「LIVERPOOL 2018: ORIGINAL VIDEO MASTER」によって、音源だけに留まらない昨年末のイギリス・ツアーからのオーディエンス・ライブ映像編のリリースが高らかに告げられました。そうなると残り二公演で映像版の登場です。今回も客席から撮影された映像ではありますが、そのアングルの充実度は2018年イギリス三部作の中で疑いなしにベストと呼べるクオリティ。何しろアリーナ前方から敢行された映像はオープニングから見応え十分。アングル的には昨年の来日公演映像における稀代の名盤となった「RYOGOKU KOKUGIKAN 2018 DEFINITIVE VIDEO MASTER」を彷彿とさせるような迫力が感じられるのです。そんなポジションからの撮影ですので、ショー開始から少しの間はカメラの周囲が落ち着きません。それが一段落して一気に観やすくなるのはニューアルバムからの「Who Cares」から。ここからは、いよいよ両国に負けない見事なアングルでグラスゴー・ショーの一部始終をドキュメントしてくれるのです。それと同時に、アリーナから撮影できたからこそ、図らずも日本公演とはまったく違う海外公演の臨場感をもリアルに伝えてくれるドキュメントにもなってしまった。何故「Who Cares」から見やすくなったのかと言えば、それは一重に「新曲に対する淡泊な反応」という海外公演ならではの現象のおかげ。ポール自身が最近のライブ中において「ビートルズの曲をやると客席から携帯のライトが光って銀河みたく綺麗なのに、新曲をやるとサーッと暗くなって、まるでブラックホールみたいだ」というMCのネタにもなるおなじみの現象がこの日も実際に起きており、そのせいでカメラの前も開けたということ。何とも皮肉な現象ですが、オーディエンス映像として一気に見やすくなったのは事実。それが「My Valentine」からはさらに見やすくなるのですが、おかげでアコースティック・ソング・コーナーでのやり取りなどは見事なまでにクリアー・ビューが圧巻。この日も同コーナーが幕を開ける前にポールはオーディエンスに向かってどこから観に来たのか尋ね、さらには客席から見えるサインボードのメッセージに関しても言及したおなじみの場面が登場へと。ところが今回はちょうど撮影者の少し前方に「一番」が書かれたサインボードを持ったオーディエンスがいたおかげで、ポールはちょうどカメラの方を見ながら、例の「日本語でサイコー」のエピソードを紹介してくれたのです。これは見事だとしか言いようのないアングルであり、正に自分がグラスゴーのステージを目の当たりにし、なおかつポールがこちらに向けて発してくれたかのような臨場感まで味わえてしまう。また日本公演後のサプライズの一つでもあった「Dance Tonight」においては、今回のスタンディング・ドラムのセットだったからこそ復活したエイブの踊りもリバプールとは違ったアングルでばっちり楽しめます。つまり、エイブは立っているからこそ以前よりも踊りやすくなった訳で、それを披露しつつもバスドラでリズムを叩き出している様は見ていて釘付けにさせられる面白さ。もちろん今回も大好評「GLASGOW 2018」のイヤモニ音源が緻密にシンクロされている訳ですが、本映像オリジナル音声(カメラのマイクの音声)もクリアーで広がりのあるオーディエンス録音ではありました。しかしイヤモニ録音の別格なクオリティにはかなわない。それでいて音源を聞くだけという以上に臨場感がたっぷりと伝わってくるところがリバプールDVDと同様に素晴らしい点。中でも「Blackbird」演奏前で曲が書かれたいきさつについてポールが説明するも、思いのほか静まらない会場に業を煮やしたのか「shut up!」と発した場面では彼の(一瞬ながらも)不機嫌そうな表情まで捉えられているのが映像ならでは。これって凄くないですか?さらに「Queenie Eye」においてもあれだけ盛り上がっていた日本公演とは比べ物にならないほどグラスゴーの反応は鈍く、しかも例の「ブラックホールみたいだ」自虐MCを同曲の後で発しながらも、それでいてポールの余裕たっぷりな姿(まあ、仕方ないさ的な)までしっかりと捉えられています。そのおかげでまたしてもアングルが見やすくなったという恩恵もありますが、なるほど新曲でも常に好反応な日本を近年のポールが気に入ったであろうことが、そうした場面から伺えるのです。そしてウクレレから始まるジョージ・トリビュートの「Something」で静かに歌い始める時のアングルも絶品。両国の映像もそうでしたが、やはりアリーナからのびしっとキマッたアングルというのは本当に迫力があって見飽きません。さらに「Fuh You」や「Hey Jude」になるとアングルが敢えてヒキになり、ステージのバックのスクリーンに映し出されるMVや観客の熱狂も一緒に捉えられており、まるで自分がグラスゴーのアリーナの前方からショーを見ているかのよう。しかも後者が終わった後も鳴りやまないシンセ音を鎮めようと右往左往するスタッフの様子も映し出されているのも面白い。あの両国を彷彿とさせるような臨場感に溢れた映像アングルとイヤモニ音源の絶妙な組み合わせはサイコー! ★オリジナル・オーディエンス・ショット映像に話題の超高音質ステレオ・イヤモニ音源をシンクロ収録。その効果は絶大です!★最高画質を実現するため、片面二層のデュアル・レイヤーDVDでのリリースです Original In-Ear Monitor Recording Live at The SSE Hydro, Glasgow, Scotland 14th December 2018 STEREO IEM DVD(175:21) 1. Intro 2. A Hard Day’s Night 3. Junior’s Farm 4. Can’t Buy Me Love 5. Letting Go 6. Who Cares 7. Got to Get You Into My Life 8. Come On to Me 9. Let Me Roll It 10. I’ve Got a Feeling 11. Let ‘Em In 12. My Valentine 13. Nineteen Hundred and Eighty-Five 14. Maybe I’m Amazed 15. We Can Work It Out 16. In Spite of All the Danger 17. From Me to You 18. Dance Tonight 19. Love Me Do 20. Blackbird 21. Here Today 22. Queenie Eye 23. Lady Madonna 24. Eleanor Rigby 25. Fuh You 26. Being for the Benefit of Mr. Kite! 27. Something 28. Ob-La-Di, Ob-La-Da 29. Band on the Run 30. Back in the U.S.S.R. 31. Let It Be 32. Live and Let Die 33. Hey Jude 34. Birthday 35. Wonderful Christmastime (with Paisley Grammar School Choir) 36. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise) 37. Helter Skelter 38. Golden Slumbers / Carry That Weight / The End COLOUR NTSC Approx.175min.