「幻のアルバム」のニューマスター入手!エリック・クラプトンの新作は、79年、武道館でライブアルバム「JUST ONE NIGHT」をレコーディングした翌年、1980年1月~2月にかけてプロコル・ハルムのリーダーだったゲイリー・ブルッカーがオールブリティッシュバンドに加わり、行なわれたスタジオセッションからの「幻のアルバム」です。このアルバム、通称「TURN UP DOWN」のマスターをメインに、同年に行なわれたブルッカーメインのセッションにクラプトンが参加したレアな楽曲をも収録した1CDとなっています。アルバム「TURN UP DOWN」は没にされ、翌81年に姿を変え、プロデューサーを変えて「ANOTHER TICKET」としてリリースされました。元々のプロデューサーはあの「SLOWHAND」を手掛けたグリン・ジョンズで、ミックスが彼の自宅スタジオTURN UP TURN DOWN STUDIOで行なわれたことから、このアルバムが通称「TURN UP DOWN」と呼ばれるに至りました。アルバムのトーンはブリティッシュの陰影を含んだ、トラッドやパブロックテイストの渋い仕上がりとなっており、12曲中10曲がクラプトン作の楽曲であったこともあり、クラプトン自身も仕上がりには満足していたのですが、クラプトンの所属レーベル、RSOがリリースを拒否しました。その理由は、地味な印象のナンバーばかりの上に、バンドメンバーであるゲイリー・ブルッカーとアルバート・リーのリードナンバー(ボーカルも彼らをフィーチャー)が2曲も入っており、「エリック・クラプトンのアルバム」としての意味合いが希薄である、というものでした。クラプトンとすれば、ブリティッシュロック界でもキャリアが長く、ソロでもやっていける二人がバンドに加わってくれたことから、彼らに敬意を表す意味もあったのです。録音後のツアーでもステージで彼らをソロフィーチャーしていました。アルバムはその意図で制作したわけですが、RSOが求めたものは、「クラプトンバンドのアルバム」ではなく、「エリック・クラプトンのアルバム」だったのです。そのためRSOはアルバムの再録音を要求しました。それに気分を害したかどうかは分かりませんが、ジョンズはプロデューサーを降り、クラプトンは「LAYLA」や「461」のプロデューサーだったあのトム・ダウドに再びプロデュースを依頼、新たに曲も書き加え、場所をバハマのコンパス・ポイント・スタジオに移して同年7月~8月にかけて全曲レコーディングし直したのが「ANOTHER TICKET」だったというわけです(「ANOTHER TICKET」にも「TURN UP DOWN」と同タイトルの楽曲が複数収録されていますが、すべて再録の別テイクです)。しかしお蔵入りした「TURN UP DOWN」のマスターコピーが関係者から流出し、「幻のアルバム」としてブートレッグ界では複数のレーベルからリリースされてきました。しかし今回当店がリリースするのは従来のマスターからのコピーではなく、新たに当店が入手しました、「TURN UP DOWN」音源をグリン・ジョンズがRSOエグゼクティブ連中に聴かせた際のマスターカセットです。このメディアからのリリースは初となるもので、既発盤よりもアナログチックでナチュラルな質感になっており、この渋~いアルバムの趣きにはピッタリのサウンドカラーとなっています。追悼!ゲイリー・ブルッカー。クラプトンバックアップの激レア曲をボーナス収録「TURN UP DOWN」の完全収録は当然のことですが、本作ではこの時期にクラプトンがゲイリー・ブルッカーをサポートした激レアな楽曲をボーナス収録しています。まずクラプトンマニア垂涎の注目曲と言えるのは、1980年にイギリスのみでリリースされたブルッカーの7インチシングルのAB面、Leave The CandleとChasing The Chopです。これら2曲は「TURN UP DOWN」レコーディング時にブルッカーの希望により、同じスタジオでレコーディングされました。バックはクラプトンバンドですが、ブルッカーとダブるキーボードのクリス・スティントンは参加していません。その代わり、イギリスのフォークユニット、ギャラガー&ライルがバックボーカルで参加しています。両曲ともブルッカーのオリジナルですが、A面曲の作詞はピート・シンフィールドが手掛けており、キング・クリムゾンマニアも注目のナンバーかもしれません。このシングルは大した宣伝もなく、ひっそりとリリースされたため、日本では当時でも入手が難しく、持っておられない方も多いでしょう。今回、MINTレベルのシングル原盤からダイレクトにデジタル化を実現(もちろん針パチノイズは除去)。実際、このシングルは、他のアナログアルバムおよび編集盤には未収録で、且つBootleg化も今迄された事がない・・・。初めてCDで聴けるという快挙です。さらに1982年にリリースされたブルッカーのソロアルバム「Lead Me To The Water」においてクラプトンバンドが参加した2曲Home Loving、Lead Me To The Waterも収録しています。両曲は、これもブルッカーの希望により、「ANOTHER TICKET」のレコーディングに便乗する形で同年7月~8月にバハマのコンパス・ポイント・スタジオでレコーディングされたものです。Home Lovingは、「TURN UP DOWN」の同曲とは別録音です。2022年に亡くなったブルッカーを追悼して、クラプトンが同年ツアーで後者をオープニングに演奏していたのは記憶に新しいところです。クラプトンには思い出深いナンバーだったのでしょう。こうして本作をご紹介していきますと、当店の意図にお気づきいただけると思います。ブリティッシュロック界の重鎮キーボーディスト兼ボーカリスト、ゲイリー・ブルッカーへの追悼を彼の盟友だったクラプトンとの共演音源を通じて行なおうというものです。クラプトン自身も、忘れ難い友人であった彼のため、12月に追悼コンサートを開く予定です。リマスター・メモ ゲイリー・ブルッカーの7"シングルは。Leave The Candleはレギュラーチューニングで合っており、Chasing The Chopはレギュラーチューニングより速いが、意図的な物と判断してそのままにしました。Recorded at Surrey Sound Studios, Leatherhead, Surrey, UK January - February 1980 (56:23) 1. Blues Instrumental #1 2. There Ain't No Money 3. The Game's Up 4. Rita Mae 5. Freedom 6. Evangelina 7. Home Loving 8. Hold Me Lord 9. Something Special 10. I'd Love To Say I Love You 11. Catch Me If You Can 12. Blues Instrumental #2 Bonus TracksGary Brooker with Eric Clapton Taken from the original UK 7" single "Leave The Candle" (Chrysalis CHS 2396) released in 1980 ★世界初デジタル化 13. Leave The Candle 14. Chasing The Chop Taken from album "Lead Me To The Water" released in 1982 15. Home Loving 16. Lead Me To The Water Eric Clapton - guitar / vocals Albert Lee - guitar / vocals Chris Stainton - keyboards Gary Brooker - keyboards / vocals Dave Markee - bass Henry Spinetti - drums