もはや2010年代における頂点を迎えたのではないでしょうか…そう思わずにいられないほど完全無敵状態なのが来日を目前に控えた現在のポール。満を持してリリースしたニューアルバムは大ヒット、ルックスも引き締まり、なおかつ白髪を活かしたエレガントなスタイルへと進化。おまけにSNS上で自身の曲に合わせて踊ってみせる姿など、とても70代の老人とは思えない。その踊りも「P.S. Love Me Do」を楽器無しで歌っていた頃と比べて随分としなやかにこなしてくれてます(笑)。疑いなしに絶好調と呼べるポールの自信を表わすかのごとく、最新ライブ映像は既に二種類も存在しています。それが既にリリース済の「UNDER THE STAIRCASE」に「LIVE FROM NYC」だった訳ですが、今度はフレッシェン・アップ・ツアーの本編からの映像が遂に登場します!今思えばアルバム制作が最終局面を迎えていたからなのですが、今年のポールのライブ活動は予定がなかなか発表されませんでした。そうした状況で最初に明らかになったライブ出演が今月オースティンで行われた「AUSTIN CITY LIMITS MUSIC FESTIVAL」でした。その後ツアー全体も発表されて現在に至る訳ですが、都合二週に渡って行われたオースティンでのフェス出演は最初の10月5日のステージが数日後に配信され、日本でも朝の配信を観られた方が多かったのではないでしょうか。この放送が画期的だった点は、フェス自体がPBSという公共の放送局絡みのイベントであったことから、ライブの放送が確約されていたことでしょう。それだけでなく、今回はショー全体が放送されたことがポイント高い。2013年には「OUTSIDE LANDS FESTIVAL」というイベントに出演した際に同様の放送が実現したものの、公開されたのは実際のライブからわずか3分の1程度に過ぎず、後に日本公演が放送されると価値が半減してしまったという映像がありました。しかし今回はライブ全体をしっかり放送。既に二つのプロショット・ライブ映像に恵まれていた今年のポールですが、これでフレッシェン・アップ・ツアー本編からも見事なプロショットの登場と相成ります。アビーロード・スタジオやグランド・セントラル駅のようなスペシャル・ギグの映像はもちろん魅力的なのですが、やはりアルバムがリリースされてエンジン全開となったステージ本編こそ上質のライブ映像を観てみたいというもの。そんなファンの願いをいとも簡単に叶えてくれたところからも今年のポールの自信が伺えます。既にツアー開始後いくつかのショーをこなしているだけのことはあり、ポールもバンドも絶好調。それに、ちょっと引き締まったポールのルックスが「プロショット映え」するカッコよさ。彼の歌声に関してはウォーミングアップを兼ねていた「UNDER THE STAIRCASE」の序盤とは比べ物にならないほど。これがツアー本編のコンディションというもなのかと思い知らされます。そのせいで一時は衰える一方かと思われた「Maybe I'm Amazed」のシャウトが老いたなりに力強く歌いこなせるようになった様もしっかりと捉えてくれている。これもまた現在のポールの自信が成せる技かもしれません。それに何と言っても見逃せないのがグランド・セントラル駅のギグで明らかとなったホーン・セクションの活躍ぶり。彼らが加わってくれたことによって、それまでウィックスのキーボードのサンプリングで補っていたパートが俄然リアルでエキサイティングなサウンドに生まれ変わったのです。例のギグの「Letting Go」や「Lady Madonna」などで既に威力が証明されていた彼らですが、ツアー本編ではさらに大々的にフィーチャー。中でも素晴らしい存在感で演奏を盛り立ててくれるのがフィナーレの「Golden Slumbers - Carry That Weight - The End」。グランド・セントラル駅では何故かサンプリングのままでしたので、ここでのホーン隊のリアルな音の迫力は圧巻。ナマ楽器ならではの生々しいさを見せつけられる思いがします。同じようにホーンが加わった「Live And Let Die」などは先の「Letting Go」と共に、まるで1976年のウイングスを観ているかのような錯覚を受けそうなほど。さらに「Ob-La-Di, Ob-La-Da」などもホーンが加わったことによって新鮮に見聞きできるのも楽しいかと。客席からホーン・セクションが登場する演出などは来日公演でも期待されます。そしてボーナスには確実にステージ本番で取り上げられないであろう、ニューアルバムからの「Confidante」をアビーロード・スタジオ・ギグの映像から収録するという充実の内容。このオースティンの映像を既に日本における朝のリアルタイムでご覧になられた方なら分かるように、画質も音質も文句なし。ましてやフレッシェン・アップ・ツアー本編が最高画質のプロショット映像で観られるとなればなおさら。アルバム・リリース前のアビーロード・スタジオ、アルバム・リリース直後のグランド・セントラル駅、そして今回のオースティンで来日するポールを迎え撃つ準備は万端! Live at American Express Stage, Zilker Park, Austin, TX, USA 5th October 2018 PRO-SHOT (139:36) 1. A Hard Day's Night 2. Hi, Hi, Hi 3. Can't Buy Me Love 4. Letting Go 5. Come On to Me 6. Let Me Roll It 7. I've Got a Feeling 8. My Valentine 9. Nineteen Hundred and Eighty-Five 10. Maybe I'm Amazed 11. I've Just Seen a Face 12. In Spite of All the Danger 13. From Me to You 14. Love Me Do 15. Blackbird 16. Here Today 17. Lady Madonna 18. Fuh You 19. Being for the Benefit of Mr. Kite! 20. Something 21. Ob-La-Di, Ob-La-Da 22. Band on the Run 23. Back in the U.S.S.R. 24. Let It Be 25. Live and Let Die 26. Hey Jude 27. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) 28. Helter Skelter 29. Golden Slumbers / Carry That Weight / The End Bonus Track Live at Abbey Road Studios, London, UK 23rd July 2018 30. Confidante PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.140min.