今年は近年稀に見るビートルズ音源発掘の当たり年ではないでしょうか。『BOURNEMOUTH & WALTHAMSTOW 1963: DEFINITIVE EDITION』、『ESSEN 1966 SOUNDBOARD』ときて今度はウイングスのノッティンガム大学の超絶アップグレード音源が発掘されました。彼らが結成直後に敢行した大学へのドサ回りは結果的にツアーとなりましたが、実際は行き当たりばったりで大学のある地方に行って、その場で出演交渉をしてライブが実現するという流れであり、いわゆる告知して行われる普通のライブ・ツアーとはまるで違う。それだけに音源が存在するというだけでも奇跡に近い。そんな時期の二大音源がハル大学と今回のノッティンガム大学でしょう。ハルに関しては『UNIVERSITY OF HULL 1972』で衝撃のアップグレードが実現していましたが、ノッティンガムに関しては25年前に広まった音の悪いオーディエンス録音でマニアは耐え忍んできたもの。何しろ演奏とヒスノイズが同じレベルという状態が厳しく、それでもなおマニアが有難く聞いていたのは一重に伝説の大学ライブを収録してくれていたから。ところが今回のノッティンガムは信じられないほどに音質が良く、先のハルをも軽く超える衝撃のクオリティ。それどころか1972年のウイングスを捉えたオーディエンス録音の中でも群を抜いて聞きやすい。こんなにクリアーで音像の近い音源が今まで眠っていたとは…ここまで音質が良いのだから、今回のノッティンガムは新たな録音だとばかり思っていました。ところが…何と今回と従来の音源が同じ録音だというのだから驚きを禁じえません。なるほど聞き比べてみればライブ後半で顕著な観客の盛り上がりや歓声などがまるで同じ。にしてもこれほどまでに音質に格差が生まれているのです。これはもう「霧が晴れた」とか「ベールが取れた」と例えるようなレベルではなく、もはや「ふもとでこだまを聞いていた音」が「山頂で横に立って聞いている」くらいの極端な音質の開きが。まず従来のバージョンは音がこもりまくっていた。それ以上に音楽と同じレベルで聞こえてくるヒスノイズの強さ。過去にリリースされたアイテムが強いイコライジングを施した上でリリースしざる得なかったのも当然といえ、そこを敢えて原音のままで収録した『NOTTINGHAM UNIVERSITY 1972 RAW TAPES: SPEED CORRECTED』と比べても音質の差がありすぎて別録音かと錯覚してしまうほど。そんな掛け値なしに歴史的な発掘&アップグレードをYouTubeに公開してくれたマニアがYouTubeを経由する前の元ファイルを提供してくれたことで、正に高音質CDに相応しいクオリティを実現。しかも元録音の遅かったピッチをアジャスト、ジャケにも当日のノッティンガムのステージ写真を使用しています。これほどまで極端なアップグレードを前にすると、従来のバージョンがどれほどまで劣化した状態であったのかを思い知らされます。もはやロージェネでなくハイジェネ。本音源は「Lucille」や「Long Tall Sally」などライブ後半でいくつかのカットが散見されますが、なるほど過去のバージョンはコピーが重ねられた段階でカット個所をつまんでいたのだという事を再認識。今となっては従来のバージョンは問題だらけでした。それに何と言ってもスカッとクリアーになった音質で聞くウイングスの演奏の勢いたるや。もちろん結成したてな上、メンバーの一人は音楽の素人。正に荒っぽさ全開な演奏なのですが、そこから伝わってくる熱気は本当に素晴らしい。ポールが一から組んだ新たなバンド初のライブ活動を何としてもやり遂げよう…という熱意がはっきりと伝わってきますし、それを見守る大学生たちの臨場感も微笑ましい。だからこそ3コードのブルースを中心としたレパートリーやカバーが多く、バンド全体が無理せず演奏させようという配慮からポールがまとめたのでしょう。そんな状態で張り切るリンダの頼もしいこと。「The Mess」ではポールとリンダが掛け合いで歌うという初期アレンジが聞かれ、そこでのニューウェーブ風(笑)で元気いっぱいな彼女の歌いっぷりは微笑ましいものがありますが、そうした場面も従来は音が悪すぎて伝わって来なかった。「プアー」から一気に「エクセレント」にまでジャンプアップした衝撃のアップグレードでウイングスの大学ライブを聞けるようになる日が来るとは…生きててよかった!Portland Building Ballroom, Nottingham University, Nottingham, UK 9th February 1972 PERFECT SOUND SUPER UPGRADE!!! (53:59) 1. Blue Moon of Kentucky 2. Give Ireland Back to the Irish 3. “Help Me” (Blues Jam) 4. Thank You Darling 5. Wild Life 6. Bip Bop 7. “Shuffle Blues" (Blues Jam) 8. The Mess 9. My Love 10. Give Ireland Back to the Irish 11. Lucille 12. Long Tall Sally 13. Outro Paul McCartney - Vocal, Bass, Guitar, keyboards Linda McCartney - Vocal, Keyboards Denny Laine - Vocals, Guitar Henry McCullough - Vocal, Guitar Denny Seiwell - Drums





























