遂に実現した9年ぶりのソロ単独来日。その最終公演を完全体験できるオリジナル録音が登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「2023年10月17日:豊洲PIT」公演。その一部始終を真空パックした極上オーディエンス録音です。「9年ぶり」と言われて「あれ? もっと来てない?」と感じられた方もいらっしゃるかも知れません。実のところ、ここ数年のスティーヴ・ヴァイは“GENERATION AXE”での来日がメインでもありました。近年の活動概要は同時リリースとなる『INVIOLATE IN OSAKA 2023)』の解説に譲るとして、ここでは9年前の単独来日以降のライヴ・イン・ジャパンを振り返ってみましょう。2014年(ソロ) ・7月7日:東京(2公演)・7月10日:大阪(2公演)2017年(GENERATION AXE)*4月3日『NAGOYA 2017』*4月4日『OSAKA 2017』・4月6日:Zepp Tokyo・4月7日:Zepp Tokyo 2019年(GENERATION AXE)・11月25日:Zepp Fukuoka*11月26日『OSAKA 2019』・11月28日:Zepp Nagoya*11月29日『TOKYO 2019』2023年(ソロ)*10月16日『INVIOLATE IN OSAKA 2023』*10月17日:豊洲PIT ←★本作★……と、このように2017年/2019年は“GENERATION AXE”での来日でした。今回は「大阪+東京」の2公演のみであり、同時リリースの2作品でコンプリートなのです。さて、そんな最新・最終公演を伝える本作は、ゴージャス&リッチな美録音。『INVIOLATE IN OSAKA 2023』は異様なタイト感が強烈でしたが、こちらはホール鳴りによる幻想感と美しさが素晴らしい。もちろん、ディテールが隠れたり距離感/スカスカ感があったら元も子もないのですが、本作にその心配は(微塵も!)なし。ホール鳴りとは言っても大気の振動幅まで肌感覚で感じられるほど透き通っており、さらにその空気感を食い破るような芯の突進力にも驚く。みっちりと詰まった密度はサウンドボード級なら、鳴りを伴う厚みはFM放送級と言ってもいいでしょう。しかも、その鳴りがヴァイのショウにメチャクチャ似合う。例えば「Little Pretty」のギター。残響を活かしたアルペジオやシンセの響きが生み出す幻想感が圧倒的で、音楽が全身にまとわりついて意識を異空間へと運んでしまう。しかも、クリアさ/セパレート感も絶大なのでバンド全体で迫っても異次元感覚が克明。音が壁にならないので、絡み合うアンサンブルの中に自分が組み込まれていくような錯覚さえ覚えるのです。演奏自体だけでなく、ムードまで緻密な音世界。恐らく、これはヴァイ自身が計算して創り上げた世界観なのでしょう。ミュージシャンであれば、コンサート会場の音響を計算した上で音を決めているわけですが、それだけでは説明が付かないほど「世界」を感じる。この異次元感覚こそ客席のリアル。これまでオーディエンス録音がもっとも似合う音楽はシンフォニック・ロックの降り注ぎ感だと思っていましたが、ヴァイ・ミュージックも音響マジックによって本領を発揮するのかも知れません。そんな異次元の眩惑サウンドで描かれるのは、63歳にしてギター・シーンの最先端に立ち続ける奇才のフルショウ。セットは東京・大阪で共通でしたので、ここで整理しておきましょう。インヴァイオレット(6曲)・Avalancha/Little Pretty/Candlepower/Greenish Blues/Teeth Of The Hydra/Zeus In Chains その他(10曲)・パッション・アンド・ウォーフェア:Liberty/For The Love Of God・エイリアン・ラヴ・シークレッツ:Tender Surrender/Bad Horsie・アライヴ・イン・ウルトラワールド:Giant Balls Of Gold/Whispering A Prayer・その他:Lights Are On/Building The Church/I'm Becoming/Fire Garden Suite IV: Taurus Bulba 同時リリースの『INVIOLATE IN OSAKA 2023』はオーディエンスとは思えない超サウンドボード感が圧倒的でしたが、本作はちょっと違う。オフィシャル作品並みのサウンド・クオリティでありつつ、「オーディエンスだからこその美」「客席前提で紡がれる音楽の本領」も味わえるのです。ヴァイ・ミュージックの真価に浸りきれる系の新名盤。「2023年10月17日:豊洲PIT」公演の極上オーディエンス録音。歴戦の名手による本作だけのオリジナル録音で、ゴージャス&リッチな美録音です。極太で突進力ある芯がゼロ距離で迫り、ホール鳴りによる幻想感と美しさも素晴らしい。みっちりと詰まった密度はサウンドボード級ですし、鳴りによって生まれる幻想感が次元空間を増幅させてくれる。ヴァイ・ミュージックの本領を味わい尽くせる客録だからこその新名盤です。Toyosu PIT, Tokyo, Japan 17th October 2023 ULTIMATE SOUND(from Original Masters) Disc 1 (71:42) 1. Intro 2. Avalancha 3. Giant Balls of Gold 4. Little Pretty 5. Tender Surrender 6. Lights Are On 7. Candlepower 8. Building the Church Disc:2 (68:16) 1. MC 2. Greenish Blues 3. Bad Horsie 4. I'm becoming 5. Whispering a Prayer 6. Drum Solo 7. Teeth of the Hydra 8. Zeus in Chains 9. Liberty 10. For the Love of God 11. Fire Garden Suite IV - Taurus Bulba Steve Vai - guitar Dante Frisiello - guitar,keyboards Philip Bynoe - bass Jeremy Colson - drums