)これが現在までに公表されている2023年のアン・ウィルソン。『DUBLIN 2023』はツアー開始直後でまだ『ANOTHER DOOR』のリリース前でしたが、本作は発売日を挟んで実行中の「北米#3」。その7公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、極太サウンドの銘品。生々しい喝采も吸い込んだオーディエンス録音ではありますが、芯の極太感やオンで力強い密度はサウンドボード級で、そこにほんのり乗ったホール鳴りが絶妙な艶とダイナミズムを醸してくれる。日進月歩の激しいオーディエンス録音だけに「2023年基準」という感じでもありますが、これが数年前なら「客録でこんなサウンドが可能なのか!?」とビビったに違いありません。そんな骨太・肉厚サウンドで描かれるのは、事件が起きたイレギュラー・コンサート。実は、TRIPSITTERのベーシストであるトニー・ルシードが急病。開演から40分ほどで急遽終了してしまうのです。もっともメンバーが倒れたような音はないのですが、観客に対してショウ中断の旨を説明するアナウンスは収録。どよめきながらも暖かい拍手に包まれる会場の雰囲気もリアルに記録されています。そんなトラブル・シーンも面白いですが、そこに至るまでのショウ8曲も聴き逃せない。短いながらも第一報アルバム『DUBLIN 2023』では聴けなかったレパートリーも披露されているのです。最後に、そのセット内容も整理しておきましょう。ソロ(3曲)・Ruler Of The Night/This Is Now/Greed(★)カバー他(5曲)・ハート:Even It Up/Love Alive/Magic Man・その他:Isolation(★:ジョン・レノン)/Love, Reign O'er Me(★:THE WHO)※注:「★」印は『DUBLIN 2023』で聴けなかった曲。トニーの不調の原因はよく分からないのですが、上記のスケジュールをご覧のようにツアー自体は続行。大事には至らなかったようです。改めてフルショウを楽しめる録音の登場も楽しみですし、50周年を記念するHEART復活も待ち遠しいところ。本作は、そんな「2023年の今」を楽しむ1ページ。トラブルもリアルタイム・レポートの醍醐味なのです。最新ソロ・ツアーの極上オーディエンス録音がリリース。ベーシストの急病でショウが中断してしまう事件ナイトで、トラブル発生の雰囲気や『ANOTHER DOOR』の新曲、貴重なカバーも楽しめます。Mesa Arts Center, Mesa, AZ, USA 3rd October 2023 TRULY PEREFCT SOUND (41:32) 01 Even It Up 02 Ruler of the Night 03 Love Alive 04 Isolation 05 Magic Man 06 This Is Now 07 Greed 08 Love Reign O’er Me★ここで一旦休憩とアナウンス 09 Announcement that the concert is over ★ベーシストが急病でショウはキャンセル・延期とアナウンス。Ann Wilson - vocals, flute Ryan Wariner - lead guitar Tony Lucido - bass Paul Moak - guitar Sean Lane - drums