本作が撮影されたのは「2006年9月12日ニューヨーク公演」。そのオーディエンス・ショットです。2006年と言えば、『FUJI SPEEDWAY 2006』の他にも公式盤『ライヴ・ベック'06』もあり、満足されている方もいらっしゃるかも知れません。しかし、その2作はインスト・ショウでしたが、“その後”には歌入り。しかも、いつものジミー・ホールではなく、グラミー賞も獲得した女性シンガー:ベス・ハートなのです。その辺の状況を把握するためにも、まずは当時の日程からショウのポジションを確かめてみましょう。・4月2日-7日:北米#1(4公演) ←※公式盤・7月10日-18日:欧州(6公演) ・7月22日+23日:日本(2公演)・7月26日:BLUE BALLS FESTIVAL出演・9月6日-30日:北米#2(10公演) ←★ココ これが2006年のジェフ・ベック。『ライヴ・ベック'06』は「北米#1」、『FUJI SPEEDWAY 2006』は「日本」の記録なのですが、本作のニューヨーク公演は9月に行われた「北米#2」。その2公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで撮影された本作は、まさに絶景。実はところどころでデジタルなブロック・ノイズも入るために「極上」とは言い難いのですが、それさえなければ言えた。何よりも素晴らしいのは視点で、ステージ左寄り(ジェフ寄り)のバルコニー席から見下ろしながら遮蔽物なし。ステージだけが視界を占領するのです。しかも、そこからグイグイとズーム。ステージが小さいのか思いっきり引いて全景を押さえても十分に近いのですが、最ズームになるとジェフの手元もバッチリ。右にキャプチャーを掲載しておりますが、それこそプロショットの1アングルかのように見やすくド迫力なのです。その映像美で描かれるのは、『FUJI SPEEDWAY 2006』の拡大版ともなるフルショウ。“UDO MUSIC FESTIVAL”はトリとは言え、約60分のフェス用ショート・セットでしたが、本作は90分を超えるフル・スケール。レパートリーも山盛りなのです。ここで整理してみましょう。 ●TRUTH(4曲)・Beck's Bolero・FUJI SPEEDWAY 2006で観れない曲:You Shook Me/Morning Dew/I Ain't Superstitious ●BLOW BY BLOW(2曲)・Cause We've Ended as Lovers/Scatterbrain ●WIRED(3曲)・Goodbye Pork Pie Hat/Blue Wind ・FUJI SPEEDWAY 2006で観れない曲:Led Boots ●THERE & BACK(2曲)・You Never Know/Star Cycle ●GUITAR SHOP(3曲)・Behind the Veil/Big Block・FUJI SPEEDWAY 2006で観れない曲:Two Rivers ●WHO ELSE!(3曲)・Angel (footsteps)/Brush With the Blues ・FUJI SPEEDWAY 2006で観れない曲:Blast From the East ●その他(5曲)・Nadia『YOU HAD IT COMING』/Somewhere Over the Rainbow『EMOTION & COMMOTION』/Stratus(ビリー・コブハム) ・FUJI SPEEDWAY 2006で観れない曲:Going Down『ORANGE ALBUM』/A Change Is Gonna Come(サム・クック)……と、このようになっています。まさに堂々のフルセットで“UDO MUSIC FESTIVAL”を遙かに超える満足感に満たされる。増量されたインスト曲も美味しいですが、やはり本作のポイントはベス・ハートによる見事すぎるヴォーカル曲。彼女の出番は3度あり、前半では「You Shook Me」と「Morning Dew」、中盤では「I Ain't Superstitious」「A Change Is Gonna Come」、そして終盤の「Going Down」。合計5曲で共演しています。しかも、その歌いっぷりは圧倒的! ハスキーで声量たっぷりの歌声はどこまでもソウルフルで、震えるヴィヴラートも大きな歌い上げもファンキーなシャウトもまさに本物。当時の彼女は『LEAVE THE LIGHT ON』をリリースする直前だったのですが、すでに脂が乗りきっており、ジェフが共演してきた数々のシンガーの中でも一番巧いかも知れない。しかも、その歌声に圧倒されたのかジェフも終始上機嫌で、彼女と掛け合うフレーズもキレッキレ。その後、ベスはジョー・ボナマッサと組む事になりましたが、ジェフとの本格的なプロジェクトもやってほしかった。と言いますか、“UDO MUSIC FESTIVAL”にもベスと一緒に来てほしかったものです。伝説フェスの後、ベス・ハートと共に素晴らしいショウを繰り広げていたジェフ・ベック。そんな知られざる2006年の現場を特等席からフル体験できる映像作品です。単に珍しいだけでなく、ショウ自体にも圧倒される約90分の名作映像。マスターに起因する数カ所のカットは全て修正。全ベック・ファン必見のハイクオリティな映像タイトルです。 Live at Hammerstein Ballroom, New York, NY, USA 12th September 2006 AMAZING SHOT!!! (92:17) 1. Beck's Bolero 2. Stratus 3. You Never Know 4. Cause We've Ended as Lovers 5. You Shook Me 6. Morning Dew 7. Behind the Veil 8. Two Rivers 9. Star Cycle 10. Big Block 11. Nadia 12. Angel (Footsteps) 13. Blast From the East 14. I Ain't Superstitious 15. A Change Is Gonna Come 16. Scatterbrain 17. Led Boots 18. Goodbye Pork Pie Hat 19. Brush With the Blues 20. Blue Wind 21. Going Down 22. Over the Rainbow Jeff Beck - Guitar Jason Rebello - Keyboards Randy Hope-Taylor - Bass Vinnie Colaiuta - Drums Beth Hart - Vocal COLOUR NTSC Approx.92min.