4年ぶりとなる本格的なワールド・ツアーを完遂させたマーク・ノップラー。その超極上マルチカメラ映像が登場です。そんな本作が撮影されたのは「2019年4月25日バルセロナ公演」。そのステレオ・サウンドボード録音に、オーディエンス・ショットをシンクロさせた映像作品です。近年ではオーディエンスのマルチカメラ編集も珍しくなくなってきましたが、ここまでのものはそうはない。まさにツアー最高傑作となるであろう名作です。その気になるクオリティの前に、まずはショウのポジション。先日終わったばかりの“DOWN THE ROAD WHEREVER TOUR”の全体像から振り返ってみましょう。 ・4月25日-5月16日:欧州#1(15公演)←★ココ★・5月18日-30日:英国(9公演)・6月7日-7月22日:欧州#2(33公演)・8月16日-9月25日:北米(27公演) これが久々に行われたワールド・ツアーの全景。当店ではすでに2つの傑作『ROYAL ALBERT HALL 2019 1ST NIGHT』『MILANO 2019: THE VIDEO)』でレポートしてきましたが、本作のバルセロナ公演は、そのどちらよりも前。ツアー初日にあたるコンサートでした。すでに終了したツアーの初日ではありますが、本作は遅れて登場したのも致し方ない。ノップラーは公式サイトで各公演のサウンドボード・ライヴをダウンロード販売していますが、本作は海外のコア・マニアが映像作へ進化させたもの。究極の音声に見合う究極の映像を目指しており、時間がかかったのも当然の超ハイクオリティな編集作品なのです。とにかく、開演前から圧倒的。会場やバルセロナの街並みが映し出されるのですが、これが凝りっ凝り。恐らくは何かしらのプロ素材を使っていると思うのですが、車が光速で行き交いつつ夕暮れになっていき、テロップも頻繁に入る。ショウへの期待感をグイグイと高めていく見事な演出なのです。そして、いざショウが始まってもハイクオリティ。音声はもちろん超極上のステレオ・サウンドボードなのですが、光景もそのド密着感に負けてないから凄い。メインカメラはノップラーを真正面から見すえたオーディエンス・ショットでして、それ以上のポジションが不明。カメラの前を横切る人影も入るのでそれなりに距離があるのかも知れませんが、ノップラーの表情が画面いっぱいになるほど迫るズームのおかげで撮影場所が分からないほどなのです。もちろん、マルチカメラ編集ですからメインカメラ以外にもさまざまな角度の映像が組み込まれ、そのどれもが絶景。切り替えにも瞬間的ながらスムーズなフェイド処理が施され、滑らかにショウに没入できます。そんなオーディエンス・ショットだけでも素晴らしいのですが、さらに凝った演出も施されている。恐らく、会場が暗くなった瞬間やカメラがフレームアウトするシーンを補っているのでしょうが、PVやバルセロナの街並みが差し込まれる。これが本当に見事。PVは演奏が自然にシンクロしますし、街並みのシーンもMCや曲想にピッタリ。プロ素材とオーディエンス映像の画質差はありますが、よくまぁこれだけライヴに合う映像を探してきたものです。先日ご紹介した『MILANO 2019: THE VIDEO』もワンカメならではの体験感が圧倒的でしたが、作り込み感は本作の方が遙かに上です。そのクオリティで描かれるショウも『MILANO 2019: THE VIDEO』とは似て非なるもの。ここで、そのセットを整理してみましょう。 ●DIRE STRAITS(6曲)・Once Upon A Time In The West/Romeo and Juliet/Your Latest Trick/Money For Nothing/On Every Street・MILANO 2019で観られなかった曲:Telegraph Road●SAILING TO PHILADELPHIA(3曲)・Sailing To Philadelphia/Speedway at Nazareth ・MILANO 2019で観られなかった曲:Silvertown Blues●DOWN THE ROAD WHEREVER(3曲)・My Bacon Roll/Matchstick Man・MILANO 2019で観られなかった曲:Nobody Does That ●その他(7曲)・Done With Bonaparte『GOLDEN HEART』/Why Aye Man『THE RAGPICKER'S DREAM』/Postcards From Paraguay『SHANGRI-LA』/Heart Full Of Holes『KILL TO GET CRIMSON』/Corned Beef City『PRIVATEERING』・サントラ:Going Home『LOCAL HERO』/She's Gone『METROLAND』……と、このようになっています。『MILANO 2019: THE VIDEO』で聴けたDIRE STRAITSの「Brothers In Arms」はありませんが、それ以外の全曲を演奏。その上で「Telegraph Road」「Silvertown Blues」「Nobody Does That」も披露している。ツアー初日だけにいろいろなレパートリーを試していたのでしょうが、結果として『MILANO 2019: THE VIDEO』よりも大量の名曲群を楽しめるのです。ショットの安定感やワンカメならではの体験感は『MILANO 2019: THE VIDEO』に軍配が上がりますが、本作は曲数やマルチカメラの見応え、さらに精緻に組み上げた編集センスで遙かに上回る。究極サウンドをマニア愛で映像コーティングした1枚。 Live at Palau Sant Jordi, Barcelona, Spain 25th April 2019 MULTI-CAM Synched with SBD (134:08) 1. Intro 2. Why Aye Man 3. Nobody Does That 4. Corned Beef City 5. Sailing To Philadelphia 6. Once Upon A time In The West 7. Romeo And Juliet 8. My Bacon Roll 9. Matchstick Man 10. Done With Bonaparte 11. Heart Full Of Holes 12. She's Gone 13. Your Latest Trick 14. Silvertown Blues 15. Postcards From Paraguay 16. On Every Street 17. Speedway At Nazareth 18. Telegraph Road 19. Money For Nothing20. Going Home: Theme Of The Local Hero Mark Knopfler - Guitar, Vocals Richard Bennett - Guitar Glenn Worf - Bass Ian Thomas - Drums Danny Cummings - Percussion, Backing Vocals Guy Fletcher - Keyboards, Guitar, Backing Vocals Jim Cox - Piano, Accordion John McCusker - Fiddle, Flute, Guitars Mike McGoldrick - Uilleann Pipes, Wooden Flute, Guitars Graeme Blevins - Saxophone, Clarinet Tom Walsh - Trumpet COLOUR NTSC Approx.134min.